体質は3年で変わる(中尾光善)の書評

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体質は3年で変わる
中尾光善
集英社

本書の要約

適切な生活習慣を実践することによって、体質を改善し、健康的なライフスタイルを送ることができます。3年で体質改善ができるという著者のアドバイスに従い、日々の生活習慣を改善することによって、健康的な体質を確保することができます。

体質は遺伝か?環境か?

「体質は遺伝」という言い方は、一部正解です。「一部」といったのは、遺伝がすべてではないからです。 親から子に受け継がれて体質としてあらわれるのは、遺伝によるものだけではなく、環境の影響も大きく作用しています。環境が作用しているのであれば、環境次第で体質も変わるもの、変えられるものなのです。(中尾光善)

体質は遺伝だけでなく、多様な環境との相互作用によって決まることが、最新の研究とテクノロジーによって明らかになってきました。体質に関わる遺伝子は環境の影響を受けやすく、その環境には食事、運動、ストレス、睡眠など、さまざまなものがあると熊本大学発生医学研究所 細胞医学分野教授の中尾光善氏は指摘します。

体質は、遺伝的素因と環境的要因の相互作用によって決まります。遺伝的素因とは、生まれつき持っている体質のことで、環境的要因とは、生まれてからの生活習慣や環境によって影響を受ける体質のことです。

体質を改善するには、これらの環境要因をコントロールすることが重要です。たとえば、健康的な食事を心がけ、定期的に運動をすることで、体質を改善することができます。また、ストレスを軽減し、十分な睡眠をとることも、体質を改善するのに役立ちます。

西洋医学と東洋医学では、病気の考え方が異なります。
・西洋医学→病気は体のどこかに異常が発生した結果であると考えられており、その異常を治すことで病気を治すと考えられています。症状の原因となる病巣や病因を排除するため、局所的な治療が主流です。

・東洋医学→病気は体のバランスが崩れた結果であると考えられており、そのバランスを整えることで病気を治すと考えられています。東洋医学は内因を重視し、自然な治療法で全身治療を行います。病気にならないようにするための予防にも力点が置かれ、生活習慣の改善や食事指導が重要な治療法のひとつとされています

体質を決める5つのしくみは、次のとおりです。
①血液型、毛髪や目の色などを決める「一塩基多型(SNP)」
一塩基多型(SNP)は、DNAの塩基の1塩基の違いによって、体質が決まります。 

②身長、体重、血圧、知能などを決める「ポリジーン遺伝」 
ポリジーン遺伝は、遺伝子が複数の組み合わせによって、体質が決まります。

③遺伝子にオン/オフの印をつける「エピゲノム」
エピゲノムとは、遺伝子にオン/オフの印をつけるしくみです。 

④遺伝子の働きに直接作用する「非コードRNA」 
非コードRNAは、遺伝子の働きに直接作用するRNAです。

⑤複合的で未知なしくみの可能性
・ミトコンドリア
ミトコンドリアは、体を動かすエネルギーを産生する細胞内小器官。

・エクソソーム
エクソソームは、細胞から放出される小さな膜小胞。 

・腸内フローラ
腸内フローラは、腸内に住む細菌の集団。

遺伝子だけでなく、環境が健康を左右する!

エピジェネティクスは、さまざまな生命現象で細胞を運命づけるのは遺伝がすべてではなく、環境との相互作用によって決まるという考え方に立脚し、環境の作用に着目したことで注目されるようになりました。 私はよく次のように表現しています。「ゲノムは生物種の保存と進化の役割を、エピゲノムは個体発生と環境適応の役割を担っている」と――。

エピジェネティクスにおいて、環境要因が遺伝情報に影響を与えるという考え方は、最近の研究によっても裏付けられています。例えば、環境ストレスにさらされたラットの子孫の行動に変化が見られることが実験で明らかになりました。また、母親が妊娠中にストレスを経験することが、子どもの発達や健康に影響を与えることが報告されています。  

さらに、エピジェネティクスは疾患とも深く関係しています。がんや多くの遺伝子疾患において、遺伝情報の変異だけでは説明がつかない現象が起こっており、エピジェネティクスが重要な役割を果たしていることが分かっています。

