「やめる」ことの力:新たな可能性への一歩。QUITTING やめる力 最良の人生戦略(ジュリア・ケラー)の書評

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QUITTING やめる力 最良の人生戦略
ジュリア・ケラー
日本経済新聞出版

本書の要約

「やめる」という行為自体は終わりではなく、新たな始まりであり、自己成長の一部であると言えます。それは、新しい人間関係を築き、新たな経験を積み重ねるための一歩でもあります。そして最終的には、自分自身が描く、これまで以上に大きな夢に向かって進むための道筋となるのです。

やめることで失うこと、手に入ること

やめるのは、集団の外に出ることだ。もうそれまでの仲間はいない。仕事や友人関係、家庭、チーム、恋愛や結婚、信仰、ビジネスのアイデアをやめるとき、私たちは単にそれまでの活動や人間関係、希望、自分の席などを捨てるのではない。他者とのつながりも失うのだ。(ジュリア・ケラー)

QUITTING やめる力 最良の人生戦略(ジュリア・ケラー)書評を続けます。終わらせること、つまり「やめる」ことは容易なことではありません。それは私たちが築き上げてきた人間関係の断つことを意味し、その関係を失うことは私たちにとって大きな喪失感を伴います。 しかし、終わらせるという行為は、一方で、新たな可能性と成長への門出であることを私たちは認識するべきです。

私たちが今まで続けてきたことをやめることで、思いもよらない新たな道が開け、より良い未来への道筋が示されることもあるのです。 「やめる」か否かは、重要な選択を必要とします。どの道を選ぶにせよ、その選択を慎重に、そして深い思考を伴って行うべきです。

組織や人間関係を去るという決断は、賑やかな共有時間から得られる安心感や快適さを手放すことを意味します。もちろん、負担が軽減される一方で、深い孤独感に襲われることもあります。会員リストから名前が消え、企業のウェブサイトから自分の写真やプロフィールが削除されることで、自身の存在感が薄れていく感覚に直面します。だからこそ、私たちは自己犠牲につながることや有害な状況から離れることを躊躇するのです。

「やめる」という行為は、親しみ深い世界を背にして、未知で危険性が未だ明確でない新世界へ踏み出すことです。この新たな展開がどのような結果をもたらすかは予測できません。「やめる」ということは、物事を手放せばそれで終わり、というわけではありません。放棄した後には不安や混乱が生じ、親しい環境も失われます。

確かに、新しい世界に適応することは可能ですが、最初のうちは混乱を覚えることでしょう。自己の居場所がなくなると、まるで漂流する船のように感じることがあります。他人とのつながりが途絶えるかもしれませんが、新しいつながりを築くチャンスも必ず訪れます。

私は16年前に断酒することを決め、アルコールをやめることにしました。16年前、私はアルコールから足を引きずり出す大きな決断を下しました。それは、飲み友達との結びつきを断ち切り、自分の生活環境と時間管理を一新するという意味合いも持っていました。夜更かしの習慣をやめて朝型の生活に切り替え、朝の学習会や読書会に参加するようになりました。

また、ビジネスコーチと毎週のセッションを設けることで、自分のビジョンを形成し、自身の人生を変革することができました。その決定的な決断があったからこそ、私は著者、社外取締役、大学の特任教授といった新たな役割を担うことができたのです。 この体験から学んだことは、「やめる」という行為が私たちに新たな展開をもたらす可能性を秘めているということです。

旧来のパターンや慣習を捨て去ることは困難であるかもしれませんが、それによって新しい人生の門が開かれることもあるのです。確固たる意志と自己の信念を持つことで、我々は自己の生活を一新し、新たな成果を生むことができます。

やめることで自分の存在意義を見つけられる!

やめることは、感情や心理面の課題であると同時に、現実世界で自身の存在意義をどう見つけるかという課題でもある。(コニー・シュルツ)

ピュリツァー賞受賞経験もある、コラムニストのコニー・シュルツは、かつて「クリーブランド・プレーンディーラー」紙に、現在は「USAトゥデイ」紙に寄稿しています。人々の人生について幅広く取材を行ってきた彼女は、「やめること」には多様性があり、それぞれが異なる形の勇気を必要とすることを理解しています。

仕事を辞めるという選択はできますが、仕事はあくまで人生の一部に過ぎません。「やめる」という行為には、理想の自己と現状の自己が一致しないことから、現在の生き方を放棄するという側面も含まれます。

「変えるべきなのが仕事なら、それを変える。しかし、変えるべきなのが自身の居場所であるなら、それは決して簡単な事ではない。新しい人間関係や新しい経験に順応するためには、その場が必要です。その場が、自己防衛や劣等感を抱かせる人々に占拠されているなら、良好な変化は生じません」とシュルツは語ります。

彼女は人生の変革や可能性、一人ひとりが見つけるべき場所について深い理解を持っています。ジャーナリストやベストセラー作家である彼女は、また大学教授であり、母親であり、祖母であり、そして米国上院議員シェロッド・ブラウンの妻でもあります。

何かをやめなければ、新しい何かが入ってくるスペースはなかなか生まれない。

一人の人間が一日に達成できることは限られています。そして、何かをやめることで初めて、新しい自分になるためのエネルギーを十分に注ぐことができます。「その変化は静かに、しかし確実に起こる。そして、それによって、これまで以上に大きな夢を描くことが可能になります」とシュルツは指摘します。

やめるという行為は決して容易なものではありませんが、新たな展望を切り開くための重要なステップとなります。これにより、自分自身の時間とエネルギーをより有効に使い、新たな自己の発見や可能性を追求するための余地を生み出すことができます。だからこそ、何かをやめるという決断は、自身の理想と現実が一致しない場合には、勇気をもって行うべきものなのです。

シュルツの教えを借りれば、「やめる」という行為自体は終わりではなく、新たな始まりであり、自己成長の一部であると言えます。それは、新しい人間関係を築き、新たな経験を積み重ねるための一歩でもあります。そして最終的には、自分自身が描く、これまで以上に大きな夢に向かって進むための道筋となるのです。 

あなたがもし今、何かをやめるべきか迷っているなら、その選択があなたにとって新たな道を開くかもしれないと考えてみましょう。後悔のない選択を、そして自身の成長を信じて、次の一歩を踏み出す勇気を持つことで、自分の人生を変えられます。


 

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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