逆π字型人間を目指そう!猿渡歩氏の1位思考の書評

1位思考――後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣
猿渡歩
ダイヤモンド社

本書の要約

一つの専門分野+幅広い知見を持ち合わせた人材である「逆T字型人間」や複数の専門分野+幅広い知見を持ち合わせた人材の「逆π字型人間」になることで、世の中から求められるオンリーワンの存在になれます。さまざまな知識をインプットし、アウトプットすることを自分の習慣にし、逆π字型人間になりましょう。

アウトプットの質=インプット×地頭力

アウトプットの「質」は、インプット×思考回数で決まる。その人がどれだけ思考回数を増やしたかが「地頭力」に直結する。よって「アウトプットの質=インプット×地頭力」と定義できる。

1位思考――後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣(猿渡歩)書評を続けます。アンカー・ジャパンのCEOの猿渡歩氏は、仕事で結果を出したければ、アウトプットの質を高めることが重要だと言います。アウトプットの質を左右するのは、インプットと思考回数で、その両方の質をアップすればよいのです。

アウトプットとインプットは車の両輪で、アウトプットの精度を上げたいなら、まず自分の引き出しを増やさなければなりません。そのためには、さまざまなことに興味を持ち、 幅広くインプットすべきです。変化が激しい時代には情報の質だけでなく、幅を広げることも意識しましょう。

アイデアは要素と要素の組み合わせによって生まれますが、さまざまなカテゴリーの情報を組み合わせるとで、誰も考えなかったアイデアが生まれます。仕事以外のことにも好奇心を持ち、アンテナを高く、広く張る必要があります。

自社にストックされた仕事まわりの知識だけでは情報が陳腐化し、仮説を立てる際の障害になります。私は以下のような情報をインプットしています。
・クライアントや競合のビジョンやミッション、歴史などを紐とく。
・同業他社や他業界・他分野の成功事例・失敗事例
・文化やスポーツなどビジネス以外の知識
・経営者や偉人の自伝や伝記
・イノベーションやテクノロジーの最新情報
・経営者や士業、コンサルタントなどのプロフェッショナルからの一次情報

私は日々この書評ブログを書くために、多くの本を読むようにしています。ブログにはビジネス書を取り上げることが多いのですが、歴史や文化、小説、カルチャー系の雑誌も積極的に読むようにしています。多様な情報に触れることで、面白いアイデアが浮かぶようになります。

また、直接経営者やコンサルタントと話す機会を得ることで、様々な一次情報に触れられます。他業種のプロフェッショナルとの対話を続けることで幅広い情報、質の高い情報をインプットできるようになります。

アウトプットのないインプットは意味がありません。自分が得た情報を使って、ビジネスの仮説を立てるようにします。その仮説をアウトプットすることで、他者からのフィードバックを得られます。フィードバックを受けながら、仮説の質を高め、それを実践することで、ビジネスで結果を出せるようになります。

仮説の精度を高めるために、インプットした情報を組み合わせ、思考する癖をつけましょう。思考を重ねるうちに地頭力を鍛えられます。

広告会社に入ったときに上司から移動中の電車の広告を使って、地頭力を鍛えられました。移動中にいくつかの質問をされ、議論をすることで、マーケティングの基礎を叩き込まれました。この時の以下の上司の質問が、私の思考力を高めてくれたのです。
・クライアントがなぜこの広告を作ったのか?
・顧客の定義は?
・クリエイティブのメッセージはその顧客に届いているか?
・得られる効果は?
・製品やサービスはイノベーティブか?

逆π字型人間を目指そう!

短期的には手持ちの知識でもアウトプットはできるが、中長期にわたって質の高いアウトプットをし続けるには、新しいインプットが常に必要になる。 限界まで頭をひねった経験数が重要で、思考すればするほど地頭力は向上する。

地頭は、いつでも、何歳からでも、鍛えられます。さまざまな情報をインプットし、思考する習慣は誰でも身につけられます。パーパスに基づいた強い目的意識が、レジリエンスを鍛えてくてれます。毎日ブログを書くと決めてから、日々の読書が欠かせなくなり、本を読む際に読書メモを取るようになりました。どんなに忙しくても朝早く起き、本を読み、ブログを書くことが私の習慣になったのです。このインプットとアウトプットの習慣が、私のビジネスにもよい影響を及ぼしています、

著者との対話を重ね、メッセージを読み解くことで、読書の質も高まりました。自分のクライアント目線で、ブログを書くことで、自分の頭も整理でき、インプットした情報をビジネスに活用できるようになります。

目標達成の意識を持つと、 目標へのアンテナ感度がよくなり、 目に入るもの、耳に聞こえてくるもの、あらゆるものがそのテーマに関連づけられてくる。何を見ても聞いても読んでも、すべてが目標達成に結びつくようになる。

変化の激しい時代には、今まで学んできた情報や知識があっという間に古くなります。最近ではアンラーニングの重要性も指摘されています。過去にうまくいったやり方が今後も通用するわけではありません。「過去こうだったから今後も変えずに同じことをやったほうがいい」は、成長しない人の考え方だと著者は指摘します。

古くなった打ち手を適度に捨てることで、次の成功が手に入ります。うまくいった方法は仮説の一つでしかなく、そのまま適用するのではなく、新しい変数を組み込んでつくり直すようにしましょう。

■アンラーニングの3つのプロセス
①これまでのやり方ではうまくいかないと自ら気づく、あるいは周囲から指摘される。
②気づきや指摘を素直に受け入れる。
③これまでのやり方はどこまで使えて、どこから使えないかを分析し、修正する。

多様な企業の多様な人たちと話し、課題の発見・解決法をつぶさに考えることで大きな気づきが得られ、アンラーニングとラーニングが同時に行えるようになります。

著者は世の中から求められる人材になりたければ、「逆T字型人間」、「逆π字型人間」を目指すとよいと言います。
・逆T字型人間・・・一つの専門分野+幅広い知見を持ち合わせた人材。
・逆π字型人間・・・複数の専門分野+幅広い知見を持ち合わせた人材。

専門性の掛け合わせを工夫すると、よりユニークな存在になれます。専門性が2つあることで、その人の市場価値がいっそう高まります。

先が読めない世界情勢の中、自分の力で稼ぐには他の人にない独自性を身につけることだ。それは片手間ではない、本業を徹底的にやり抜いた先に見えてくる景色だ。社内外でも、替えのきかない存在になれば、あなたの市場価値はさらに高くなるだろう。

私はベンチャー企業の社外取締役やアドバイザーをしていますが、当初は広告会社で学んだマーケティングの知識だけで勝負していました。しかし、マーケティングだけでは経営の課題を解決できません。

経営は総合力であることに気づき、私は課題解決のために必要な知識を積極的にインプットしました。組織、会計、財務、資金調達などの関係分野の知識をインプットし、その道のプロの士業やコンサルタントからダイレクトに学ぶことを選択したのです。逆π字型人間を目指し、インプットとアウトプットを重ねた結果、複数の仕事・肩書きをもつスラッシュワーカー(スラッシャー)になれました。

いくつもの専門性を掛け合わせることで、私のビジネスはうまくいくようになりました。さまざまな知識をインプットし、アウトプットすることを自分の習慣にすることで、仮説や提案力を高めることができるようになり、ビジネスの成功確率が高まります。


 

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