リーダーシップ・マスター――世界最高峰のコーチ陣による31の教え(マーシャル・ゴールドスミス他)の書評

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リーダーシップ・マスター――世界最高峰のコーチ陣による31の教え

マーシャル・ゴールドスミス, ローレンス・S・ライアンズ, サラ・マッカーサー
英治出版

本書の要約

現代のようなVUCAな時代には、学習や変革の必要性がかつてなく高まっています。経営陣は過去の反省をするばかりでなく、将来の可能性にフォーカスを当てるような組織を作るべきです。経営陣が自ら変わると決め、コーチングを受けることで、組織の課題を解決できるようになります。

コーチングにおいて、キー・ステークホルダーの協力が欠かせない理由

もし個人や組織が新しいビジネスの世界で成功しようと思うなら、リーダーシップの姿勢や考え方に取り組むことが必須だ。優れたコーチングは対話とマナーの両方を提供する。どちらもリーダーシップがうまく機能するためのシステムとプロセスに必要なものだからだ。私たちにとってコーチングとは、働く人々の人間性を回復するものなのだ。(マーシャル・ゴールドスミス)

エグゼクティブ・コーチングは、リーダーの行動の問題点を明らかにします。クライアントの対話と適切なフィードバックを通じて問題に取り組み、行動変革プランを立てて、その実践を後押しします。

本書は世界的大企業の名経営者100人以上をコーチしたマーシャル・ゴールドスミスやリーダー・トゥ・リーダー研究所(旧ドラッカー財団)の客員メンバーのローレンス・S・ライアンズ 、エグゼクティブ・コーチング関連書籍のエキスパートのサラ・マッカーサーなど38人のリーダーシップマスターの叡智が集結しています。今回はその中から、マーシャル・ゴールドスミスのコーチングメソッドを紹介します。

マーシャル・ゴールドスミスは、クライアントの回りにいるキー・ステークホルダーの協力が欠かせないと言います。クライアントとキー・ステークホルダーは、以下の4つのポイントに留意すべきです。

①過去を持ち出さない。
過去のことを頻繁に持ち出されると、自分を変えようとしているクライアントの意欲は低下します。過去に何があったにしても、それは終わったことで、過去を変えることはできません。改善不可能な過去ではなく、未来にフォーカスし、クライアントの可能性を引き出しましょう。未来に焦点を当てることで、キー・ステークホルダーはクライアントの進歩を手助けできるのです。(フィードフォワード

フィードフォワードには人生をもっと楽しいものにしてくれるという面もある。マネジャーたちに「前回フィードバックを受け取ったとき、どんな気持ちになりましたか」と質問すると、答えのほとんどはネガティブなものだ。一方、フィードフォワードを受けたあとどう感じたかを質問すると、役に立つだけでなく面白かった、と彼らは答える。

組織の未来を考えた良質なコミュニケーションは、組織をまとめる接着剤の働きをします。フィードフォワードを利用することで──また他の人々にそれを促すことで──リーダーは組織内でのコミュニケーションの質を劇的に高めることができます。

②皮肉や嫌味や批判を言うのではなく、協力し、支える。
協力し支えてくれる同僚がいると、クライアントの意欲は高まり、そうでない場合に比べてはるかに成果が上がります。キー・ステークホルダーは、ネガティブな発言を封印し、ポジティブな言葉で応援しましょう。

③事実を言う。
キー・ステークホルダーたちがクライアントに賛辞を送ったあとで、そのうちのひとりが「彼は実際は向上していません。『向上している』と言ってみただけです」と言う場合があります。キー・ステークホルダーはクライアント、企業、コーチに対してフェアな態度でのぞむべきです。

④自分自身も向上する何かを見出す。
キー・ステークホルダーが積極的に行動することも重要です。キー・ステークホルダー自身も何か改善点を見つけたり、クライアントに意見を求めることで、組織が変わります。コーチングのプロセス全体が、「一方通行」ではなく「双方向」になることで、キー・ステークホルダーはクライアントの「審判」ではなく、クライアントと同じように向上を目指す「仲間」となるのです。

