解約率(チャーン)を下げる方法


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PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ
ウェス・ブッシュ
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

カスタマー・リテンション・レート(顧客維持率)を5%上げるだけで、売上を25~95%も上げられることがわかっています。新規獲得ファーストからリテンション・ファーストのマインドセットに移すと、ビジネスを著しく成長させることができるのです。

チャーンを減らすことが重要な理由

チャーン(解約)は、SaaS界における大敵だ。チャーンビーストの息の根を止めることは難しいが、飢えさせることはできる。そうしておかないと、プロダクトにフィットしない少数のユーザーや、ひどいオンボーディング体験が、ビジネスの存続を脅かすモンスターと化す危険性がある。ウェス・ブッシュ

ウェス・ブッシュPLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ書評を続けます。PLG(プロダクト・レッド・グロース/製品主導型成長戦略)を採用することで、企業の成長は加速します。

商品の購入を決める際、企業にとって事前にそれを試すことが、当たり前のプロセスになってきました。プロダクトをいち早くエンドユーザーに届け、その価値をできるだけ早く感じてもらうPLG戦略を採用することで、事業を一気に成長できるようになります。

しかし、いくらPLGがうまくいっても、チャーンされたら企業は成長できません。実は解約されるリスクが高いにも関わらず、積極的に抑える行動を起こしている企業が少ないのが実態です。

カスタマー・リテンション・レート(顧客維持率)を5%上げるだけで、売上を25~95%も上げられることがわかっているのですから、経営者はチャーンを下げることにフォーカスすべきです。新規獲得ファーストからリテンション・ファーストのマインドセットに移すと、ビジネスを著しく成長させることができるのです。

ただ、チャーンレートが低くても大口顧客を逃したら意味はありません。チャーンレートが1%以下だったとしても、キャンセルしたのが一番の大ロユーザーだったとしたら、MRR(Monthly Recurring Revenue/月次経常収益) が40%下落する場合があります。

カスタマーチャーンとレベニューチャーンは、毎月の指標として取り入れることができる。アクティビティチャーンは、解約する可能性があるユーザーを特定し、売上に影響がでる前に対処するために役立つ。

■チャーンの3つの側面
①カスタマーチャーン:定期間中に失ったユーザー数
②レベニューチャーン:定期間中に失った売上額
③アクティビティチャーン:解約リスクがあるとされるユーザー数(例…2カ月以上アプリにログインしていないユーザー数)

チャーンを減らす方法

カスタマーチャーンを算出するためには、一定期間中の解約者数を全ユーザー数で割るだけです。
カスタマーチャーン=(解約ユーザー数÷全ユーザー数)×100

チャーンビーストを倒す確実な方法はありませんが、どんな改善も、小さな勝利につながります。

自社の一番のコアユーザーを来月失うと、カスタマーチャーンレートに影響はありませんが、売上には大きな影響を及ぼします。
レベニューチャーンー= (解約するユーザーのMRR(月間経営収益)÷MRR合計)×100 

インターコム社の共同創始者、デス・トレイノア氏は次のように述べています。

一般的に、ユーザーはプロダクトを徐々に使わなくなるものだ。毎朝使っていたものが月1回へと減り、あるときもうまったく使っていないことに気がつく。この時点でユーザーは「チャーン」する。実際は、その何カ月も前に決断が下されていたにもかかわらず、である。 ユーザーがプロダクトを半年使っていなければ、解約リスクがある。ユーザーがアカウント上のすべてのデータをエクスポートしはじめたときも、解約の前兆かもしれない。(アクティビティチャーン)

カスタマーサクセスは顧客の変化に注意を払い、プロダクトエンゲージメントを高めるべきです。

■プロダクト・エンゲージメントを測定するための5ステップ
ステップ1 プロダクトのエンゲージメントを定義する
ステップ2 プロダクト・アクティビティ(イベント等)をトラッキングする
ステップ3  各エンゲージメント・イベントを重み付けする
ステップ4  スコアを標準化し、意味付けをする
ステップ5  スコアを実行可能なアクションに落とし込む

チャーンを改善する最も強力な方法のーつは、強固なカスタマー・オンボーディングプロセスを構築することです。ウェルカムメールを送ったり、一対一のオンボーディングコールをかけたり、使い方紹介のコンテンツを送ったりし、結果を出すようにしましょう。

ウェルカム体験が、ユーザーを支援するものにすることで、顧客との関係を強化できます。ユーザーが成し遂げたいゴールに近づけるように、ペインを取り除いていくのです。アビリティ・デッドとは、ユーザーがプロダクトから主要成果を成し遂げられなかったたびに自社が支払う負債のことですが、この負債を減らすことに注力しましょう。

プロダクトを使いこなせないと、ユーザーはプロダクトから最大限の価値を得ないまま解約してしまいます。
アビリティ・デッドを返済するためには、利用時に生じる摩擦を可能な限り取り除く必要があります。アクティビティが低いユーザーに対してリマーケティング・キャンペーンを打ち出したり、カスタマーサクセスチームとの一対一のミーティングを早めに設定します。

ユーザーがなぜ解約したのか理由が分からないのでは、機会の損失になります。自社ビジネスの解約理由を理解するためには、直近に解約したアカウントにアンケートを送るようにします。 アンケートの見込み回答それぞれに、アクションアイテムを紐づけるようにします。
・評価中→トライアル期間の延長を提案する
・ニーズに合わなかった→育成(ナーチャリング)ファネルに戻す
・複雑すぎる→カスタマーサクセス担当者との電話を予約する
・価格が高すぎる→一度きりのディスカウントを提供する

チャーンを無くすためには、カスタマーサクセスを社内に置くべきです。カスタマーサクセスは、ユーザーがプロダクトで成功する方法を考え、顧客のペインを見つけ、それを取り除いていくことで、プロダクトの利用を促進します。ユーザーがプロダクトで成功を勝ち得れば、自ずとチャーンは減るはずです。

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