ナシーム・ニコラス・タレブの身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質の書評

身銭を切ることは、公平性、商業的な効率性、リスク管理にとって必要なだけではない。この世界を理解するうえで欠かせない条件なのだ。 (ナシーム・ニコラス・タレブ)


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身銭を切ることの重要性

現代の政治家や官僚は身銭を切らなくなっています。ブラックスワンで有名なナシーム・ニコラス・タレブ身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質のなかで、身銭を切ることを以下のように定義しています。

身銭を切るという行為の本質は、公正、名誉、犠牲といった、人間の実存にかかわる物事にある。 身銭を切るという原則を取り入れれば、文明化に伴ってどんどん広がっていく次の乖離の影響を抑えられる。それは、行動と口からでまかせ(くっちゃべり)、結果と意図、実践と理論、名誉と名声、専門知識とペテン、具体的と抽象的、倫理的と合法的、中身とうわべ、商人と官僚、起業家と最高経営責任者、強さと強がり、愛と玉の輿、コヴエントリーとブリュッセル、オマハとワシントンDC、人間と経済学者、作家と編集者、学究と学問、民主制と統治、科学と科学主義、政治と政治家、愛と金、精神と字義、大力トーとバラク・オバマ、品質と宣伝、コミットメントとシグナリング、そして何より、集団と個人だ。

利益を手にするにはそれと対称のリスクを取る必要がありますが、一部の人は身銭を切らずにテイカーになろうとします。リーマンショックの時のロバート・ルービン財務長官は、事前に手に入れた利益を守るために、リスクを他人(庶民)に転嫁しました。

自分の過去の言動をごまかしたり、行動より説明を重視する人が多すぎるのが、現代社会の大きな問題です。行動する人たちがいれば、システムが経験を重ね、未来をよりよくします。身銭を切るという行為が、人間の傲慢さを抑制すると著者は指摘します。他者のためにリスクをとる崇高な人がいたからこそ、私たちの生活が進化したのです。

 

他者のために身銭を切る人が世の中をよくする?

ハンムラビ法典には、ひとつの中心的なテーマがある。誰も隠れたテール・リスク(つまりロバート・ルービン風のリスク)を他者に転嫁できないよう、取引する人々どうしに対称性を定めているのだ。そう、文明が発祥して間もない3800年も前から、ロバート・ルービン取引は存在していたし、それを抑止するためのルールも存在していたわけだ。

ハンムラビ法典には、「建築者の建てた家が崩壊し、家の所有者が死んだ場合には、その建築者を死刑に処す」という有名な文章があります。建築家(またはトレーダー)は、自分にしかわからないような稀な事象に対する弱点をを必ず隠します。著者はテール・リスク(ロバート・ルービン)取引を魅力的なものでなくし、一般大衆を守れるように、一定の罰則を彼らに科さなければ世の中はよくならいと指摘します。

他者を言葉で誤魔化す偽物ではなく、実際に行動する人(身銭を切る人)を信頼すべきです。

人間の行動は、具体的で測定できるものなので、私たちが着目すべきなのは行動のほうだ。この公理、いや、原理とさえ呼べるものは、非常に強力なのだが、研究者たちが従うことは少ない。顕示選好の概念をいちばんよく理解しているのは、婚約者だ。たったひとつのダイヤモンドを渡すほうが(買い手が買い渋るようなものならなおさら)、口先だけの約束よりもよっぽど説得力がある(おまけに、撤回しづらい)。予測に関していえば、そんなものは無視しちゃってかまわない。

私たちは学ぶことを重視するあまり、肝心なことを見落としてしまいます。教授から学べるのは主として教授になる方法だし、ライフ・コーチや感動的な講演家から学べるのは主としてライフ・コーチや感動的な講演家になる方法でしかありません。

歴史を変えた英雄たちは行動家であり、リスク・テイクの精神を持ってました。 今、世の中で中心的な役割を果たしている銀行家や官僚、政治家は所詮身銭を切らない人々で、他者にリスクを移そうとします。一方、身銭を切る人は ダウンサイドを引き受け、自分自身でリスクを負います。

起業家や職人、作家、投機家がこれに当たります。さらに、 他者や普遍的な価値のためにダウンサイドを負う人(他者のために身銭を切る人)がもっとも崇高です。魂を捧げた先に、よりよい人生があることを彼らは明らかにしています。 起業家、イノベーター、アーティスト、本物の作家、革命家や戦士はリスクをとります。 彼らは低俗なビジネスには手を出さず、自分の思想や意見を命懸けで守り抜くのが唯一最大の名誉だと考えているのです。ほんの一握りの勇気を示し、身銭を切ることで社会はうまく機能するのです。

本書で、政治、宗教、哲学、言語、金融、食事など過去の歴史を学ぶことで、不確実で予測不可能な時代を生きるヒントを見つけられます。何度も読むことで、より深い理解を得られる良書です。

まとめ

身銭を切るという行為が、人間の傲慢さを抑制し、システムが積み重なることで、世界は進化してきました。他者のためにリスクをとる崇高な人がいたからこそ、私たちの生活がよくなったのです。他者のためにリスクを取る人々がいることで、社会が機能します。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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