Invent & Wander――ジェフ・ベゾス Collected Writingsの書評


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Invent & Wander――ジェフ・ベゾス Collected Writings
ジェフ・ベゾス, ウォルター・アイザックソン
ダイヤモンド社

本書の要約

ジェフ・ベゾスはアイデアと失敗を恐れぬ行動からアマゾンという巨大なビジネスを生み出しました。ベゾスは、優秀な経営者であると同時にリスクをとる達人で、アマゾンは数多くの失敗を乗り越えてきました。たとえ、失敗をしてもそこから学び、いくつもの大勝ちをすれば、未来を明るくできることをアマゾンは証明したのです。

失敗を乗り越え、イノベーションを起こすジェフ・ベゾス

後悔の数をできるだけ減らしたいんだ。80歳になったとき、これに挑戦したことは絶対に後悔しないはずだと思った。ものすごく大きなトレンドになりそうなこのインターネットってやつに自分が参加しようとしたことには後悔しないだろう。もし失敗しても後悔はしないが、やらなかったら後悔する。きっと毎日心残りがつきまとうとわかっていた。ジェフ・ベゾス

ジェフ・ベゾスの株主への手紙や過去の言葉を集めたCollected Writingsを読むことで、彼の先見性に改めて気づけます。本書の前半部分は、スティーブ&カレン・アンダーソンベゾス・レター:アマゾンに学ぶ14ヵ条の成長原則」に被るところもありますが、顧客価値を最大化するために、絶えず変革を求める姿勢のDay1や失敗を恐れない行動力から、起業家は多くのことを学べると思います。(ベゾスレターの関連記事

ベゾスは大きなリスクをとって、インターネットビジネスの可能性に賭けました。彼が持っていたのは、ドットコムビジネスのアイデアと、かき集めた資金と親からの借金だけだでしたが、アイデアと失敗を恐れぬ行動からアマゾンという巨大なビジネスを生み出したのです。ベゾスは、優秀な経営者であると同時にリスクをとる達人で、アマゾンは数多くの失敗を乗り越えてきました。

ベゾスはファイフォンの失敗も大したことではなかったといいます。失敗をしてもそこから学び、いくつもの大勝ちをすれば、未来を明るくできるのです。

私たちは何度も間違ってきたし、ファイアフォンのような大失敗もあった。そのほかにもうまくいかなかったことはたくさんある。失敗に終わった実験をすべて書き連ねるのはやめておくが、いくつか大勝ちすれば、無数の失敗した実験のもとは取れる。

実際、ファイアフォンは失敗でしたが、私たちは失敗から学び(開発者も確保して)、エコーとアレクサの開発を加速させることができたとベゾスは述べています。

アマゾンは多くのM&Aを成功させてきますが、彼は企業価値だけでなく、経営者の人間性を直視しています。

私はいつも、まず何よりもひとつのことを見極めようとする。その人が使命を持った伝道者か、それとも金目当ての傭兵かということだ。傭兵は株をすぐに手放す。伝道者は自分たちのプロダクトやサービスを愛し、顧客を愛し、偉大なサービスをつくろうと努力する。矛盾するようだが、より多くのお金を稼ぐようになるのは伝道者のほうだ。

ベゾスにとってホールフーズのジョン・マッキーは伝道者であり、その情熱はホールフーズの哲学に吹き込まれていたから、ホールフーズをM&Aしたのです。

ベゾスはアマゾンのリソースの一部、技術的なノウハウの一部を使って、ホールフーズの「あらゆる人々にオーガニックで栄養のある食品を届ける」というミッションを広めていくことをサポートしました。

私はアマゾンにM&Aされた直後に、シアトルのホールフーズの店舗で買い物をしましたが、そこではアマゾン・エコーが販売されていました。プライム会員はホールフーズで割引を受けられたり、配送サービスの「プライムナウ」が利用できるようになるなど顧客体験は確実に高まっていました。

アマゾンは売上低下で苦しんでいたホールフーズのサービスを高めることで、同社の救世主になったのです。当然、アマゾンはリアル店舗のコンタクトポイント、食品スーパーのノウハウやホールフーズの顧客リストを手に入れることで、メリットを享受しています。

アマゾンはリスクを取り、失敗を糧にすることで成長を手に入れた!

アマゾンの成功は約束されたものではありませんでした。初期のアマゾンへの投資はきわめてリスクの高いものでした。創業から2001年末までの累積損失は30億ドル近くにまで膨らみ、やっと四半期黒字になったのは2001年の第4四半期でした。 頭の切れるアナリストはみな、私たちがバーンズ・アンド・ノーブルにボロ負けするだろうと予想していましたし、私たちを「アマゾン・ドット・トースト(終わった)」とけなしていました。起業から5年後の1999年には、金融専門誌のバロンズが「アマゾン・ドット・大失敗」という見出しをつけて私たちの破滅は近いと予想しました。

アマゾンの株価はインターネットバブルが弾けたあとで6ドルまで下がりました。多くのアナリストがこの時にアマゾンの倒産を予測しました。しかし、ベゾスは企業評価が下がっても、自分の信念を曲げずに、ビジョンに向かって行動を続けました。

イノベーションには実験がつきものですが、前もって何がうまくいくかはわかりません。常識はずれの賭けを続けたベゾスは、ドットコムバブルで数多くの企業が敗退する中、再び会社を成長軌道に乗せることに成功します。

アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)をはじめたときにも「コンピューティングとストレージを売るなんて、オンライン書店と何の関係があるんだ?」と批判されました。クラウドコンピューティングの可能性が高まっていたのに、このビジネスの可能性に誰も気づいていなかったのです。ベゾスはリスクをとってAWSに賭け、新たな利益イノベーションを手に入れます。その後、AWSはアマゾンの多くの利益を稼ぎ出すようになり、この利益を投資することで、アマゾンからは新たなイノベーションが次々に生まれています、

これまで失敗に何十億ドルと注ぎ込んできました。失敗には必然的に発明とリスクテイクがついてきます。だからこそ私たちは、アマゾンを世界中でどこよりも失敗を歓迎する場所にしようと努力しています。 創業以来、アマゾンでは「はじまりの日」の精神を肝に銘じてきました。つまり、すべてのことに初日と同じ活気と起業家精神で取り組むということです。アマゾンは大企業ですが、デイワン精神を企業DNAの柱にするよう全員が努力すれば、大企業の規模と能力を持ちながら、同時にスタートアップの心と精神を持つことができるはずです。

顧客をを喜ばせようという想いから、アマゾンは次々とイノベーションを起こしています。顧客を大切にするというビジョンのもと、社員が自発的にサービスを改善したり、新しいプロダクトを開発しているのです。

アマゾンは絶えず成長し、強大な利益を叩き出していますが、その業績の仕込みは3年前に終わっているのです。ベゾスは経営者は2,3年先を見通す、行動すべきだといいます。未来から逆算すれば、やるべきことが見え、リーダーが重要な決断ができるようになるといいます。 経営者が1日に3つの良質な決定ができれば、企業の長期的な成長が約束されるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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