非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術(齋藤太郎)の書評

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非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
齋藤太郎
東洋経済新報社

本書の要約

従来の常識が通用しないVUCAの時代には、一般のビジネスパーソンにもクリエイティブな思考が求められています。クリエイティブに課題解決をしていく力、もっと言えば、結果を出すための「ビジネスのクリエイティブ」は、この先ますます必要になってきます。

ビジネスパーソンにクリエイティブマインドが必要な理由

クリエイティブなスキルやマインドは、多くのビジネスパーソンにとって、今後のビジネスで勝つために必須の要素になってきている、ということなのです。(齋藤太郎)

『角ハイボール』ブームや『ポケトーク』『(タクシーアプリ)GO!』の仕掛け人でもあるコミュニケーション・デザイナーの齋藤太郎氏。彼はどんな依頼も「なんとかする」プロフェッショナルとして、多くのクライアントから支持されています。

従来の常識が通用しないVUCAの時代には、一般のビジネスパーソンにもクリエイティブな思考が求められています。クリエイティブに課題解決をしていく力、もっと言えば、結果を出すための「ビジネスのクリエイティブ」は、この先ますます必要になってきます。心がけ次第で、私たちは誰もがクリエイティブな仕事の進め方ができるようになります。

正しい答えがわからない時代には、クライアントサイドのオリエンが正しいとは限りません。当然、オリエンにはクライアントや上司、担当者のバイアスがかかります。フラットな目線を持ち、課題の本質を見つけることで、それとは異なる提案が必要な場合も出てきます。

著者は課題解決には3つのステップがあると言います。
1、課題の本質を見つける
2、(解決策の)仮説を立てる
3、解決策につなげる

私は社外取締役、アドバイザーとして、経営者にしつこいくらい質問を繰り返し、企業の課題を発見し、経営戦略をともに考えます。10年後の理想の姿をイメージし、そこからバックキャストして現在の課題を洗い出し、ギャップを埋める作業を行なっています。著者と同じ広告業界出身の私は、マーケティングで多くのことを解決できると考えていましたが、経営者や顧客の視点が足りないプランは価値がないことを理解できるようになりました。

私は経営者の話に興味を持ち、彼らのパーパス、ビジョンを聞き出します。時には、彼らが抱える不安を見出し、それを言語化するようにしています。ここから解決策が見つかることもあります。

著者は3つの視点を持つことが重要だと言います。
・鳥の目 俯瞰で全体感を把握する(世の中、業界、企業、商品、サービス)
・虫の目 日常レベルの視点(顧客へのベネフィット)
・魚の目 時代の流れ(流行やトレンド)を見る

その上で、クライアントと理想の未来を語り合い、それを実現することをイメージすると著者は述べています。私も理想の未来を言語化し、それを実現することを戦略の柱に置いているので、この考え方に共感を覚えました。
いきなり商品からマーケティングを考えるのではなく、「組織・文化」「経営者」「社員」「ビジネスモデル」などの上流から考えると、よりよい解決策が見つかります。

一言で言えば、それって何?というタグラインを考える、飛び地にいかない(自由な発想にも守るべき一線がある)など著者のシンプルなメソッドは、普通のビジネスパーソンでも使いこなせます。そのプロダクトやサービスがそもそも何なのかを自問し、正しいタグラインを考えることで、マーケティングのコンセプトが見えてきます。

新しい働き方・ハッピー鬼十則とは?

もちろん失敗をする可能性はあります。だから「悲観的に考えて、楽観的に行動する」ことが大事になります。仕事ができる人は、ものすごく慎重だし、臆病です。これは、すべて己に責任があると考えているからでもあります。覚悟もあるし、失敗しないかどうかをかなり慎重に考えるので、臆病になるのです。しかし、「悲観的に考えつつも、楽観的に行動する」ことを意識していると、思い切ったことができるようになります。

失敗することを恐れないためには、許容できる範囲をあらかじめ見極めて、最悪のシナリオでも問題はないというところまで考えを突き詰めるようにしましょう。多少、何かが起きたとしても、大したことはないと思える状況を作り出すことで、不安を減らせます。一方、行動が悲観的だと、アクセルを踏めず、クリエイティブなアイデアが生まれませんし、世の中にも貢献できません。

元電通の著者ならではのメッセージが最後に紹介されています。それは広告業界で有名な「鬼十則」を令和の時代にアップデートしたdofの「ハッピー鬼十則」です。これを読めば、仲間とハッピーに働ける方法がわかります。

1、ハッピーの三方よし
2、「なんとかする」から頼られる
3、情・理・利
4、目を凝らせ。憑依せよ。
5、好奇心は不死身だ、
6、やらずに後悔するならやって後悔しろ。
7、Give&Takeじゃない。Give&Give&Giveだ。
8、誰に対してもフェアでいる。
9、たかが仕事、されど「志事」。
10、ぜったいに一人にはしない。
11、とはいえあなたの人生だ。

言われたことだけやる仕事から抜け出し、ハッピーに志事をし、他者に貢献することが新たなビジネスパーソンのスキルであることは間違いありません。齋藤氏のdofのハッピー鬼十則には、楽しく働くことのメリットが凝縮されています。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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