どう生きる?ーー人生戦略としての「場所取り」の教科書 (藤原和博)の書評

life is beautiful LED signage

どう生きる?ーー人生戦略としての「場所取り」の教科書
藤原和博
祥伝社

どう生きる?ーー人生戦略としての「場所取り」の教科書 (藤原和博)の要約

人生において場所取りが重要です。最適な場所取りをするためには、まず自分の強みや興味を見極め、その分野でスキルを磨くことが必要です。一つの分野のスペシャリストになるのではなく、様々なのスキルを掛け合わせることが求められます。このキャリアの大三角形を作れれば、他者から選ばれる稀有な存在になれるのです。

人生において場所取り戦略が重要な理由

自分の人生の主人公になるためにもっとも大事なことは、「どの場所に陣取るか」というポジショニングの問題なのです。(藤原和博)

大手企業の倒産や事業のM&Aが増える中、会社の寿命が社員の仕事寿命(在職期間)より短くなっている現状があります。このような状況では、以前のように一つの会社に身を任せて生きていくのは危険と言えます。

本書は、個人が自らの人生においてどのように位置を確立し、成功を収めるかについて深く考察しています。著者は、組織や社会の中での「場所取り」が個人の人生戦略において重要であると述べています。企業の倒産や事業の合併などの現実を踏まえ、会社に依存せずに自らの力で生き抜くための戦略が必要であると強調しています。

最適な場所取りをするためには、まず自分の強みや興味を見極め、その分野でスキルを磨くことが必要です。才能や実績がなくても、自分の得意な分野や興味のある分野で努力を続けることで、他者との差別化を図ることができます。これにより、自分自身の価値を高め、変化する市場や職場環境に柔軟に対応することが可能になります。

希少性のある情報を生み出すには、自分が希少性のある存在になるのが一番です。 あなたのポジショニングが問われるわけです。その立ち位置は、情報を生み出す上でも価値があるか、ということ。需要が多い分野で、供給が少ない場所であれば希少性は高まります。希少性は時給、すなわち「仕事の値段」を上げる上でも有効です。

藤原和博氏が提唱する「キャリアの大三角形」によって、希少性のある存在になれます。この三角形は、次の3つの要素から成り立っています。
・専門スキル(100人に1人の希少性)
まずは、一つの専門分野で高いスキルを身につけることです。これは、あなたの基盤となるスキルであり、他者と差別化するための武器となります。専門スキルを磨くことで、その分野での信頼性と専門知識を高め、競争力を持つことができます。その際、1万時間の法則を活用し、まずは、1つの分野でスペシャリストになることを目指します。

・経験の幅(3つの分野のスペシャリストになり、キャリアを掛け合わせる)
異なる分野や職種での経験を積むことも重要です。これにより、幅広い視野と柔軟な対応力を養うことができます。異なる業界や職種での経験は、多角的な視点を提供し、問題解決能力を向上させます。また、多様な経験は、変化する市場や技術に対して柔軟に対応する力をもたらします。

この戦略のポイントは、「大三角形」をつくることです。3つの異なるキャリアを掛け算して作り上げる大三角形は、あなたの希少性を飛躍的に高めます。この「大」が重要な意味を持ち、単なる三角形ではなく、各辺が長く豊かな内容を持つ大きな三角形を目指します。

3つの異なるキャリアを組み合わせた大三角形を築くことで、あなたは100万人に1人の希少性を持つ存在になることができます。時間をかけて、100人に1人、1万人に1人、100万人に1人の存在を目指していくのです。これは、単に一つの分野で優れているだけではなく、複数の分野での知識と経験を組み合わせることで得られる独自の強みを意味します。

・ネットワーク
人脈を広げることもキャリアップにつながります。異なる業界や職種の人々と交流することで、新たなチャンスやアイデアを得ることができます。強固なネットワークは、キャリアの転機や新たなビジネスチャンスを掴むための重要なリソースとなります。ネットワークを通じて得られる情報や支援は、あなたのキャリアをさらに発展させる助けとなります。

このキャリアの大三角形戦略を活用することで、私の人生は大いに面白くなりました。この戦略により、異なる分野のスキルを掛け合わせることで、自分自身をブランディングする力を得ることができたのです。

私の具体例を挙げると、広告会社で培ったマーケティングのスキルに、書評家としての経験、そして社外取締役としての役割を掛け合わせることで、独自の価値を創出しました。これにより、他の誰とも違う、オリジナルのブランドを構築することができたのです。

このように、異なる分野のスキルを掛け合わせることで、私は他者と一線を画す存在となりました。それぞれのスキルが相互に補完し合い、独自の視点と価値を提供することができるようになりました。この希少性は、私のキャリアにおいて大きな強みとなり、様々な機会を引き寄せる要因となっています。

現代の職場環境では、情報処理型の仕事を減らし、情報編集型の仕事を増やすことが求められています。情報処理型の仕事とは、右から左に流れるような業務で、エネルギーを奪われるような単調な作業を指します。例えば、データ入力や定型業務の繰り返しがこれに該当します。