一卵性双生児は、一つの受精卵から生まれるため、ゲノムは完全に一致し、顔立ちも酷似しています。それゆえ、一見すると区別がつきにくいものです。しかし、成長の過程で微妙な外観の違いが現れ、性格や罹る疾患まで全く同じではない事例が数多く見られます。これは、同じ遺伝子を有しているとはいえ、周囲のさまざまな環境要素によりエピゲノムが変化を遂げるためです。

エピゲノムの変化により疾患に罹りやすい状態になったとしても、該当の遺伝子の動きが変わらなければ疾患にはなりません。また、疾患を誘発する遺伝子のスイッチがオンになったとしても、その遺伝子を影響する環境的要因が変化すれば、スイッチはオフに戻り、それにより疾患の予防や治療が可能になります。

生まれつき持っている一塩基多型に由来する遺伝子は変化させることはできませんが、エピゲノムの影響により遺伝子の働き方は変わるのです。遺伝子は単に体を形成する命令を出すだけでなく、環境を介して自身のスイッチをオン・オフし、体を柔軟に再構築する役割も果たしています。

遺伝子が生命活動を幅広く可能にする存在であるという考えは、2004年に世界的ベストセラーとなったやわらかな遺伝子(マット・リドレー著)でも強調されています。私たちの体質は、さまざまな環境的要素に晒されることで、隠されていた遺伝的要素が明らかとなり、その結果として体質が決まるのです。

研究が進むにつれて、体質と遺伝的要素、環境的要素との相互関係がより明確になれば、「遺伝だから変えられない」というような思い込みやあきらめの心理は必要なくなるでしょう。

ある人が肥満になるかどうかは、遺伝的な要因と環境的要因の両方が関係しています。遺伝的に肥満になりやすい体質の人が、不健康な食事や運動不足などの環境に晒されると、肥満になる可能性が高くなります。 また、ある人が病気になりやすいかどうかも、遺伝的な要因と環境的要因の両方が関係しています。遺伝的に病気になりやすい体質の人が、不健康な生活習慣や環境汚染などの環境に晒されると、病気になる可能性が高くなります。

例えば、「虚弱体質」は一般的に体力が弱く、疲れやすい、病気になりやすい、胃腸が弱い、食事量が少ない、顔色が青白く、やせていて、貧血気味といったイメージがあります。 しかし、「自分は生まれつきの虚弱体質だから、病弱であるのはどうしようもない」というような思考は捨て去るべきです。

そのようなマイナスの体質でも、積極的に向き合い、改善に向けて意識的に行動することで、プラスの体質へと変えることが可能です。これこそが真の「体質改善」だと捉えることで、よりよい人生を送れるようになります。

体質は、3年で大きく変わる!

そこで私が提唱するのが、「体質3年説」です。細胞には寿命があり、3年を目安に多くの細胞が大きく入れかわるという点です。また、医療によって体質を改善したり、体質に影響する長年の乱れた生活習慣を改め、トレーニングによって筋肉を鍛えて病気になりにくい体質に変えるのにも、3年あれば達成できるであろうという予測が可能な期間でもあります。

著者は体質は3年説を唱えています。細胞の寿命は、組織によって異なります。たとえば、皮膚の細胞の寿命は約2週間、腸の細胞の寿命は約3日、骨の細胞の寿命は約10年です。ほとんどの細胞や組織が1000日(約3年)よりも早くターンオーバーされて、寿命はおおむね短いことが示されました。

「習慣は第二の天性なり」ということわざがあります。身についた習慣は知らない間に深くしみこんで、やがては生まれつきの性質(体質)のようになるという意味です。しかし、その一方で、一度習慣化されたものは容易には変えられないという意味も含まれています。

もしも、日々の生活習慣が乱れてしまったら、体質の決定にも間違いなく悪影響を与え、生活習慣病の発症にもつながりますから、できるだけ早く改善しなければなりません。そのための期間はどのくらいかかるのか、習慣の内容やその人の性格や努力の仕方などによっても異なりますが、おおむね3年と見積もるのが妥当ではないかと著者は言います(体質3年説)。

体質を改善するためには、まず、自分の現在の体質を把握することが大切です。自分の体質を把握したら、それに合った生活習慣を身につけるように努力しましょう。生活習慣を改善するには、時間と努力が必要ですが、継続することで必ず効果が現れます。 体質は、遺伝的素因と環境的要因の相互作用によって決まります。環境的要因として重要なのが、運動や食事(栄養)といった生活習慣です。3年という時間を味方にし、習慣を変えることで、健康を取り戻せます。

体質改善のためには、細胞の寿命を延ばす必要があります。そのためには、健康的な食事、運動、睡眠、ストレスのコントロール、腸内フローラの改善などの生活習慣を改善することが重要です。体質を改善することで、健康的な生活を送り、より充実した人生を送ることができます。体質を改善するために、今日からできることを始めましょう。

エピジェネティクスの研究を進めることで、遺伝子レベルでの体質の変化を把握し、健康的な体質へと導くことができるかもしれません。 しかし、体質を改善するには、長期的な努力が必要であることを忘れてはいけません。トレーニングによって鍛える骨格筋の役割も見逃せません。骨格筋には、脳からの指令で体を動かすだけでなく、マイオカイン(筋肉由来内分泌因子)」を分泌する内分泌器官としての役割もあります。

マイオカインは30種類以上のホルモン群です。血管を通じて全身に届けられ、健康にとってプラスとなるさまざまな作用があります。
・免疫細胞の暴走を防ぐ。
・大腸がんの発症を抑える可能性がある。
・脳の働きを促進し記憶力を高める。
・動脈硬化の進行を遅らせる。
・アルツハイマー型認知症の原因物質を減らす。

マイオカインは、筋肉の成長や修復、血糖値の調節、脂肪燃焼、免疫力の向上など、さまざまな生理作用を促進します。 マイオカインを分泌させるためには、運動や体を動かすことが効果的です。運動によって筋肉に負荷をかけると、筋肉の幹細胞が活性化し、新しい筋肉を生成します。

新しい筋肉が生成されると、マイオカインが分泌され、筋肉の成長や修復が促進されます。 マイオカインは、健康的な体づくりのために欠かせない物質です。運動習慣を身につけ、筋肉量を増やすことで、マイオカインの分泌を促進し、健康的な体づくりを実現しましょう。

習慣という環境的要因が作用すれば、筋量の増加やマイオカインの分泌促進などによる変化が少しずつ蓄積し、遺伝子の働き方も変わって病気になりにくい新たな体質がつくられていきます。個人差はあるにしても、そうなるまでには3年程度の期間が あれば十分ではないかと考えられます。

体質改善のためには、自分の体質を理解し、環境的要因の影響を過不足なく適度に受けることが大切です。運動も栄養もストレスも、多過ぎても少な過ぎてもよくありません。

体を構成する多くの細胞は、ミトコンドリアの「酸化的リン酸化」によってエネルギー(ATP)を産生しています。エピゲノムの修飾は、主にミトコンドリアでつくられる代謝物によって行われることがわかっています。そのため、ミトコンドリアを活性化する生活習慣が大切になります。

ミトコンドリアを活性化する条件として、運動、寒さ、空腹の3つが鍵になります。運動すれば、体内の余分なエネルギーを消費します。寒さのために体温を上げようとすれば、蓄えたエネルギーを消費します。同じように、空腹であれば、蓄えたエネルギーを消費していきます。

つまり、ミトコンドリアを活性化すれば、体全体の新陳代謝を促すことができます。 特に肥満などの生活習慣病は、体の中に余分に蓄えた栄養分を消費してATPや熱の産生を行えば、その改善につながります。

具体的には、以下の生活習慣を心がけましょう。
・適度な運動
・バランスの良い食事
・十分な睡眠
・ストレスのコントロール
・腸内環境の改善

よい生活習慣を心がけることで、体質を改善し、健康的な生活を送ることができます。短期間のダイエットやトレーニングでは、健康的な体質を作り上げることはできません。3年という期間は、遠い将来のように感じますが、毎日の生活習慣の改善を始めることで、健康的な体質を手に入れることができるようになります。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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