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シリコンバレー式超ライフハック
著者:デイヴ・アスプリー
出版社:ダイヤモンド社
本書の要約
私たちの脳には可塑性があり、変化することができます。脳の中に新しい神経回路を形成し、その回路を形成する能力を高めれば、パフォーマンスの向上に役立つ習慣を身につけることができます。脳のハードウェアを入れ替えると決め、瞑想を活用することで、よりよい結果を出せるようになります。
脳のハードウェアを入れ替えろ!
20世紀も末になってようやく、「神経可塑性」という概念が理解されだした。人間は生涯にわたって新しい細胞を成長させ、新しい神経結合を形成するという考えだ。新しく生まれた細胞や神経結合を使って、新しい習慣や信念を得ることができ、速く学び、効率よく記憶することができる。それによって、生活のあらゆる面に大きな影響を与えるパフォーマンスの改善が実現する。(デイヴ・アスプリー)
デイヴ・アスプリーのシリコンバレー式超ライフハックの書評を続けます。このブログでも何度も取り上げている「脳の可塑性」が今日のテーマになります。私たちは脳の中のつながりを変えることで、新たな自分を手に入れられます。
しかし、そのためには新しい習慣を身につけなければなりません。脳の中に新しい神経回路を形成し、その回路を形成する能力を高めれば、パフォーマンスの向上に役立つ習慣を身につけることができます。習慣は脳エネルギーをあまり使わないので、そのぶん大事な目的のために使える脳の容量が増えることになります。私も断酒をすることで、早起きの習慣が身につき、人生を変えることができました。よい習慣を取り入れることで、時間の質が高まり、重要なことに脳を使えるようになったのです。
瞑想家のヴィシェン・ラキアニは、「脳のハードウェアを入れ替えろ」と言います。 ヴィシェンは精神のことを「意味づけマシン」と呼び、定着したストーリーや信念を「ハードウェア」と呼んでいます。これはコンピュータのハードウェアのようなもので、入れ替え可能です。
人間のハードウェアの多くは、7歳になる前に形作られます。親や学校の教師、子どもながらの観察が、役に立たない信念を吹き込みます。この信念を保持しつづけていると、人生に悪い影響を与えます。
信念は、自分がいかに大切な存在か、自分に何ができるか、社会での役割は何かなどを教える大切なものだ。ところがその信念が、自分を販めてたがをはめるようなものであったら、人間としての可能性も制限されてしまう。問題は、僕たちはそんな信念をまるで現実のように感じてしまうところにある。なぜ現実のように感じられるかというと、その信念が間違っていると気づくまでは、それが現実だからである。
コンピュータのハードウェアをアップグレードできるように、信念をアップグレードできます。 ヴィシェンは学習過程と人間の発達過程を体系化したものを「意識工学」とネーミングしました。
意識工学の第1ステップは「私の信念は私自身ではない」と認識することです。過去にインストールされたハードウェアをアップグレードすることも交換することもできると考えましょう。神経に可塑性があるおかげで、人間はネガティブで自己制限的な信念を、もっと役に立つ前向きな信念と取り替えることができるのです。「信念が変われば人生も変わる」とヴィシェンは言います。ヴィシェンは、容姿が人と違うことで自分は醜いと思っていましたが、その間違った信念を捨てたときに自信が生まれ、ものの見方も変わり、生活も人間関係もポジティブな方向へとシフトできました。
信念を書き換える方法として、ヴィシェンは瞑想を推奨しています。瞑想によって、私たちは意識を覚醒させ、間違った信念の存在に気づけます。あとは行動を意図的に変えればよいのです。
ポジティブな信念は、文字どおり成功をもたらします。成功物語を自らに語り聞かせることで、脳はそれを信じ、それにのっとって行動すします。マーティン・セリグマン博士とペンシルベニア大学の同僚たちは、のべ100万人以上を対象とした30年の調査に基づいて、楽観的な期待が達成の重要な予測指標になることを発見しました。売れると信じている営業担当者たちは、悲観的な対照グループより55%も成功率が高かったのです。
