NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来
著者:スコット・モーガン
出版社:東洋経済新報社
本書の要約
著者は〝人間である〟ことの定義を書き換えることで、自分の新たな人生をつくることを決断しました。全身が動かなくなる前に、身体機能の拡張手術を選択します。飛躍的に進化するテクノロジーによって、ALSを患った人や事故で体を麻痺させてしまった人に生きる希望を与えています。
ネオヒューマンになることを選択した科学者
統計的には、私はあと2年で死ぬことになる。つまり、未来を書き換え、世界に革命をもたらすのに、あと2年の猶予があるということだ。行く手には戦いに次ぐ戦いが待ち受けていることだろう。生死を分かつような戦いに違いない。結果は2つにーつ。私たちが勝って世界のあらゆるルールを変えるか、あるいは無残に打ち負かされるか。休戦はありえない。しかし、敗北もありえない。(スコット・モーガン)
全身が動かなくなる難病、運動ニューロン疾患(ALS)を患った著者のスコット・モーガンは、人類で初めて最先端のテクノロジーを活用し、自分をアップデートすることを決意します。
モーガンは2017年に運動神経細胞がゆっくりと変性し、重要な機能や随意運動を制御する神経システムの能力が次第に失われていくASLと診断され、余命2年の宣告を受けます。彼はここから自分のマインドセットを変え、科学者として壮大な実験を開始します。難病を「画期的な研究を進めるための機会」とみなし、自らを実験台として「肉体のサイボーグ化」と「AIとの融合」をスタートしたのです。
著者は〝人間である〟ことの定義を書き換えることで、自分の新たな人生をつくることを決断しました。全身が動かなくなる前に、身体機能の拡張手術を選択します。飛躍的に進化するテクノロジーによって、ALSを患った人や事故で体を麻痺させてしまった人に生きる希望を与えることにしたのです。
彼は自分をピーター2.0にアップデートするために、以下の手術を積極的に選択します。
■小型の人工呼吸器をつける。
■栄養チューブを胃に直接挿入。
■カテーテルを膀胱に挿し、人工肛門を結腸につなげる。
■唾液が肺に入るのを防ぐために咽頭を除去し、AIの音声合成でコミュニケーションする。
■自らのリアルなアバターを開発し、AIのボディーランゲージを使用し、自分の意志を周りに伝える。
■視線追跡技術などのテクノロジーを活用し、車椅子を動かし、移動の自由を確保する。
ピータは自らの肉体を機械に置き換えながら、デジタル空間を活用し、自分をアップデートします。
事故や病気で体が麻痺してしまったすべての人々に対して、生き方を改革するための解決策を提示できるのは言うまでもない。深刻な障害や孤独は、単純な老化によって引き起こされることも多いものだ。この問題についても幅広いメリットが期待できる。それ以外にも、ほとんど誰も気づいていない、隠れた副産物がある。人間とAIをシームレスに接続する方法を模索できるということだ。
世の中を変えるために先駆者となったスコットは、自分の体験をメッセージとして発信することで、さまざまな人に勇気を与えました。
ASLの患者を救うために、ITやデザイナー巻き込みながら、患者を支援する「スコット=モーガン基金」をつくりました。自らの体が動かなくなる中、ゲイのパートナーや支援者のサポートを受けながら、最後の力を振り絞り、他者への貢献を行います。
真に重要な宇宙の3つの法則
私たちは新時代の人間です。今は、夜明けの時代なのです。今なお私は、心底わくわくするような未来が手招きしているのを感じます。そして、今なお私は確信しているのです。人類が十分に賢く、勇敢でありさえすれば、そしてありったけのすばらしいテクノロジーを操ることさえできれば、たとえどんな運命が降りかかってきても私たちはまだ、未来を書き換え、世界を変えることができると。
多くのASL患者や家族は突然、病を宣告され、生きる希望を失うと言います。著者は、彼らに希望と、可能性と、選択肢を示したいと言います。
ASL患者には、死を選ぶ権利もありますが、生きる権利もあるのです。著者は選択は、真剣に比較するに足る代案があって初めて意味を持つと述べています。ASL患者にも生きる選択肢が存在することを、著者は患者に伝えています。
ASLは難病であることは間違いありませんが、飛躍的な進化を続ける最先端のテクノロジーを活用することで、人生を謳歌できるようになります。自分の意識を変えることで、充実したわくわくするような未来を選ぶことができるのです。
著者はテクノロジーを開発するだけでなく、世の中の考え方を変えていく必要があると考えています。そのためにメディアに取り上げてもらったり、ソーシャルメディアを通じて情報発信しています。
真に重要な宇宙の法則は3つしかないと著者は言います。
1.科学こそ、魔法への唯一の道である。
2.人類が偉大なのは、ルールをぶっ壊す存在だから。
3.愛は最終的にすべてに勝つ。
自分の人生が破壊され、ネオヒューマンになった著者は他者への貢献を忘れていません。ロボットと人との違いは愛にあることを著者は今後実証していくはずです。
その中では私のような人間高解像度のアバターとして活動するサイボーグが、再び自由になり、恐れ知らずになり、若さを取り戻し、不死身になることさえできる。あと10年か15年もすれば、脳に直接つないだコンピュータの処理能力が、ついに視線追跡システムを上回るだろう。そのときようやく、ヒトはAIと協働し、融合することを選択できるようになる。
人生100年時代を自由に生きるためには、自分をアップデートするという選択肢があります。私たちはテクノロジーによって未来を書き換えることができるのです。ALSの診断を受けても希望を捨てずに、新たな可能性を考える著者の姿勢からは勇気をもらえます。特に、声を失う前の最後のスピーチは感動ものです。レジリエンスがあれば、たいがいのことを解決できることを本書から学べました。
最後に著者の「ピーター2.0」の動画を紹介しておきます。
NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来
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