「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法(ジル・チャン)の書評

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「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法
ジル・チャン
ダイヤモンド社

本書の要約

内向型であっても、外向型であっても、自分の個性を大切にして、安全地帯(コンフォートゾーン)から一歩踏み出すことで、自分の可能性を広げられます。また、内向型と外向型の人たちがチームを組むことで、お互いの長所を引き出し、弱みを補完することで、結果を出せるようになります。

静かな人の潜在能力を引き出す方法

基本的に、私は内向型のエンジニアだ。壇上でスピーチをする際にどもらないようにするため、苦労して訓練を積んだ。……CEOとして、避けては通れなかったからだ。(イーロン・マスク)

マイクロソフトのビル・ゲイツ、投資の達人ウォーレン・バフェット、メタのCEOマーク・ザッカーバーグ、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック、グーグル共同創業者のラリー・ペイジなどの優秀な経営者の共通点は、内向型であるということです。

彼らは派手で人目を引く外向型のリーダーとは異なる内向型のリーダーですが、彼らのような存在がイノベーションを起こしてきたのです。

ビル・ゲイツは内向型のリーダーについて以下のように語っています。

賢明な内向型は、『物事を深く考えるための時間を惜しまない』『文献に慎重に目を通す』『期待を超える頑張りで問題を解決する』といった長所をみずから見つけることができるだろう。(ビル・ゲイツ)

最近では内向型の人たちの素晴らしさを取り上げる本が増えています。私もスーザン・ケイン内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変えるを読んでから、内向型の人々への認識が変わりました。(スーザン・ケインの関連記事

本書の著者のジル・チャンも人前に出るとうまく話せなくなる内向的な人で、人生で苦労を重ねてきたと言います。チャンは内向的な自分が変化できた経過を一冊の本にまとめ、よく生きるための戦略を明らかにしました。

チャンは静かな人の特徴を以下のように整理します。
・静かな人は「表面より本質」を重視する
・「じっくり聞く」という特殊能力
・冷静に「小さなミス」を見つけだせる
・大人数より「一対一」で深い関係をつくれる
・観察者で、リーダーで、集中力がある
・静かな人が「もっとも周到」なことは多い
・静かな人の「バックハンド」の威力
・完璧な準備で「質の高い」仕事をする
・「謙虚さ」こそが成功をもたらす

内向型であっても、外向型であっても、自分の個性を大切にして、安全地帯(コンフォートゾーン)から一歩踏み出すこと。他人に貼られたレッテルのせいで、自分の可能性を狭めてはいけないこと。この本でいちばん伝えたいのは、そういうことだ。(ジル・チャン)

外交的な人に比べ、内向的な人は自分の意見を人前で述べないために、評価が低くなりがちですが、実は内向的な人が自分の強みを見出し、内向的な性格を受け入れれば、自分にぴったりの仕事を見つけることができると著者は指摘します。

自分にぴったりの仕事を見つけたり、仕事に合わせて自分を変えることで、結果を出せるようになります。 まだまだ外交的な人が幅を利かせているため、 内向型の人たちは仕事でもコミュニケーションでも、外向型のスタイルやテクニックに適応するため、自分を変える努力をする必要に迫られますが、それに適応することで、チャンスが広がります。

内向型と外向型の両方のスキルを手に入れ、その両方の利点を生かすことで、仕事をうまくやり遂げることができるようになります。

内向型と外向型の人がチームを組むべき理由

チームに内向型の人がいるだけで、組織は強くなります。内向型の人は抜け漏れがなく、徹底的に考え、先々に予想される問題点にもいち早く気づいてれます。内向型の人たちに十分な時間を与えることで、予想を上回る成果を出せるようになります。

コラムニストのジェフリー・ジェイムズは、「紹介する、説得する、粘る」という従来の3段階のビジネスモデルとは異なり、効果的なビジネスモデルは、「顧客のことを徹底的にリサーチし、顧客のニーズに耳を傾け、それに応えること」だ、と述べています。その3つがまさに内向型の得意技で、逆に外向型の人たちは苦手なことが多いのです。

企業コンサルタントのシルビア・レーケンは、内向型は優れた分析能力によって、商取引における双方の立ち位置や条件を精査することができると言います。内向型はもともと和を重んじるため、双方のニーズを調和させるべく、交渉の余地を設けるのが得意だと指摘します。

内向型と外向型は、陰と陽のようなもの。個性が大きく異なる両者がうまく連携すれば、チームとしての力や効率は絶大なものになる。 「遂行能力」を発揮する 職場において誰もが求めているのは、「結果」と「遂行能力」だ。効率のよい仕事ぶりで結果を出し、上司らを喜ばせ、チームのみんながのびのびと働けるようになれば、誰もがあなたと一緒に仕事をしたいと思うだろう。

内向型と外向型の人たちがチームを組むことで、お互いの長所を引き出せ、弱みを補完することで、結果を出せるようになります。相手に「敬意」を払い、お互いの働き方やリズム、仕事の目標、そしてチームを尊重することで、多くの課題を解決できるようになります。

外向型の人は内向型の良さを認め、彼らを尊重すべきです。内向型の人も自分の強みや才能、長所、かけがえのない価値をアピールして輝くことを目指せば、組織のリーダーにもなれます。イーロン・マスクやビル・ゲイツがそれを証明しているのですから、内向型の人も遠慮せずにリーダーを目指すべきです。本書にはそのための戦略がわかりやすく書かれています。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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