Primary Customerが起業において重要な理由。新規事業の実践論 (麻生要一) の書評

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新規事業の実践論
麻生要一
ニュースピックス

本書の要約

新規事業は世界のどこかに必ず存在するたった1人のPrimary Customerによって動き出すことがあります。起業家にとって、Primary Customerの存在を信じ、あきらめない力を持つことが非常に重要です。この本から、あきらめずに最後まで走り抜くことの重要性を学ぶことができます。

Primary Customerが起業において重要な理由

2.5%のイノベーターの中でも、「その中の本当に最初の1人」がPrimary Customerです。まさにイノベーターの中のイノベーターともいえるでしょう。 (麻生要一)  

キャズム理論は、イノベーションや新しい技術の導入に関する理論です。この理論は、イノベーションを導入する企業が直面する障壁を説明するもので、イノベーションを導入するためには、企業がその障壁を克服する必要があるとされています。

キャズム理論によると、市場は以下のように分類されます。
・イノベーター:新しい技術や製品に最も関心を持ち、最初に採用する人々。(2.5%)

・アーリーアダプター:イノベーターよりも少し採用に時間がかかるが、技術や製品の導入には積極的な人々。(13.5%)

・アーリーマジョリティ:一般的な市場の中で、製品や技術の導入に対して比較的オープンな人々。導入された製品や技術が十分に検証され、信頼性が確立されるまで待つ傾向がある。(34%)

・レイトマジョリティ:技術や製品の導入にはかなり消極的で、他の人々が導入した製品の使用実績や信頼性が確立されるのを待つ人々。(34%)

・ラガード:技術や製品の導入に非常に消極的で、ほとんど変化を受け入れない人々。(16%)

キャズム理論によれば、製品を開発する企業がイノベーションを導入する際には、まず(イノベーター)を確保する必要があります。その後、製品を改良し、広い範囲のユーザーたちに受け入れられるようにする必要があります。これによって、製品は市場で成功することができます。

新規事業が始まると、必ずと言っていいほどPrimary Customerと呼ばれる最初の顧客が現れます。Primary Customerはイノベーターの中でも、最も先駆けであると同時に、他のイノベーターたちとは決定的に異なる存在です。なぜなら、Primary Customerは世界にたった1人しか存在しない顧客だからです。

Primary Customerは、他に誰も顧客がいない段階で、お金を払い、製品を購入し、顧客となってくれます。リスクが高く、何もわからない状態のものに手を出す、ある種クレイジーな存在なのです。

新規事業を始める際には、Primary Customerを見つけることが非常に重要です。Primary Customerは、リスクを冒し、新製品やサービスを試し、提供する側にとっては非常に貴重な存在です。彼らのフィードバックを収集し、改善点を見つけることができれば、新しい製品やサービスを改善し、2nd Customersに向けてより魅力的なものにすることができます。

Primary Customerがいない状態から、顧客がいる状態への移行も重要です。Primary Customerがいることで、提供する側は製品やサービスを改善し、顧客のニーズに合わせることができます。また、顧客がいることで、提供する側は顧客とのコミュニケーションを通じて、新たな顧客を獲得する方法を見つけることができます。

2nd Customersは、Primary Customerの成功を見て、新しい製品やサービスに興味を持ちます。彼らは、Primary Customerが製品やサービスに対して持っていた不安や疑問点に対する回答を求めます。彼らは、Primary Customerが持っていた不安や疑問点が解決されたことを確認することで、より自信を持って製品やサービスを購入することができます。

Primary Customerは、新しい製品やサービスに興味を持ち、それを試したいと思っている一方で、2nd Customersは、既にPrimary Customerが製品やサービスを利用していることを知っているため、より安心して製品やサービスを購入することができます。

起業家は、Primary Customerと2nd Customersを満足させることが重要であり、それが彼らの成功につながることになります。 最初の顧客を獲得することは、新規事業にとって非常に重要です。

Primary Customerを見つけ、彼らを満足させ、2nd Customersを獲得することができれば、新規事業は成長していくことができます。イノベーターは、常に顧客のニーズを把握し、顧客満足度を高めることが成功の鍵となることを忘れてはいけないのです。

起業を成功させるために必要なこと

Primary Customerを獲得する以前には、「Primary Customer以外のすべての潜在顧客は必ず、否定的な反応を示す」という事実です。「(価格が)高い」「使わない」「意味がわからない」など、その理由は様々です。 Primary Customerを獲得する以前には、いくら世の中に訴えかけても顧客が増えることはありません。

Primary Customerとは、以下の条件を兼ね備えた顧客です。彼らの存在を以下の定義から明らかにし、キャズムの壁を乗り越える第一歩を踏み出しましょう。

定義1 身内や関係者ではないこと
定義2 営業されて「はじめてその商品を知った」状態から購入に至ること
定義3 正規の価格を支払って買ってくれること
定義4 購入しただけではなく、購入後にたしかに使ってくれること
定義5   使った結果「支払ってよかった」と満足してくれること

また、Primary Customerを見つけ、イノベーターを獲得するためには、以下の3つのCのPDCAを回すべきです。
・Channel
・Communication
・Customer Success

・Channel
顧客に出会うためにあらゆる手法を試します。PR、紹介、Web、広告、イベント、セミナー、展示会etcでPrimary Customerに出会うことを目指します。

・Communication
チャネルは正しくて出会えていてもトークが刺さらず購入に至らなかったのかもしれません。コミュニケーションスキルを高め、卜一クスクリプトやセールストークの質を高め、プロダクトやサービスについてわかりやすく説明しましょう。

・Customer Success
顧客が契約を締結し、製品を購入してくれた場合は、彼らが満足するために必要なあらゆるサポートを提供することが重要です。新しいビジネスを立ち上げたばかりの場合、まだ利用事例が乏しく、十分なサポート体制が整っていない可能性があります。

そのため、最初の購入者が、最も劣悪な状況で製品を購入したことを忘れてはいけません。契約が成立した後は、あらゆる手段を駆使して顧客をサポートし、彼らが「買ってよかった」と思えるように尽力する必要があります。Primary Customerや2nd Customerがファンになり、口コミが起こることでビジネスがうまくいくようになります。

カーネル・サンダースは、自分のフライドチキンとフランチャイズビジネスが認められる顧客が必ず世界のどこかに存在すると信じて、多くの場所でチキンを売り歩きました。サンダースは、1009回もの提案を断られたと言われていますが、彼はあきらめずに立ち上がり、ついにPrimary Customerを獲得しました。

その後はフランチャイズビジネスを立ち上げ、全米各地に店舗を展開することに成功しました。 カーネル・サンダースは、自分が信じたことを貫き、多くの困難を乗り越えてケンタッキー・フライド・チキンを成功に導きました。彼の熱意と努力は、今でも多くの人々に尊敬されています。

このように、新規事業は世界のどこかに必ず存在するたった1人のPrimary Customerによって動き出すことがあります。起業家にとって、Primary Customerの存在を信じ、あきらめない力を持つことが非常に重要です。この本から、あきらめずに最後まで走り抜くことの重要性を学ぶことができます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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