Apple Car デジタル覇者vs自動車巨人の書評

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Apple Car デジタル覇者vs自動車巨人
著者:日本経済新聞・日経クロステック合同取材班,鶴原吉郎ほか
出版社:日経BP

本書の要約

アップルはiPhoneを社内で設計し、鴻海などのEMSとの分業で利益率を高めています。アップルはこの手法を自動車業界に導入し、既存のメーカーをディスラプトしていくはずです。テスラ、鴻海、アップル、多くのベンチャースタートアップが自動車業界の常識を塗り替えようとしています。

自動車産業をディスラプトするI T企業

自動車が時代の動きに対応できていないのを見透かすように、巨大なIT企業が、自動車産業を「ディスラプト(破壊)」しようと相次いで乗り出してきていることが、「100年に1度の変化」の原動力になっている。(鶴原吉郎)

日本や韓国の自動車メーカーが、アップルと「アップルカー」の開発や製造で交渉しているいうニュースが、今年に入ってから何度となく報じられてきました。しかし、先日、アップルは自動車メーカーとの協力を断念して、EVを開発しているという噂が流れました。現在アップルは部品のサプライヤーを選定している模様です。

秘密主義を貫くアップルの動きの詳細は分かりませんが、自動車業界に異業種が参入する動きは加速しています。iPhoneの製造にも関わる世界最大のEMS企業である鴻海(Foxconn)は、2020年10月にEV向けプラットフォーム「MIH」を発表しました。MIHには、プジョーやフォルクスワーゲントラック&バス、AImotive、DeepMap、BARAJA、Microsoft、Arm、AWS、NTT、ローム、ブリヂストン、日本電産など600社が参加しています。

鴻海の劉揚偉董事長は以下のように発言し、2025年にEVの世界市場で10%のシェア獲得を目指すと宣言しています。

我々が今後、全世界にEVの工場をつくるのは間違いない。(劉揚偉)

MIHの狙いは、車両製造のノウハウのないIT企業や、自力でEVを開発する能力に乏しい小規模の完成車メーカーがEV市場に参入できるようにすることです。 鴻海だけでなく、日本電産も2025年にEVプラットフォームに参入することを表明しています。

トヨタ自動車はEVプラットフォームの「e-TNGA」をスズキ、ダイハツ工業、スバルと共同開発しています。フォルクスワーゲンはフォード・モーターにEVプラットフォーム「MEB」を供給することを表明しています。テスラも「ソフトウエアやパワートレーン、電池を他社に供給する用意がある」と表明しており、将来はEVプラットフォームの供給に踏み切る可能性が取り沙汰されています。

これまで完成車メーカーは車の開発、製造から販売網の構築までを一貫して手掛けてきましたが、今後、EVプラットフォームを供給する巨大企業が出現すれば、完成車メーカーは企画・開発と製造の分離という「解体」を迫られる可能性があります。

アップルカーの強みは何か?

EVプラットフォームは「群雄割拠」の時代に入ったといっても過言ではない。 先に触れたように、今後、車のEV化や、自動運転車を使った移動サービスの登場に伴って、異業種から自動車産業に参入する動きは加速すると考えられる。(鶴原吉郎)

他業種からの参入組から見ると見ると自動車製造は利益率の低いビジネスであり、魅力に乏しいものに映っています。IT企業は「車両製造は外部の企業に任せたい」と考えていて、車両製造の製造請負に対するニーズは今後も高まっていきます。

技術の世代交代が起きるときには必ずビジネスモデルの変化を伴い、変われない企業は淘汰されます。自社の事業をいったん「解体」し、時代の流れに合うように組み立て直すことができなければ、巨大な完成車メーカーといえども変化の奔流にのみ込まれてしまうことは過去の歴史が証明しています。ハードだけではなく、ソフトウェアを重視しなければ、日本の自動車業界も安泰とは言えません。

アップルはiPhoneを社内で設計し、鴻海などのEMSとの分業で利益率を高めています。アップルはこの手法を自動車業界に導入し、既存のメーカーをディスラプトしていくはずです。アップルはこの手法を自動車業界に導入し、既存のメーカーをディスラプトしていくはずです。

アップルカーの登場は、アップストアを利用した新しいビジネスモデルとともに、車の生産と販売のあり方をがらりと変える破壊力を秘める。とりわけ注目を集めるのは、EV化の中でたびたび構想されてきた生産の水平分業化を加速させかねないことだ。自動車産業における最大の参入障壁が消え、多くの企業の参入を促す起爆剤になり得る。(鶴原吉郎)

アップルはiPhoneと車をストレスなく連携させることを狙っています。これだけでもスマホを手掛けないテスラや既存の自動車メーカーとの差別化を図れます。アップルは車載情報システム「カープレイ」とデジタルキー「カーキー」、超広帯域無線通信(UWB)など、iPhoneユーザーの利用環境が途切れることなくアップルカーに引き継ぐ仕組みをほぼ構築済みです。

自動車開発では、公道での実験や多くの部品メーカーとの協力が欠かせません。自動車のサプライチェーンはスマホよりも巨大で、情報統制ははるかに難しいと言われています。アップルが秘密主義を貫くのであれば、開発は遅々として進まない可能性があり、テスラや競合が一気にマーケットを押さえてしまいます。マーケットの帰趨が決まると言われる2025年までの時間は限られています。

アップルが本気ならば、早晩、アップルカーの存在を明らかになるはずです。そのとき日本の自動車産業はどう向き合うのでしょうか?スティーブ・ジョブズ氏の夢ともいわれ、既存の車と異なる発想で開発されるアップルカーに対して、日本の自動車産業はどのような戦略で戦うのでしょうか?

車のデジタル化が進み、自動運転が当たり前になる中で、自動車においてもソフトウェアの比重が高まっていきます。「OTA(Over The Air=無線経由)」と呼ばれるソフトウェアのアップデートやEMSの手法が、自動車業界をディスラプトしていきます。テスラや鴻海、多くのベンチャースタートアップがEVでの覇権を目指す中、自動車業界から目を離せなくなっています。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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