全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方(金田健也)の書評

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全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方
金田健也
ぱる出版


全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方 (金田健也)の要約

タカマツハウスは、強固なチームワークと応援する文化を基盤に設立からわずか3年で売上高191億円、営業利益8.5億円という急成長を実現しました。社員と顧客を幸せにするというパーパスのもと、落ちこぼれをつくらないという組織づくりによって、同社は急成長しているのです。

全員を稼ぐ社員にする方法

言うまでもなく、住宅メーカーはお客様を幸せにするために住宅を提供しています。 幸せを提供するはずの住宅メーカーの社員が不幸であってはなりません。 (金田健也)

タカマツハウス株式会社取締役の金田健也氏は、一人ひとりの社員が組織全体の成功に貢献し、全員が成長できる環境を作ることの重要性を強調しています。

金田氏の考えは、単なる個人の成功ではなく、全員が成功することを目指す組織文化の構築にあります。本書は、リーダーシップやチームビルディングに関心を持つ方々にとって非常に示唆に富んだ内容となっています。

タカマツハウスは、髙松グループが新たに手掛ける木造戸建住宅事業を担う会社として、2019年4月に創業しました。創業メンバーの一人である著者は、大和ハウス工業出身で、戸建住宅事業のマーケティング部門の責任者を務めた後、埼玉・横浜の住宅事業部長を歴任しました。

また、大和ハウス工業のライバル企業である積水ハウスで、最年少支店長・本部長を歴任し、数々の記録を打ち立てた藤原元彦氏と共にタカマツハウスの立ち上げを行いました。 タカマツハウスは、強固なチームワークと応援する文化を基盤に、設立からわずか3年で売上高191億円、営業利益8.5億円という急成長を実現しました。

・社員と組織文化 社員の幸せづくり・・・タカマツハウスは「社員は家族」と考え、社員一人ひとりの幸せを大切にしています。住宅メーカーは、お客様を幸せにするために住宅を提供していますが、幸せを提供するはずの住宅メーカーの社員が不幸であってはなりません。そのため、同社は社員の幸福にも力を入れています。

最初から落ちこぼれようと思って仕事を選んだ人などいないはず。一生懸命努力した結果、思うような結果が出ず、自分一人ではどうしようもなくなって、落ちこぼれてしまうケースが多々あります。このような社員を「応援して囲い込む」のがタカマツ流湧き上がる組織作りです。

・湧き上がる組織・・・落ちこぼれをつくらない組織文化を築き、全員が成長できる環境を提供しています。 これらの取り組みが、タカマツハウスの急成長を支える要因となっています。

 

最強チームのための5つの重要ポイント

タカマツハウスでは落ちこぼれを作らず、応援して囲い込む組織マネジメントにより、短期間で大きな成果を残すことが出来ました。それは、社員ひとりでは乗り越えることの出来ない高いハードルをチーム力で乗り越え、更に高い目標にチャレンジする当社のカルチャーがあったからです。

著者は、「落ちこぼれをつくらない」最強チームの作り方を提案しています。その重要ポイントは以下の5つに集約されます。これらのポイントを実践することで、組織全体が成長し、成功へと導かれるでしょう。

1. 落ちこぼれをつくらない  応援して囲い込む
タカマツハウスでは、応援の力を組織作りに活かしています。落ちこぼれそうな社員を徹底的にサポートする文化が根付いています。 営業部署では、上司、同僚、後輩が協力し合い、バックオフィスや管理部門も含めた実務や精神的な支援を行います。

落ちこぼれそうな社員が孤立してしまわないように、周囲から積極的に声を掛け、手を差し伸べます。これにより、社員は孤独から脱出し、再び軌道に乗ることができます。 このような応援文化が、タカマツハウスの組織全体の強さと成長を支えています。

家族が社会の最小単位であり、大勢の人に取って、拠り所であることに変わりは無いでしょう。仕事を選ぶ際には自分がやりたかったこと、実現したかったことを夢見て就職しているはずです。社員達はこれまでの人生で出会った自分の最高のパートナーと家族を持ち、幸せな家庭を目指しています。仕事や会社というのは、その幸せを実現するために不可欠なものとして存在すべきなのです。

タカマツハウスでは、拍手が応援の基本となっています。ビジネスにおいて拍手は、大きな力を発揮します。毎日の朝礼では、契約を達成した社員がその契約に至るエピソードや、協力してくれた上司・先輩・関連部署への感謝の気持ちを発表します。

