外山滋比古氏の最高の雑談術 乱談のセレンディピティの書評


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最高の雑談術 乱談のセレンディピティ
著者:外山滋比古
出版社:扶桑社

本書の要約

乱談とは創造的な雑談となります。ひとりではなく、仲間といっしょに、語らい合っているうちに新しいアイデアが生まれます。専門性に閉じることをやめ、多様なメンバーを集め、乱談することで、異なる視点からのアドバイスをもらえ、解決策が見つかるようになります。

思考の幅を広げる乱談とは何か?

われわれ日本人は人をあまり信用しないところがあるのかもしれない。なにかあると、ひとりで考え込む、勇ましい人は山にこもったりする。人を信用しないのかもしれない。親しい人に相談するということも好まない。ひとり悩み、苦しむ。孤独である。それを個性的であると考えようとするところがある。人を信じないのかもしれない。(外山滋比古)

昨日、サードプレイスフェスティバルに登壇し、朝活をテーマにお話をさせていただきました。早朝6時30分から、Zoomで「朝活」について話すというオンライン朝活でしたが、いろいろな方とお会いでき、素晴らしい朝時間を過ごせました。今から7年ほど前にの1時間の違いですべてが捗る 朝活のススメという本がきっかけになり、今回久々にコロナ時代の朝活についてお話をしました。(こちらのYouTubeからご覧いただけます。)

嬉しいことに以前、勉強会で交流していた方から、久々にメッセージをいただき、本書最高の雑談術 乱談のセレンディピティをご紹介いただいたので、早速読んでみました。朝活に登壇というご縁から、良書に巡り会うことができました。本当、ご縁に感謝です。

「知の巨人」として有名な著者は乱読のセレンディピティの中で、乱読によって専門知識に偏ることを避けることで、様々な情報が脳内でつながり、斬新なアイデアが生まれるようになると述べています。その続編である本書では、最高の雑談術である「乱談」をすすめています。著者の定義によると乱談とは創造的な雑談となります。

日本人は、話すことばをバカにして、わからなくても難解な本を読むのが学問だと思い込んだ。ひとり黙々と外国の本を読む、というのが勉強だときめてしまった。文化的におくれた国として是非もないところだが、いかにもあわれである。

日本人は “目で考える”人たちが多く、孤独を好む傾向が強いと言います。本を読み、”ひとりで考える”ことは、主観的になりやすく、狭い世界に閉じこもりがちです。日本人はこの学び方を変え、もっと人との乱談を楽しんだ方がよさそうです。視覚的思考だけでなく、耳学問を重視し、聴覚的思考力を伸ばすことで、アイデアの幅が広がります。

話すことをバカにするのをやめ、もっと人と会って話すようにしましょう。3人寄れば、文殊の知恵とはよく言ったもので、多くの人の知恵を取り入れるのです。1人で考えるだけでは、セレンディピティは起こりません。3人、5人と多様な人が集まり、様々なテーマで議論を行うことで、今まで思いもしなかったアイデアが生まれてくるのです。

乱談から新しいアイデアが生まれる理由

ひとりではなく、仲間といっしょに、語らい合っているうちに発動する思考力というものをわれわれは、これまでほとんど問題にしたことがなかった。 それが、日本の学術、文化のおくれにかかわっているように思われる。ひとりではなく、同志と、本を読むのではなく、談話によって、新しい文化を開発することができる。 そういう信念をもとにして、クラブ的芸術、思考を模索していくと、乱談の思考、セレンディピティ(serendipity)に至るというわけである。 これなら国際競争に堪えるのではないか、とひそかに自負している。

乱談は、筋道が通っていては窮屈で、話が入り乱れて、収集がつかない方が面白いと著者は言います。同じようなメンバーを選ぶのではなく、そこには多様性が求められます。似たことを考えている人たちだけでは、お行儀がよくなり、うまく乱れることができません。

「本当に新しいことは、談論風発の風に乗って飛来する」と著者は言います。違った仕事をしている人、異なる専門の忙しい人たちが、用もないのに会うことは難しいことですが、この異質の交流をしないと新しいことは生まれてきません。

専門主義のいけないところは、すぐ行き詰まること。さらにいけないのは、新しいところへ踏み出す力に欠けること。ひと口で言えばおもしろくないことである。30年も小さな問題を専門にしていれば、人間がおかしくなる。生き生きした知的活動など望むべくもない。 

広告会社をやめ、いくつかの会社で社外取締役になってから、会う人の幅が広がりました。スタートアップの若手起業家や女性起業家、士業の人と会う時間が増えました。数社の役員会に参加し、様々な業種の人といろいろなテーマで話をすることで、今まで見えていなかった景色が見えるようになりました。

面白い雑談会には、準備が不要で、ほかの人の発言に触発されて、思いつきで意見を述べあうことで、知の化学反応が起こります。話が混乱する可能性が高くなりますが、日ごろ考えたこともないようなことが飛び出し、新たなアイデアが生まれます。

多くの勉強会は、真面目すぎた。勉強が過ぎる。第三者にはとりつくこともできないほどに整然としている。間違ったことを言ってはいけないという気持ちもよくない。危ないことは避け、安全なことばかりしゃべっていて、おもしろくなるわけがない。無責任に思ったことをしゃべる。間違っていれば撤回すればいい。危ない話は、だいたいにおいて、おもしろい。会は乱れた話にならないといけないが、一般に行儀がよすぎたのである。乱れてはいけない、と思いこんでいるから、一心不乱の考えしか生まれないのである。一心不乱は論理的ではありうるが、新しいものを生み出すことができない。

複雑と混乱の中から、新しいものは生まれると信じて、積極的に乱談を行いましょう。コロナ禍の中で、集まるのが難しくなっていますが、Zoomを使えば、すぐに多様なメンバーを集めることは可能です。アイデアに詰まったら、乱談を行い、自由闊達な意見を述べ合いましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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