意識工学の第2ステップは、生活を形づくっているシステム、すなわち習慣をアップグレードすることです。ヴィシェンは、習慣をスマホのアプリに例えます。習慣とは、食事や運動や睡眠など、一日24時間を形成しているパターンのことです。ヴィシェンは、大きなことを成し遂げた人びとから成功の原動力となった習慣を学ぶことを勧めています。
断酒をしたときに私は朝活に参加し、朝型の人たちのよい習慣を真似しました。そのときに学んだ「読書をしたらアウトプットする習慣」によって、この書評ブログを書くことが日常化し、著者たちのよい習慣を取り入れることで、私は日々自分をアップグレードできるようになったのです。
悪き習慣を断ち切り、よい習慣を身に付ける方法
神経科学者で、ベストセラー作家のロバート・クーパーは、まったく無関係に見える2つの分野である神経科学とビジネス戦略を効果的に組み合わせてることで、生産性を高めるサポートをしています。エリートパフォーマーやトップクラスの指導者たちは、彼のおかげで、頭脳、時間、パフォーマンスを最大限に活用できるようになったのです。パフォーマンスを下げる悪しき習慣を断ち切り、より良い習慣を脳に焼きつけることで、結果を変えられるのです。
ロバートは、人間の脳には2000年前の世界に作られた習慣がプログラムされていると指摘します。私たちは脳に埋め込まれた時代遅れのプログラムを捨てて、最善のアウトプットを追求することもできます。今日の現実に合わせて脳をプログラムし、「再配線」することで、思考と行動を変えられます。
私たちはまず最初に、脳のデフォルトの設定を理解しなければなりません。人間の本能は、これまでやってきたのと同じことをくり返そうとします。脳のエネルギーを浪費しないことが、私たちの本能に埋め込まれています。あれこれ考えずに、同じ道をドライブして通勤できるのはそのおかげです。しかし、絶えず無意識に行動していては、脳のつながりか強化されず、よいアイデアは生まれてきません。
習慣が焼き付いてしまった配線を「固定配線」と呼びます。もう一つの「自在配線」は成長と変化をもたらすもので、神経可塑性の「可塑性」の部分です。 固定配線に頼って行動しているときも、脳は絶えず変化しています。レストランでお気に入りの席がふさがっていたら腹を立てるような、情けない習慣に支配されているデフォルトモードなら、その脳は「下方配線」されているのです。加齢とともに下方配線する人は多いですが、可能性に心を開き、もっとよくなろうと意図するなら「上方配線」に置き換えることで、よりよい人生を送れます。
パフォーマンスを高めたければ、下方配線ではなく上方配線に時間を使うようにすべきです。ところが、脳の本能はエネルギーを節約するために下方配線を選びがちです。
脳はこれまでと同じことをくり返したがり、あなたにいまのままのあなたでいてほしがっている。多くの人にとって、昨日と同じ今日が居心地よく感じられ、恐れも不安も少ないのはそ のためだ。要するに、あなたの脳は変化を恐れる臆病で愚かな器官なのだ(気を悪くしないように)。上方配線するためには努力が必要で、リスクが伴う。
私たちは脳を居心地のよいデフォルト状態を抜け出し、人間としての成長をサポートする意図的な選択へと向かわせなければなりません。そのために、私たちは無意識の反応を回避してより良い方向へと向かえる瞬間を発見すべきです。このために、瞑想が効果を発揮しますが、マインドフルネスの専門家は、そういう瞬間のことを「メタ・モーメント」と呼びます。何かを引き起こすトリガーとレスポンスの間の一瞬を意識し、選択を変えることで、結果をよりよくできるのです。
たとえば、何か腹が立つことを言われたとき、いつもどおり怒る下方配線ではなく、間を置いて、なぜ腹が立つのかを考え、望ましい反応を選ぶ上方配線を心がけるようにするのです。怒りを捨てて、よりよい選択をすることで、私たちは自分をゲームチェンジャーにできます。脳の配線を変えると決め、嫌な習慣をよい習慣に置き換えましょう。
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