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ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる
著者:ジム・コリンズ、ビル・ラジアー
出版社:日経BP
本書の要約
戦略とはミッションを遂行するための方法です。①会社のビジョンの見直し。②内部評価を行い、会社の能力のチェック。③環境、市場、競合、トレンドなどの外部評価のチェック。④内部評価と外部評価を考慮しながら、現在のミッションを達成する方法について重要な意思決定というステップで策定していきます。
戦略とは何か?
戦略とは会社の現在のミッションを達成するための基本的方法論だ。要するに「私たちはこのようにミッションを遂行しようと考えている」というのが戦略である。(ジム・コリンズ)
ジム・コリンズのビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になるの書評を続けます。私たちは戦略立案を難しく考えがちですが、ミッションを遂行するための方法論だと簡単に捉えれば、無駄に悩まなくなります。
その際、計画を立てるより、ミッションを達成するための明確で堅実でシンプルな方法論を考えた方がよいとジム・コリンズはいいます。そこに、個人の主体性、機会、状況変化、創意工夫、イノベーションを盛り込んでいくのです。
●効果的戦略を策定するための4つの基本原則
1、戦略はあなたのビジョンに直結するものでなければならない。
2、戦略はあなたの会社の強みや固有の能力を活かすものでなければならない。
3、戦略は現実的でなければならない。
4、戦略策定には実現のカギを握る人々を参加させる。
戦略策定は、次の基本ステップを踏んでいきます。
①会社のビジョンを見直します。
②内部評価を行い、会社の能力のチェック。
③環境、市場、競合、トレンドなどの外部評価のチェック。
④内部評価と外部評価を考慮しながら、現在のミッションを達成する方法について重要な意思決定をする。
決定された戦略を、次のカテゴリーを使い、分解していきます。
●製品(またはサービス)”製品ライン戦略、製造戦略(あるいはサービスのデリバリー戦略)
●顧客(または市場セグメント)”あなたの顧客は誰か、どうやって彼らにリーチするのか。
●キャッシュフロー(財務戦略)
●人材と組織
●インフラ
内部評価
優れた内部評価は、次の3つの構成要素から成り立っています。
●強みと弱み
●リソース
●イノベーションと新しいアイデア
最初にすべきことは、あなたの会社が本当に得意なことと苦手なことをしっかり評価することだ。戦略とは強みを活かすことだと肝に銘じておこう。
賢い会社は、自社の強みを見つけ、他社よりもうまくできることに集中します。偉大な企業は弱みを克服する努力を怠らず、改善しようとします。リソースを最適な分野に投下し、イノベーションを起こせる環境をリーダーはつくらなければなりません。弾み車を回しながら、強みに新たな強みをつに上げていきます。偉大な企業ではイノベーションと戦略が表裏一体になっていると著者は指摘します。
外部評価
優れた外部評価には7つの構成要素があり、ここを分析します。
●業界と市場のトレンド
●技術のトレンド
●競合評価
●社会環境と規制環境
●マクロ経済と人口動態
●国際的脅威と機会
●総合的脅威と機会 業界と市場のトレンド
顧客の要望はどのように変化しているのか。顧客からの直接的インプットは戦略策定に欠かせない要素だ。直接的インプットを頻繁に受けるようにしよう。顧客は市場そのものであり、市場で何が起きているかを教えてくれる存在だ。競合についても教えてくれる。
特に顧客の声を聞くことは重要です。彼らからのフィードバックから問題を素早く見つけたり、イノベーションを起こすヒントを見つけられるようになります。マーケティングの基本を怠らず、競合分析やトレンド分析を行いましょう。
BHAG(社運を賭けた大胆な目標)を実現する方法
内部評価、外部評価のプロセスを通じて、あらゆる手を尽くして現実を直視すること、あなたが見たい現実ではなく、ありのままの現実を見ることが重要だ。偉大な企業の特徴のひとつが、リーダーや管理職が良い結果になるか悪い結果になるかにかかわらず、ひたすら真実を追求しようとすることだ。だがその逆の企業があまりに多い。
リーダーは、現実にきちんと向き合わなければなりません。ジム・コリンズはそのために以下のことを実践するとよいといいます。
①あなたの周囲にありのままの現実を伝えてくれる人材を置く。
公平で客観的なアウトサイダー(コンサルタントや社外取締役)の存在が役に立ちます。私は社外取締役やアドバイザーをしていますが、経営者には忌憚ない意見を伝えるようにしています。イギリスに首相だったチャーチルは、重要な課題についてありのままの真実を探り、明らかにすることに特化した専門組織を創ったほどです。
偉大な企業のリーダーは「ありのままの真実を伝え、頭脳明晰で容赦なく厳しいことを言う、嫌なやつといっても過言ではない人物」を積極的に登用する。(トーマス・J・ワトソン・ジュニア)
②あなた自身が直接、何が起きているかを把握するように努める。
自社製品を使って、あらゆる階層の社員の話を直接聞くようにします。顧客と対話も積極的に行い、製品に関する消費者レポートを読見ましょう。経営者自身が顧客の苦情に対応す流ことで、顧客のペインが見えてきます。
③真実を語った社員を絶対に罰してはならない。
問題や不愉快な事実を指摘した者を罰したり、敵視せずに、むしろ感謝の言葉を伝えるようにすべきです。
著者はスタートアップのなかで、変化の激しい混乱した破壊的業界で10x型企業になった会社の戦略を調べました。勝者となった企業は「建設的パラノイア」となり、イノベーションを起こし続けました。
10x型企業は創業初期から規律ある経営を行なっていました。比較対象企業と比べて、総資産に対する手元資金の割合を高めていました。彼らは予想外の出来事が起きても対応できるようにキャッシュを積み上げていたのです。
また、大惨事を引き起こしかねない無分別なリスクテイクを避けていました。成長する企業は、明確なビジョンをもち、それを実現するために、とことん努力を重ね、無駄なことをせずに正しいことを選択していたのです。
ジム・コリンズは明確なビジョンに沿った戦略を立てるべきだといいます。
曖昧なビジョンからは曖昧な戦略しか生まれない。明確なビジョンからは明確な戦略が生まれる。優れた戦略を立てたければ、まずは自分が何を実現しようとしているかをとことん明確に理解する必要がある。優れた戦略とは、コアバリューに忠実に、そしてパーパスに導かれながら、どのようにBHAG(社運を賭けた大胆な目標)を実現するか示すものだ。
まず、ビジョンがあり次に戦略、その次が戦術になります。コアバリューとパーパスを明確にしたら、BHAGを設定し、チームに正しい人材を集め、戦略を策定します。それから登頂のプロセスを「ベースキャンプ」ごとに分けます。これは3~5年で達成するべき目標で、達成するたびに山頂に近づいていきます。
次にこれからの1年の最優先事項を決めます。べースキャンプにたどり着くために達成しなければならない戦略的目標を決め、これを繰り返します。最初のべースキャンプに着いたら、2つ目のべースキャンプを調整し、明確にし、3番目、さらには4番目のべースキャンプを目指します。弾み車を回し続けつことで、最終的にBHAGに到達します。AmazonやAppleはビジョンを実現するための戦略を策定し、弾み車を回し続けることで、偉大な会社になったのです。
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