ジャスパー・チャンのDay 1〈デイ・ワン〉 毎日がはじまりの日の書評


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Day 1〈デイ・ワン〉 毎日がはじまりの日
著者:ジャスパー・チャン
出版社:PHP研究所

本書の要約

真のCustomer Obsessionを目指すAmazonは、社員であるアマゾニアンにDay1であることを求めます。「毎日がはじまりの日」と捉えることで、Amazonの掲げるミッションである「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」を実現できると考え、彼らは日々行動しています。

AmazonのDay1とは何か?

成長の過程では、どんどん違うステージが見えてくる。だから、持続的成長のためには、同じやり方を続けていてはいけない。次にくる波の大きさを思えば、それまでの成功体験における学びに対しては自動化やAIを活用し、仕事や権限の委譲をして、メカニズム化していくことが必要になる。これらのことを常に考え、続けていく必要がある。(ジェフ・ベゾス)

1997年、アメリカのナスダック市場に上場したAmazonは、当初は赤字続きで、投資家はジェフ・ベゾスの行動に懐疑的でした。ベゾスは顧客体験を最大化することを重視し、利益をあげるより、積極的な投資を続けます。Amazonは、常にお客様の声に耳を傾け、カスタマーエクスペリエンスにおける課題や機会について考え続けることで、事業を成長させてきたのです。

Amazonの社員は顧客が気づかないところまで先回りして発見し、その提供のためのサービスを開発していくことが求められています。顧客体験を高める”Customer Obsession”(カスタマーオブセッション)という言葉が、社内の共通言語として定着し、アマゾニアン(社員)の行動指針になっています。

日常において、このCustomer Obsessionを追求していくことが、Amazonの社員仕事の原点であり、同時に、「D「Day 1(デイ・ワン)」であり続けるために最も重要な姿勢であるとAmazonジャパン代表のジャスパー・チャンは述べています。

創業時にジェフ・ベゾスは、社員に対して、Day 1というメッセージを伝えました。「毎日がはじまりの日」と捉えることで、Amazonの掲げるミッションである「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」を実現できるとベゾスは考えていたのです。

ベゾスはDay 1であり続けるために、〈1〉真のCustomer Obsessionを目指す、〈2〉Proxies(「実体を隠す手段」)に抗う、〈3〉外部トレンドを受け入れていく、そして〈4〉迅速な意思決定をすることが重要だと「株主への書簡」に書いています。AmazonはDay2(死)に至らないために、Day1を日々意識し、Customer Obsessionの視点を忘れないようにしているのです。

常にDay1であることを掲げるAmazonでは、進化し続けることが当然のことであり、会社の成長に合わせて、個々が成長し続けることが大切であり、そのことがDay1の姿勢を維持していることにつながっているのかもしれません。(ジャスパー・チャン)

ジャスパー・チャンは、Day1であるために、日々以下のことを実践していると言います。
■今に集中する
■好奇心と聴きに行く力を高め続ける
■情報を活かしてメカニズム化する思考を身につける
■イノベーションの源泉を大切にする
■習慣をつくる
■自分なりの心の姿勢をもつ
■無意識の偏見を取り払う
■いつもCustomer Obsession

Amazonが企画にパワーポイントを使わない理由

Amazonでは企画を説明する際に、パワーポイントを使いません。working-backwards(ワーキング・バックワーズ)という考え方の元、企画の立案者はPR(プレスリリース)とFAQ(想定問答)を書きます。PRとFAQの作成に多くの時間をかけ、考え抜いた詳細な文章を準備することで、 会議でも細部にわたり議論し、顧客のためのプランニングを行います。メンバー同士の深い議論によって、お客様の支持を得る可能性が高まり、よりよいサービスがここから生まれます。

私たちアマゾニアンは、組織の規模に相応のリスクを取っていく責任があるというAmazonの基本的な考え方に基づいた行動が求められます。言い方を変えれば、お客様を大切にし続けることは、常にそれなりのリスクを取り続けていくことだといえます。

会社がリスクを取っていく姿勢を常に社員に見える化していくことは、モチベーションの面でも、チーム運営の面でも、とても重要だと著者は指摘します。

各事業部門での重要な会議には、常にリスクを取ることを視野に入れつつ、新規事業やサービスなどの発案者であるリーダーが積極的に議論を進め、立ち上げに責任をもつようにしています。ボトムアップでイノベーションを創出し続けるためには、より現場に近い社員一人一人がリーダーシップを発揮し、Ownershipを持ち続けることが重要です。

新しいサービスを導入後でも、AmazonはDay1の視点で動きます。週次で進捗を確認することは当たり前で、新しいサービスの発想につながる様々な案件が出てきた場合には、常に顧客起点に立ち戻り、アイデアを生み出していきます。

Amazonには有名な14項目からなる企業理念であるLedership Principlesがありますが、著者や社員が絶えずこれを活用しながら、顧客のために行動していることがわかります。企業理念を額縁に入れるのではなく、日常的な会話に使うことで、Amazonは顧客満足を最大化させることで、事業を成長させていたのです。(Amazonの企業理念の参考記事はこちらから

CustomerObsessionを追求し、お客様を地球上で最も大切にする。そしてDay1であるためには、組織内の個人における成功よりも、チームや上司を巻き込んで成功していくことのほうが望ましいことなのです。そもそも、組織において一人だけで結果を出すということなど本来あり得ないことなのです。 周囲からの支援を求めれば、早期に解決できる案件に、何週間もかけて自力で完遂させようとして、成果を出せず焦りと不安に覆われてしまう。このような状況は、組織として絶対につくってはいけないし、そのために一人一人が自らの仕事の状況をオープンにしていくことが大切です。

課題をオープンにすることで周囲の人たちからの協力が得られます。多様性からアイデアが生まれると言われていますが、一人の知識や体験に頼るのをやめ、他者に相談すべきです。

真のリーダーになりたければ、AmazonのLedership Principlesを参考にし、周りに貢献するようにしましょう。他者にギブすることで、自分にも協力してもらえるようになります。顧客のためのチームをつくることで、結果を出せるようになります。Day1という気持ちを持ち続けることで、世の中の変化に適応できるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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