一方で、情報編集型の仕事は、自分で主体的に考えるクリエイティブな業務です。これには、問題解決や新しいアイデアの創出、戦略の立案などが含まれます。このような業務は、エネルギーを与えてくれる仕事です。私たちが生き生きと働き続けるためには、エネルギーを奪う業務を減らし、エネルギーが増える業務を増やすことが重要です。

自分のための時間を増やしたければ、無駄な時間を使うことになるSSK(接待、査定、会議)を極小に抑えることがポイントになります。資本家・経営者の視点を取り入れ、クリエイティブな時間を増やしましょう。自ら課題を解決できる人になることで、自分の提供価値を高められ、良い仕事に出会えるようになります。

運を高める方法

「場所取り」は、ただそこに行けばいいというものではありませんし、そこにいればいいというものでもない。その場所に陣取って「渦巻き」を作り、その渦に周囲の人が巻き込まれて、彼らのエネルギーが継続的に入ってくるようにすること。そうしたコミュニティを形成することが必要です。

「場所取り」とは、単に適切な場所にいるだけではなく、その場所に陣取って「渦巻き」を作り出すことです。この渦巻きを形成することで、周囲の人々のエネルギーやリソースを引き寄せ、持続的に成長するコミュニティを作り出すことができます。

世の中に貢献できるビジョンを設定し、積極的な情報発信を行い、価値を提供し続けることで、良い人たちとの出会いをデザインできるようになります。

また、失敗を恐れないこと、その失敗を他者に共有できる器を持つことで、人から共感してもらえるようになります。器の大きな人は、失敗を学びの機会と捉え、前向きに進む力を持っています。その結果、多くの人から信頼を獲得し、困った時には周囲から助けてもらうことができるのです。

器を大きくしたければ、知識やスキルの習得だけでなく、人間性や社会性を育むことが重要です。広い視野を持ち、多様な価値観を理解し、他者との協力を学ぶことが、器の大きな人間を育てるための鍵となります。

器を大きくしたければ、キャリアの大三角形の立体化することだと著者は指摘します。キャリアの大三角形を立体化することで、単なるスキルの集積以上の価値を生み出すことができます。異なるスキルや経験を掛け合わせ、失敗体験を糧にし、志、哲学、美意識を深めることで、他者にはない独自の強みを持つことができます。

運を引き寄せる人には共通の習慣があります。 それは、すばやく行動を起こし無限に修正していくこと。

を引き寄せる人には、共通の習慣があると著者は言います。それは、すばやく行動を起こし、無限に修正していくことです。この習慣は、成功への道を切り開くための重要な要素となります。

1日に1回の行動しかしない人と、100回行動(修正行動を含む)する人を比べてみましょう。もし、幸運がみんな平等に100回に1回配分されるとしたら、前者は幸運が巡ってくるのに最大100日かかりますが、後者は1日目にして幸運が訪れることになります。このように行動の頻度が高い人ほど、より早く幸運を引き寄せることができるのです。

 実行したらすぐに改善し、改善策を実行したらまた即、改善するという「Do・Act・Do・Act」。つまり「D・A・D・A」のリズムを持つことが、成功を引き寄せる鍵となります。このリズムを持つことで、素早く行動し、その結果をすぐにフィードバックとして取り入れ、次の行動に活かすことができるのです。

・ 素早く行動を起こす
アイデアが浮かんだら、すぐに実行に移しましょう。例えば、新しいプロジェクトを思いついたら、その日のうちに計画を立て、行動に移すことが重要です。その際、相手に喜んでもらうことを意識し、行動することでより運が高まります。

・結果を分析する
行動の結果をしっかりと分析し、何がうまくいったのか、何が改善できるのかを見極めます。成功の要因を明確にし、次に活かします。

・改善を実行する
必要に応じて修正を加えることで、より良い結果を目指します。修正は恐れることなく、積極的に行うことで、成功への道を切り開くことができます。

・繰り返す
このプロセスを無限に繰り返すことで、成功のチャンスを増やすことができます。行動、分析、修正を繰り返すことで、着実に前進していきます。

運を引き寄せるためには、失敗を恐れずに挑戦し続ける心構えが必要です。失敗を恐れて行動を躊躇してしまうと、チャンスを逃すことになります。むしろ、失敗は学びの機会と捉え、次に活かすことが大切です。

運を引き寄せるためには、前述の情報編集力が鍵になります。情報編集力を鍛えることで、本来異なる要素を掛け算でつなげ、一見奇跡のような現象を引き起こすことができます。

広範な情報の収集、整理、組み合わせ、実践を繰り返すことで、この力はどんどん強化されます。現代社会において、このスキルを磨くことが運を高めるためには欠かせなくなっています。

 


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
投資哲学パーパス組織戦略習慣化書評生産性向上ブログアイデアクリエイティビティライフハック時間術
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました