実践! 50歳からのライフシフト術 葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人(大野 誠一, 豊田 義博)の書評

red brick wall with live, work, create. quote

実践! 50歳からのライフシフト術 葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人
大野 誠一, 豊田 義博
NHK出版

本書の要約

50歳からは自己の価値観を洗い出し、自身が達成したい目標や欲求を自分で決定し、それらを実現するようにしましょう。これにより、あなたの中に潜在的に存在していた「眠っている自分」が喚起され、新たな可能性が広がります。目標や価値軸を明らかにすることで、自分の隠れた資産が見えてきます。

50歳からのライフシフトの8つの価値軸とは?

自分自身の価値軸を見つける旅に出よう。(大野 誠一, 豊田 義博)

人生100年時代と言われていますが、50歳からの働き方は変わってきています。50歳から上手に転職したり、起業したりしている人は、自分の人生を上手に楽しんでいます。彼らは有意義に公私混同し、見えない資産(無形資産)を大切にしています。

著者らは22人の50歳以上の成功者のインタビューを通じ、人生100年時代の後半戦を豊かに生きるための価値軸を明らかにしました。

そこで見出されたのが、以下の8つの価値軸になります。
・ボランティア活動やNPO活動に参加する
・起業やフリーランスで自分の好きなことを仕事にする
・社会問題の解決に取り組む
・新しいスキルを習得する
・海外でのビジネスを行う
・故郷に移住する
・引っ越しをする
・家族との時間を大切にする

これらの価値軸は、50歳からのライフシフトを考える上で大切な指針となります。自分の価値観や目標を明確にし、これらの価値軸に基づいてライフシフトを計画することで、より充実した人生を送ることができるでしょう。 具体的には、以下のようなことができます。

また、ライフシフトを行うための原則も明らかになりました。
第1法則 5つのステージを通る  
◎心が騒ぐ  
◎旅に出る  
◎自分と出会う  
◎学びつくす  
◎主人公になる

第2法則 旅の仲間と交わる(様々なネットワークとのご縁が、新たな仕事につながる)  

第3法則 自分の価値軸に気づく

第4法則 変身資産を活かす

変身資産のための10の要素

自身がどのような志向や特性を持っているのかは、実はわかっていないもの。それは、多くの人が会社の意向や指示を受けて働くという限られた経験しかしていないからでもあります。自身の価値軸を見出して、自分がやりたいことを自分で決めて自分で実行すると、それまでは表に出ていなかった「眠っている自分」が引き出されるのです。

多くのサリーマンは、会社の意向や指示を受けて働くという限られた経験しかありません。そのため、自身の志向や特性を十分に発揮することができず、眠っている自分の資産を活かしきれていない可能性があります。

しかし、自分の価値軸を見出し、自分がやりたいことを自分で決めて自分で実行することで、それまでは表に出ていなかった「眠っている自分」が引き出されます。自分の価値軸とは、自分が大切にしていることや、実現したいことです。自分の価値軸を明確にすることで、自分が本当にやりたいことや、自分が得意なことが見えてきます。また、周囲の人との関係もより円滑になります。

過去の成功体験がすべて有効なのではありません。ある成功体験が、新たなことを始めようとしたときに邪魔することもよくあるのです。これまで学んできたやり方、身につけてきたものの考え方を捨てることも重要なこと。アンラーニングは、ライフシフトに、主人公になるために欠かせないものです。

「主人公になる」のは、仕事だけではありません。人生全体の「主人公になる」ことも大切です。また、今まで学んだことを捨てる勇気を持つことも大事になります。

私は16年前の44歳の時に断酒をスタートしました。その際、自分の人生の主人公になると決め、私は自分の人生の棚卸しを行いました。そして、著者になる、社外役員になる、大学教授になるなどの人生の目標を立てました。当時、私はサラリーマンで、これらの目標は妄想に過ぎませんでした。

しかし、私は目標を達成するために、小さな一歩を踏み出し続けました。 やりたいことを書き出し、その分野のプロフェッショナルとの人的関係を築き、学ぶことにしたのです。それをアウトプットすることで、著者になれ、そこからやりたいことが次々実現していったのです。そして、私は今、幸せな人生を送っています。

本書の登場人物や私の経験から、人生の目標を達成するためには、小さな一歩を踏み続けることが大切だと思います。そして、目標を達成するためには、軸を明確にし、学び続けることが不可欠です。

学びは、何かを成し遂げるための手段。だから、その何か、つまり、自身の価値軸が明確に定まれば、そして、それを本気で成し遂げようと思えば、人は学ぶのです。学びつくすのです。問題は、何を学ぶか、なぜ学ぶかに気づくことなのです。

変身資産は、以下の10項目に集約できるます。これらを実践することで、豊かな人生を送れるようになります。
①とにかくやってみる 
②どんなことからも学ぶ 
③学んだことを捨てられる勇気を持つ
④違和感を大切にする 
⑤みんなと同じじゃなくても平気 
⑥3つ以上のコミュニティに所属する(越境する) 
⑦有意義に公私混同する 
⑧自分についてよく知る 
⑨自身の人生時間を自分でマネジメントする 
⑩人生に起きる変化を楽しむ

本書は、22名のインタビューを通して、定年退職後の人生とその準備について語る書籍です。著者は、現役時代にしっかり働き、実務の知見や人脈という自分の無形資産を作り、50代以降は、この自分の無形資産と、本当に自分がやりたいことや、運命的な人生の転機を掛け合わせて、ライフスタイルを作ることを提唱しています。

定年後、趣味を仕事にして起業した人、NPO法人で社会貢献活動をするようになった人、海外に移住して新しい生活を始める人など、その生き方は多種多様です。 これらのインタビューを通して、私たちは、50代以降の人生が決して終わりではなく、新しい始まりであることを学ぶことができます。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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