マインドフル・リスニングの書評


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 マインドフル・リスニング
著者:ジャック・ゼンガー、ジョセフ・フォークマン、ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(編集)
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

人と話す時には、パソコンを閉じたり、スマホを脇におき、相手との会話に集中しているという姿勢を示すべきです。相手の話にしっかりと耳を傾け、共感を示しながら、適切な質問やフィードバックを行うことで、相手との関係をよりよくできます。

優秀なリーダーは聞き上手。

最高の聞き上手は、トランポリンが子どもにしてあげるような役割を果たす。聞き上手はエネルギーを与え、加速させ、高め、増幅させる。(ジャック・ゼンガー、ジョセフ・フォークマン)

コミュニケーションは人の話に耳を傾けることから始まりますが、意外に私たちは人の話を聞いていないものです。相手の話に集中するのではなく、自分が話したいことを考えたり、他のことをしながら、人の話を聞くことが多くなっています。特にパソコンやスマホで仕事をするようになってから、この傾向はよりひどくなっています。

リーダーシップの育成コンサルタント会社のゼンガー・フォークマン社では、グローバルリーダー約2万人のビックデータの統計解析に基づいて研究・プロダクト開発を行っています。そこから聞き上手なリーダーに共通する4つの特性が明らかになりました。

■聞き上手に共通する4つの特性
①聞き上手は、相手が話している間、適切な質問をする。
できるリーダーは、相手の話をただ黙って聞いているだけではなく、適切な質問をすることで、相手に発見と気づきを促します。ただ、黙ってうなずいているだけでは、相手は話を聞いてもらっているという確信を持てませんが、適切な質問をすることで、相手はより深い話をしてくれるようになります。

②聞き上手は、話し手の自尊心を高めるようなやりとりができる
最高の聞き手は、会話そのものをポジティブな体験に高めることができます。聞き手が積極的に話を聞き、共感を示すことで、相手はあなたのことを信頼します。安心して言いたいことが言えて、オープンに議論できる環境を提供することが聞き上手になるための条件になります。

③聞き上手は、協力的な会話ができる。
お互いに適切なフィードバックをすることで、よい議論ができるようになります。相手が話している時に、次に何を言うかを考えるのではなく、自分が相手にどう貢献できるかを考えるようにしましょう。相手を言い負かすことを考えていては、ビジネスは上手くいきません。

④聞き上手は、適切な提案をする。
会話中ずっと黙っていて、最後に提案や決定を押しつけるというやり方では、人に信頼されることはありません。相手の話を共感を示しながら、よいフィードバックを行うことようにしましょう。

多くの人が、聞き上手とは相手の話を正確に吸収するスポンジのようなものだと考えていますが、聞き上手はトランポリンのようなものなのです。話し手のアイデアやエネルギーを吸収するのではなく、増幅し、活気づけ、明確にしてくれる人が聞き上手なのです。

単に受動的に相手の話を吸収するのではなく、積極的に話に加わり、話し手の気持ちを高めるようにしましょう。トランポリンの上でジャンプする人がより高く跳べるようにすることが、リーダーのつとめで、それは相手の話を聞くことから始まります。

「聞く能力」を向上させるための6つの要素

ジャック・ゼンガーとジョセフ・フォークマンは、聞く能力にはさまざまな構成要素があると言います。以下の6つの要素を意識しがなら、コミュニケーションを行いましょう。どれを活かして「聞く能力」を向上させるのが効果的か、自分の「聞き方」を思い出しながら考えていただきたい。

①難しい問題、複雑な問題、感情的な問題でもオープンに話し合えるような、安全な環境をつくる。
②携帯やノートパソコンなど、注意を散漫にするものを遮断して、話し手に注意を集中し、適切なアイコンタクトを取る。
③話し手が言っていることの本質を理解しようとする。
④話し手の表情、熱意、息づかい、身振り手振り、姿勢、その他もろもろの非言語的ボディランゲージのサインを観察する。
⑤話し手が、いま話している事柄に対してどんな感情を抱いているか、どんな気分でいるかを理解し、思いを寄せる。
⑥話し手に問いを投げかけ、その前提を明確にしたり、新しい角度から問題を見たりできるように手助けをする。

人と話す時には、パソコンを閉じたり、スマホを脇におき、相手に集中しているという姿勢を示すべきです。また、話し手の表情などの非言語的ボディランゲージのサインをしっかりと観察することで、相手の感情の変化がわかります。相手に集中することで、あなたの印象がよくなるだけでなく、あなたの思考や感情にも良い影響を与えます。相手の課題を見つけ、適切なサポートをすることで、リーダーは部下の力を引き出せるようになるのです。

相手の話を傾聴し、その上でサポートし、共感し、承認することで、お互いの理解が深まります。相手の課題がわかれば、自分の価値も提供できるようになります。聞き手を主役にしながら、相手に適切な質問を行い、よいフィードバックを与えるようにすることで、ビジネスが上手くいくようになります。話を吸収するだけのスポンジではなく、相手の能力を引き出すトランポリンを目指すことで、Win-Winの関係を築けます。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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