クルーシャル・カンバセーション ーー重要な対話のための説得術(ケリー・パターソン, ジョセフ・グレニー , ロン・マクミラン)の書評

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クルーシャル・カンバセーション ーー重要な対話のための説得術
ケリー・パターソン, ジョセフ・グレニー , ロン・マクミラン
パンローリング株式会社

本書の要約

日ごろからクルーシャル・カンバセーションに取り組み、適切に対処している人は、反対されそうな意見を相手に聞いてもらっていました。適切な会話を行うことで、上司や同僚、直属の部下たちが、難しい意見にも耳を傾けてくれるようになり、本来の目的を達成できます。

クルーシャル・カンバセーションとは何か?

クルーシャル・カンバセーションとは (1)重要な結果、(2)反対意見、(3)強い感情を伴う、2人以上で行われる話し合い。

組織での、意見の衝突、強い感情をともなう極めて重要な話し合いをクルーシャル・カンバセーションと呼びますが、多くの組織ではこの会話を避けたり、適切に対処しないために、問題をより大きくしています。

著者たちの20年にわたり10万人以上の調査によると、有能なリーダー、チームメイト、両親、配偶者や恋人は、感情的・戦略的に厄介な問題に巧みに対処するあるスキルを持っていることが明らかになりました。

日ごろからクルーシャル・カンバセーションに取り組み、適切に対処している人は、反対されそうな意見を相手に聞いてもらっていました。適切な会話を行うことで、上司や同僚、直属の部下たちが、難しい意見にも耳を傾けてくれるようになるのです。

重要な結果、反対意見、強い感情を伴う話し合いになる場合、コミュニケーションに長けた人は、自分や他人が持つあらゆる関連情報を表に出す方法を考えます。彼らは話し合いに参加する人々が、率直かつ正直に自分の意見を表明し、気持ちを伝え、考えを述べる場を作ります。異論がありそうな見解や不人気なアイデアであっても、遠慮なく周りに伝えていたのです。

会話に長けている人は、参加者が共有するプールに、誰もが安心して自分の考えや気持ちを注ぎ込めるよう最善を尽くす。一見したところ異論のありそうなアイデア、間違った意見、自分の考えとは違う見解であってもである。もちろん、彼らがあらゆるアイデアに同意しているわけではない。ただ、あらゆるアイデアが表に出るようできるかぎりの努力をするのだ。  

私たちはこの「共有認識のプール」を大きくすべきです。プールを大きくすることで、2つのメリットを得られます。
1、一人ひとりがより詳細な関連情報に触れられるため、より優れた選択ができます。共有のプールが大きいほど、賢明な決断が下せるようになります。

2、異なる提案をした理由がわかると、それをもとに一人ひとりがアイデアを再考でき、よりよい選択ができます。一つのアイデアが次のアイデアを生み、それがまた次のアイデアを生み、最終的には、当初は誰も思いつかなかった、全員が心から賛成できる代替案が浮かび上がります。

事前に共有認識のプールを作るために十分な時間を費やせば、後に、一体化された迅速かつ熱心な行動が生まれ、その時間に見合う以上の利益をもたらすことができます。メンバーが互いに自分の認識のプールに何があるかを開示することで、会話がスムーズになり、よい結果を得られます。

衝突を避けるためには、共通の目的を明らかにすること。

本当に欲しい成果を手に入れるための第一のステップは、すべて悪いのは相手のせいだという考え方を克服することにある。

私たちは自分の意見に固執するばかりに、相手の意見を否定することがあります。自分が誰かと衝突している場合には、自分にも何らかの責任があると考えたほうがよいのです。

会話に長けた人は、「自分たちの問題に取り組む前に、まずは自己の改善を」という原則を実践します。会話が得意な人ほど、会話スキルを絶えず改善し、相手の意見を取り入れるようにしています。

優秀な人は目的を明らかにして、厄介な話し合いに臨み、何が起ころうともその目的を忘れません。会話に長けた人は、2とおりの方法でそれを実践します。
1、抜け目のない冷徹な目で自分の望みを見きわめ、必ず目的から逆算し、会話をデザインします。
2、会話に長けた人は「愚かな選択」(二者択一の選択)をしません。

話し合いを間違った進路に導く要因は3つあります。
(1)けんかを仕掛けてくる人々
(2)数千年の時間を経て形成された、感情を一気に沸騰させる遺伝子の構成
(3)人間の心に深く染み込んだ相手に勝とうとする習性

自分が本当に望んでいることを心に問いかければ、これらの要因を乗り越えることができます。本来の目的を思い出し、脳に血液を補給し、本来の目的に集中することで、正しい選択ができます。

自分の望みを考えるときに、「愚かな選択」に惑わされないよう気をつけましょう。相手に勝つか負けるかなどの二者択一をするのではなく、他のアプローチを考えるのです。自分が望まないことを明らかにし、自分が望むことと望まないことを組み合わせ、健全な選択肢を探すよう脳に働きかけるようにすべきです。

意見に食い違いがあるときは、以下の4つのスキルを使って「共通の目的」に立ち返るようにします。
・Commit:共通の目的を探すことを約束する。
・Recognize: 戦略の真の目的を認識する。
・Invent:共通の目的を考案する。
・Brainstorm:新しい戦略をブレインストームする。

このステップを繰り返し、正しいストーリーを作ることで、衝突を避けられます。本来の目的を達成するために自分の感情をコントロールしましょう。メンバーの合意を得ることで、進捗がスムーズになり、スピーディに目的を達成できるようになります。


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