長期間契約が取れなかった社員が契約を達成した感動の瞬間や、最高記録となる連続契約を達成した社員の誇らしげな表情など、さまざまな成功体験が共有されます。

発表の後、社員全員がその成果に対して称賛の拍手を送ります。この拍手は、個々の努力を認め、チーム全体の士気を高める重要な役割を果たします。 このように、同社は拍手を通じて互いを応援し合う文化が根付いており、社員全員が成長し、成功を共有する環境を作り上げています。

2. 期待して寄り添う  心の繋がりで1on1スキルアップ
心の繋がりを持ち、メンバーに寄り添うことで、個々のスキルアップを図ります。リーダー「任せて任さず」のマネージメントを徹底することで、部下を育てていると言います。

リーダーは少し時間に余裕を持たせるべき、目いっぱい仕事を詰め込まない。リーダーのところに来る要件は『重要で緊急』なのだから。 (藤原元彦)

その際、リーダーは忙しいを理由に部下とのミーティングをスールーしてはいけないというのが、同社のルールです、いつどんな時でもメンバーの報告相談を受入れる余裕がリーダーには必要なのです。「厳しさ10倍、愛情100倍」のスタンスでプロセスに寄り添い、部下との面談を行い、リーダーは部下を育成しているのです。

3. 一人の100歩よりも100人の1歩・2歩を重視  最重要経営指標は「成約人率」
金田氏は、一人の大きな成果よりも、多くの人が少しずつ前進することの重要性を説いています。 全員が少しずつ努力することで、チーム全体の成果を最大化します。その際の指標は、成約人率の向上になります。これは「全営業社員のうち、何人が契約したのか?」を把握する指標で、毎月・最小の組織単位まで「成約人率」の目標と実績を把握することで、落ちこぼれが生まれることを防いでいるのです。

4. 湧き上がる組織を作る  人生と仕事に意味を(パーパスの重要性)
組織の中でメンバーが人生と仕事に意味を見出すことが、持続的な成長と成功を促します。 社員ぞれぞれの「働く意味」「生きる意味」を一緒に考えることで、社員や家族の幸福度が高まり、結果、組織の熱量が上がっていくのです。

リーダーが目先の利益ではなく、お客様や社員の幸せに繋がるかを原則として考え行動しています。

タカマツハウスでは、達成可能な目標を設定し、月間行動スケジュールや中締めといったKPIマネジメントを活用し、社員全員が達成感を得られる「湧き上がる組織」を実現しています。

高すぎる目標を設定すると、成果が出ない毎日に孤独感が増し、落ちこぼれが生まれてしまいます。しかし、達成可能な目標に向かって上司や仲間の支えを受けながら全力を尽くすことで得られる達成感は、次への自信につながります。 顧客や社員の幸せを目指すというパーパスのもと、社員が一体となって目標達成に向かう「湧き上がる組織」を作ることが、同社の成功の要諦になっているのです。

5. 挑戦無くして成功無し  内発的動機でやりたい事業をやる 
内発的な動機付けに基づく挑戦が、成功への鍵となります。 そもそもタカマツハウス自体が転職者が志を持って、集まった挑戦する組織です。
・挑戦を奨励・・・メンバーが新しいことに挑戦することを奨励し、サポートします。
・内発的動機付け・・・各メンバーがやりたい事業を進めることで、自然とモチベーションが高まる環境を作るようにします。

「感動」の語源は、 論語の言葉で「感即動」です。 「感じたら、人はすぐに動く」 だけでなく、 「感じさせることで、人は動く」 わけです。「感じ方を変えれば即、行動が変わる」ようになるという教えです。タカマツハウスは、感性に訴えかけるコミュニケーションを通じて即行動する組織を作り、圧倒的な成長を遂げました。

経営者の想いを社員と共有し、世の中の幸福を我が幸福と考える社員が増えれば、落ちこぼれをつくらない湧き上がる組織がつくれるはずです。

金田氏は、チーム内での応援、寄り添い、協力、そして挑戦を重視しています。これらの要素を取り入れることで、組織全体が一丸となり、成長と成功を達成することが可能になります。リーダーシップやチームビルディングに関心のある方にとって、このアプローチは非常に示唆に富んだものとなるでしょう。

このブログでは、パーパスを重視し、顧客体験を高め、社員を幸福にする経営を推奨しています。不動産業界でもこの流れが始まっていることが、本書を通じて理解できました。VUCAの時代には、志のある企業が成長することを同社が実証しています。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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