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Google・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめた ワークハック大全――仕事がサクサク終わってラクになれる科学的メソッド
著者:ブルース・デイズリー
出版社:ダイヤモンド社
本書の要約
ヘッドフォンの使用を認め、職場でルールを定めれば、よりクリエイティブなアイデアが生まれます。そのためには、各自で集中して作業をする時間帯と、コミュニケーションをとりながら仕事を進める時間帯を定めるようにすべきです。ヘッドフォンを忌み嫌うのではなく、職場に導入した方がよさそうです。
職場でのヘッドフォンは有害か?
職場でのヘッドフォンの使用の有害性について世代間で大きな意見の違いがあることがわかる。若い世代は概して好意的だが、年配の世代は懐疑的だ。(ブルース・デイズリー)
ブルース・デイズリーのGoogle・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめた ワークハック大全――仕事がサクサク終わってラクになれる科学的メソッドの中に、職場でのヘッドフォンの有効性が紹介されていました。若者は集中するために、ヘッドフォンを職場で活用していますが、上の世代はこの効果に懐疑的です。
最近ではアップルなどの先進的な会社で、社内でのヘッドフォンの使用が認められるようになりました。オフィスにあふれている気の散る要因を防ぐために、積極的にヘッドフォンを使う人が私の周りでも増えています。著者はヘッドフォンを禁止するのではなく、積極的に受け入れるべきだと言います。但し、使用時間は制限し、使用についてルールを設けるべきだと指摘します。
私は記事を書くときにはヘッドフォンをして、パソコンに集中するようにしています。今もAppleのAirPods Proを装着して、このブログ記事を書いています。外部のノイズをシャットアウトすることで、気が散らなくなり、1時間もあれば、ブログ記事を仕上げられます。
もし、会社に午前中の集中タイムが導入されていなかったり、静かに作業できるスペースがなかったりするのなら、ヘッドフォンタイムに最適なのは朝時間です。朝はたいがいの人の脳が活性化していて、集中できる時間帯であることがわかっています。逆に、ランチタイム前後はヘッドフォンを使わないようにすべきです。この時間は、社内コミュニケーションに向いていますから、ヘッドフォンで相手をシャットアウトしないようにしましょう。
ヘッドフォンを使って、アイデアを生み出す方法
騒々しいオフィスにも良い点はある。気を散らされたり、仕事を中断されたりするのは、認知能力が求められる作業や複雑な問題解決が求められる作業には悪影響を及ぼすが、創造的思考には効果的であることがわかっているのだ。だからこそ、ヘッドフォン使用に関する適切な社内ルールをつくることが大切になる。
人間の脳には、さまざまな機能を司るいくつものネットワークが存在しています。たとえば、結果を出すための「収束的思考」が求められる作業をしたいときは、集中を司る「実行注意ネットワーク」と呼ばれるネットワークが活発になります。これは、気が散るものを頭の中から排除して、何かに集中して取り組むことを可能にする脳のシステムです。
逆に、想像力が求められるクリエイティブな思考(発散的思考)を働かせたいときは、「デフォルトネットワーク」と「顕著性(サリエンシー)ネットワーク」を活発にしなけなりません。顕著性ネットワークは、身の回りにある刺激を観察して、それが自分の行動に与える影響を予測する働きをします。
デフォルトネットワークは、僕たちが何かをしているときには働きを弱めますが、過去のことを思い出したり、誰かのことを考えたりしているときに活性化されます。この2つの脳内ネットワークを活性化させる効果が、散歩から得られることがわかっています。
人が創造的であるためには、何かーつのことに集中するのではなく、心を自由に動き回らせ、想像力を働かせられるようにする必要がある。逆に言えば、集中力を妨げられるような状況にいるときは、発散的思考がしやすくなる。
コロンビア大学の3人の研究者(スティーブン・スミス、デビッド・ゲルケンス、アンジェロ・ジェンナ)の実験結果から、クリエイティブになるためのヒントをもらえます。彼らは3つの被験者群に2つの問題を与えました
1番目 まず1問目を解かせてから、2問目を解かせる。
2番目 一定間隔で交互に問題を解かせる。
3番目 自由に時間を切り替えながら、2問を交互に解かせる。
最も独創的な回答をしたのは、一定間隔で交互に問題を解いた2番目のグループでした。2問を交互に考えたグループは、結果として別の視点を得て、斬新なアイデアを思いつきやすくなったのです。被験者にテーマを2つ(「冷たいもの」と「重たいもの」、「キャンプ道具」と「太りやすい食べ物」など)提示し、語を連想させた別の研究でも、2つのテーマから交互に連想を行ったグループのほうが、1つずつまとめて連想したグループよりも回答数が多く、かつ答えの内容の独創性も高かったことがわかっています。
ジェームス・W・ヤングの時代から、アイデアは2つの要素の掛け合わせから生まれることがわかっています。ヘッドフォンを使って、収束的思考と発散的思考の時間を作り出すことで、よいアイデアが生まれるようになると著者は言います。
創造的なアイデアは、2つ以上のアイデアがぶつかって生まれるということだ。そしてこの衝突は、課題に直面していて、かつ気が散るような状況にいるときに起こりやすくなる。ここで、ヘッドフォンを使うことの利点がさらに明確になる。ヘッドフォンを装着することで、集中して生産的な作業ができる。さらに、その後でヘッドフォンを取り外すと、急に気が散る要素が飛び込んでくる。このように環境が変わることで、漫然と仕事しているときよりも、はるかに創造的な状態に入りやすくなるのだ。
ヘッドフォンの使用を認め、職場でルールを定めれば、よりクリエイティブなアイデアが生まれます。そのためには、各自で集中して作業をする時間帯と、コミュニケーションをとりながら仕事を進める時間帯を定めるようにすべきです。
様々な調査から、コミュニケーションに適している時間帯は午後であることがわかっています。「フロー」状態に入りやすい集中タイムと、アイデアが生まれやすいコミュニケーションタイムを職場でうまく管理することで、社員の生産性は高まります。ヘッドフォンはそのための強力な武器になるのです。リーダーはヘッドフォンを忌み嫌うのではなく、職場に導入した方が良さそうです。
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