ネガティブ思考こそ最高のスキル(オリバー・バークマン)の書評

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ネガティブ思考こそ最高のスキル
オリバー・バークマン
河出書房新社

本書の要約

人は、ポジティブシンキングとネガティブシンキングの両方をバランスよく取り入れることで幸せになることができます。ポジティブシンキングによって、すべてがうまくいくと考えるだけでなく、困難に直面したときにも乗り越えるための選択肢を用意することも大切です。

ポジティブ・シンキングだけでは結果がでない理由

われわれが日ごろ何とか回避しようとする不安や心配などネガティブな心象や事象に対して、開き直って、正面から堂々と対峙し受容するというスタンスをとるべきだとしたのである。(オリバー・バークマン)

ポジティブ・シンキングによって、人は幸福になれると言われていますが、過度なポジティブ・シンキングにはリスクがあるとジャーナリストのオリバー・バークマンは指摘します。

本当に幸せになるためには、できるだけ多くのネガティブな心情を経験するか、少なくとも、それらネガティブな心情から逃れようとしないことが必要なのです。「ネガティブ思考」と「ポジティブ思考」のバランスを取りながら、生きることで人は幸せになれるのです。

古代ストア哲学では、「物事が将来どこまで悪くなるのか」を考えることは、将来の不確実性に対する準備をすることと関連しています。ストア派の哲学者たちは、人生において幸福を追求するためには、将来の出来事に対する準備をすることが不可欠であると考えました。将来に備えるために、最悪の事態を想定して準備し、アクションを起こすことが重要だと考えたのです。

ポジティブな思考は、成功を引き寄せる力があると信じられていますが、それだけでは現実的な変化をもたらすことはできません。アクションを起こすことが重要です。

引き寄せの法則は、自分自身を幸福な状態に導くためにはポジティブなエネルギーを発散することが重要であると主張しています。しかし、ただエネルギーを放出するだけでは、夢や目標を達成することはできません。

人生には困難や失敗がつきものですが、それらを乗り越えることは自己成長に繋がります。困難な状況から学んだ知識や体験、出会った人たちは、未来を変えるパワーを持っています。自分自身を強くし、成長するためには、行動を起こすことが必要です。

ポジティブ・シンキングとネガティブ・シンキングのバランスを取ろう!

世の中にはあまりにも多くの自己啓発本が出回っている。それらの多くは、一様に人生の総合ガイド役を目指しているようである。これに対し、われわれの求める幸福への「ネガティブな道」は多様な選択肢を持ち、オール・オア・ナッシングではない。

ポジティブ思考の推進者たちややる気を起こさせる演説家の中には、他人に絶えず明るく陽気な上昇ムードを維持するよう強要する人々もいます。しかしながら、誰でもストレスや悩みを抱えたり、自信を失ったりすることがあるものです。こういった気持ちを持つことは、あなたの心身の健康に悪影響を与える可能性があります。過度なポジティブシンキングに陥ることで、ストレスを抱えてしまうことがあります。

逆に、ネガティブ思考の推進者は、どんな不機嫌な気持ちも許容する傾向があります。これではモチベーションが高まりませんし、やる気も起きません。

私たちが幸福を追求する際に、ポジティブな要素を過大に評価することで、問題が生じてしまうのです。同時に、不確実性の中に安住する能力や失敗に親しみ、学ぶことができる能力のような消極的な能力を慢性的に過小評価していることも問題です。

幸福になるためには、ポジティブ・シンキングとネガティブ・シンキングのバランスを取ることが大切です。楽観主義は素晴らしい考え方であり、目標設定も多くの場合役立ちます。また、ポジティブ思考やビジュアライゼーションは多くのメリットがあります。しかし、ポジティブな考え方だけでなく、困難に直面した際にも対処するための選択肢を用意することが必要です。

つらい出来事が起こった際には、ストア哲学の「一息おいて考える」という方法を取り入れることで、別のアプローチが見えてくるかもしれません。また、毎朝5分か10分間のヴィパッサナー瞑想を行うことで、自分自身の精神状態を改善することができます。瞑想を通して、自分の気持ちを整理し、集中力を高め、感情をコントロールすることができます。

私は毎朝、その日1日をポジティブにビジュアライゼーションしていますが、時にはうまくいかないことがあります。そんな時には、一旦一息ついて冷静に考えることや、瞑想することで、再びやる気を取り戻せることに気づきました。

ポジティブなビジュアライゼーションは素晴らしい手法であり、毎日の生活にポジティブなエネルギーを与えることができます。しかし、現実が思い通りにいかない時には、自分を取り巻く環境や状況を見直すことも重要です。その時には、一旦立ち止まって自分自身を見つめ直すことが大切です。そして、瞑想を行うことで、自分自身をリセットし、再び前向きな気持ちを取り戻すことができます。

人生には常に不確実性があります。私たちは、何が起こるかを知ることはできませんが、私たちができることは、どのように対処するか、どのように反応するかを選択することです。ネガティブな結果が起こった場合でも、それを前向きなチャンスと捉え、学びと成長の機会として捉えることができます。

自分をコントールする能力を養うことで、自分の感情をコントロールし、物事に対処する能力を高めることができます。結果、困難な状況に遭遇した際にも、冷静に判断を下し、適切に対処することができます。

過去の経験を振り返り、自分自身にとって有益な知識と学びを得ることも重要です。過去の失敗や苦難が、今後の人生で自分を強くし、成長するための財産になることがあります。未来を見据え、目標を設定し、それに向けて努力することで、自分自身の成長と幸福を追求することができます。

人生は不確実であることに変わりはありませんが、自分自身をコントロールし、前向きなマインドセットを持つことで、困難な状況でも自分自身を乗り越えることができます。未来を見据え、過去の経験から学びを得ることで、自分自身をより強く、より幸福に導くことができます。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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