組織の関係性が改善することで、思考や行動の質が高まり、組織が成長するようになります。経営陣の意識と行動が変わることで、個々のメンバーのポテンシャルがアップし、企業の成長が加速します。

リーダーシップ・コーチングの9つのステップ

社員を成長させたいと思うなら、まずあなた自身の成長からはじめてください。

マーシャル・ゴールドスミスは、リーダーシップ・コーチングの9つのステップを明らかにしています。
1、クライアントに要求する
「リーダーとしての行動」を決める場に、クライアント自身もプロジェクトの参加してもらいます。要求される行動がどんなものであるかを明確に理解していないリーダーに、行動の変化を期待することはできないからです。

2、キー・ステークホルダーを決める場にクライアントも参加させる。
クライアントは望ましい行動を明確に理解するだけでなく、キー・ステークホルダーについても理解する必要があります。クライアントがフィードバックの妥当性を受け入れない主な理由は、ステークホルダーへの質問項目が適切でないか、あるいは評価者が適切でないかのどちらかだとゴールドスミスは指摘します。望ましい行動とキー・ステークホルダーについて、事前にクライアントと経営陣から同意を得ておくことで、クライアントは積極的にコーチングに取り組むようになります。

3、フィードバックを受ける。
ゴールドスミスのコーチングではキー・ステークホルダーすべてにインタビューします。CEOかCEO候補の行動を変える際に、クライアントの合意がなければ、適切な変化は望めません。行動の変化についての評価を行い、フィードバックを行うことで、クライアントが成長するのです。

4、変えるべき行動を絞り込み、合意を形成する。
クライアントについて、変えるべき行動の領域を1つから3つに絞るようにし、それをクライアントと上司と合意します。クライアントが最も重要な行動領域に最大限の注意を払うことで、行動が変わります。

5、クライアントにキー・ステークホルダーとの対話の場を持たせる。
コーチングを受けつつキー・ステークホルダーの評価も受けるクライアントは、それぞれのキー・ステークホルダーと対話し、改善の対象になっている行動領域をどう変えるべきかについてさらなる「フィードフォワード」受けるようにします。

クライアントを行動を変えたければ、かつての間違った行動について、ステーク・ホルダーに謝るべきです。そのうえで、変化へ向けて努力することへの支援を求めるようにします。クライアントは相手の提案に耳を傾けることに専心し、その提案を受け入れるようにします。

6、その時点までにクライアントが学んだことを振り返り、クライアントがアクションプランを作る手助けをする。
コーチはクライアントの成長のために、フィードバックと次のアクションプランを作成します。

7、継続的にフォローアップする。
継続的なフォローアップは、効率的にかつ焦点を明確にして実行すべきです。

8、結果を確認し、再スタートする。
クライアントがコーチングのプロセスに真剣に取り組んでいれば、ほとんどのキー・ステークホルダーが「向上している」という評価を下します。達成された成果をもとに、それまでのプロセスをさらに12~18カ月繰り返します。このようなフォローアップによって当初の目標に向かって確実に前進できるようになり、さらなる改善点も明らかになってきます。

9、目的が達成されたらコーチングを終える。

世の中は日々激変し、ますます複雑になっており、経営者は多岐に渡る課題をい解決する必要があります。現代のようなVUCAな時代には、学習や変革の必要性がかつてなく高まっています。経営陣は過去の反省をするばかりでなく、将来の可能性にフォーカスを当てるような組織を作るべきです。経営陣が自ら変わると決め、コーチングを受けることで、組織の課題を解決できるようになります。

フィードフォワードは未来の自分の可能性を広げてくれる他者とのアイデア会議です。よいと思ったアドバイスを取り入れ、それを習慣にすることで、組織の成長が加速します。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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