ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望 (トーマス・ラッポルト)の書評

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ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望
トーマス・ラッポルト
飛鳥新社

本書の要約

成功している企業は、競争ではなく、市場を独占しているとピーター・ティールは指摘します。それを実現するためには自分1人の力ではあまりにも遠回りです。起業家はビジネスセンスとテクノロジーのバランスを取り、優秀な少数のメンバーを集め、彼らに責任を持って仕事をしてもらう必要があります。

起業家は誰と組むかを徹底的に考えよう!

もっとも重要な最初の問いは、誰と創業するかです。ビジネスパートナーの選択は結婚のようなもので、もめごとは離婚と同じようにやっかいですから(ピーター・ティール)

テスラ、ユーチューブ、リンクトインなどの偉大な起業家を輩出したペイパルの創業者ピーター・ティールは、誰と素行するかを徹底的に考えるべきだと述べています。

また、彼はスタンフォード大学時代の仲間を大切にし、ペイパルやパランティアを成功させています。彼にはよく話し合う友人がいて、彼らと密に協力しながら仕事をしていたのです。ティールは、自分が信頼できる仲間を大切にし、彼らに重要な仕事を任せています。

ペイパル創業時のティールにとってのスティーブ・ウォズニアックは、マックス・レフチンでした。ティールとレフチンの2人は、スタートアップの成功になくてはならない基本条件を体現していました。すぐれたビジネスセンスとすぐれたテクノロジーが完璧に共生する理想の姿を作ることで、ペイパルはスピーディに成長していきます。

多くのスタートアップは、ビジネスかテクノロジーのどちらかに片寄りすぎることで失敗を犯します。市場が求めるすぐれた製品をつくるためには、ビジネスセンスとテクノロジーのバランスを取ることが重要なのです。  

起業家が失敗する理由は以下の5つに集約できます。
・アイディアが時期的に遅すぎた
・アイディアに意味がない
・アイディアが高くつきすぎる
・アイディアにこれといったメリットがない

顧客を喜ばすアイデアを見つかれば、スタートアップは成功する可能性が高まります。それを最適な顧客に見つけてもらうことが次のステップになります。

早すぎもせず、遅すぎもせず、とりくむにふさわしい顧客との約束を果たすことができれば、スタートアップは原則として成功します。(アンディ・ベクトルシャイム)

企業のビジョンや戦略は、社員がいかにこれを活かし実行するかでよくも悪くもなります。その事実を知っていたティールは社員の仲間意識とチームワークをとりわけ重視したのです。

起業家はまわりにいる人間を、これからも長くつき合うつもりで扱うことで、結果を出せるようになります。 ティールは、社員全員にそれぞれ一つの仕事の責任を任せました。ティールはこれだけでその人物を評価していましたが、初期のメンバーはそれに発奮し、期待値以上の働きをし、ペイパルの急成長を支えたのです。

最適なタイミングで最適な顧客に最適なサービスを提供することができれば、ベンチャーは成功を手に入れられるのです。

スタートアップを成功に導く10のルール

当たり前だと思っていたことを疑い、新しい視点で徹底的に考え直すのです。(ピーター・ティール)

ピーター・ティールはスタートアップを成功に導く10のルールを紹介しています。

①きみは自分の人生の起業家である。
自分の人生に優先順位をつけ、やるべきことに集中する。

②一つのことを、他の人を寄せつけないほどうまくやろう
スタートアップでもっとも重要なのは、テクノロジーはグローバルなビジネスだという認識です。本当にすぐれたテクノロジー企業には、世界中の他のどの企業よりすぐれた力を発揮できる何らかの強みがあります。そうしたポジションを手に入れるようにすべきです。

③きみの人生と会社に、自分と結びつきのある人を的確に配置しよう。互いに補い合える相手と組もう。
創業者と社員は互いに調和のとれた関係で、同じ目標を追わなければなりません。創業者どうしが長年の知り合いで、どんなビジネスモデルにするかとことん意見を出し合い、それぞれの得意分野で補完し合える能力があるような人と組むべき。

④独占をめざそう。競争からはさっさと身を引き、他社との競合を避けよう。
創業者が独占をめざすべきとは、競合他社と明確に差別化でき、競争に陥らない唯一無二の企業をつくるということです。

 ⑤フェイク起業家になるな。
これまでどの企業も政府もとりくまず、解決しようと思わなかった重要課題にとりくむべきです。

⑥ステータスや評判だけを基準に評価するな。ステータスに惑わされて下した決定は長続きせず、価値がない。
ステータスより中身をとることが重要。 本当にしたいことを追求すべき。

⑦競争は負け犬がするもの。まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっと価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう。
可能なかぎり競争を避け、他に例を見ないビジネスモデルに基づいて行動すべき。

⑧「トレンド」は過大評価されがちだ。最新ホットトレンドに飛びついてはならない。
 
⑨過去に執着するな。なぜ失敗したのかすばやく分析し、あとは前を見て、方向を修正していこう。

⑩成功に通じる秘密の道を探そう。その他大勢がすることを真似してはいけない。

成功している企業は、競争ではなく、市場を独占しているとピーター・ティールは指摘します。それを実現するためには自分1人の力ではあまりにも遠回りです。起業家はビジネスセンスとテクノロジーのバランスを取り、優秀な少数のメンバーを集め、彼らに責任を持って仕事をしてもらう必要があります。

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