FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい (マリサ・G・フランコ)の書評

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FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい
マリサ・G・フランコ
日経BP

FRIENDSHIP(マリサ・G・フランコ)の要約

友情は私たちに多様な影響を与えることが明らかになっています。精神的成長や身体的健康の向上、ストレス解消、メンタルヘルスの改善、さらには寿命延長の可能性まであります。また、友達との関わりは自己省察や新しい視点の獲得を促し、より柔軟でオープンな人間へと成長させてくれるのです。

なぜ、友情が必要なのか?

友情は自分で選択できるものであり、そこには通常、恋愛感情がありません。ということはつまり、純粋に相性をもとに誰と仲よくするかを選べるということです。 (マリサ・G・フランコ)

マリサ・G・フランコは心理学者で友情の専門家です。FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい(原題Platonic)はニューヨークタイムズのベストセラーになっています。

本書は友情の科学を探求し、意味のある友人関係を築き維持するための実践的なアドバイスを提供しています。著者のフランコは、私たちの人生における友情の重要な役割を解説し、友人関係を過小評価する最近の文化的傾向に歯止めをかけようとしています。

フランコは、現代社会がロマンティックな性愛に焦点を当てすぎるあまり、友情の重要性が影に隠れがちであることを指摘しています。また、科学的なアプローチと実践的なアドバイスを織り交ぜ、読者に友情のダイナミクスについての包括的な理解を提供しています。

エロス(恋愛的な情熱)では、体が裸になる。友情では、人格が裸になる。(C・S・ルイス)

イギリスの作家C・S・ルイスは、友情において人格が露わになると述べました。

友達を選ぶ際には、共通の価値観や信頼、互いへの憧れなど、親密さの本質的な要素を感情に左右されずに見極められます。友情は私たちを救い、変える力を持っており、多くの人がすでにその恩恵を受けています。

心理学者は、人間関係が生存に不可欠だと考えています。友情は心身の健康に大きな影響を与え、うつ予防や長寿に効果があることが科学的に示されています。

人とのつながりは、運動や食生活以上に死亡リスクを低減させる可能性があります。 科学者は、うつ病に影響を与える106の要素を調査し、その中で最も効果的な予防策は「信頼できる友達を持つこと」だと発見しました。孤独が健康に与える影響は、1日15本のタバコを吸うことと同等です。

また、ある研究では、幸せな人と不幸せな人の違いは、魅力や信仰心、人生での出来事の良し悪しではなく、人とのつながりの深さであることが明らかになっています。

メタ分析によれば、エクササイズは死亡リスクを23~30%、食生活は最大24%下げるのに対し、豊富な交流ネットワークを持つことは、死亡リスクを45%も低減することがわかっています。

友達は親や配偶者、子どもとは異なり、過度な期待や責任を負わせることなく、純粋な喜びをもたらします。研究によれば、友達と過ごす時間が最も幸福感を高めるとされています。 さらに、友情は偏見を減らし、社会全体の信頼感を高める効果があります。

しかし、近年友人ネットワークの縮小傾向が見られ、社会への影響が懸念されています。 友情は共感力を育み、人格の成長をもたらします。友達との出会いは、新しい世界観や生き方に触れる機会となり、自己の可能性を広げてくれます。

それぞれの友達は、自分の中にあるそれぞれの世界を表しています。恐らく、その人に出会うまでは存在していなかった世界であり、この出会いによってのみ、新しい世界は生まれるのです。(アナイス・ニン)

作家アナイス・ニンが述べたように、友達は私たちの中に眠る新しい世界を目覚めさせる存在なのです。私たちはしあわせになるために友情を育むべきです。

友情が人を育ててくれ、幸せにしてくれる理由

私たちが友達に共感を抱くのはある意味、「自己への他者の包含」のせいでもあります。まるで、自分自身に共感を抱いているように感じるのです。

私たちが友達に共感を抱くのは、単に相手の立場に立って考えるからだけではありません。実は、私たちの心の中には「自己への他者の包含」というメカニズムが働いているからです。この現象により、友達への共感がまるで自分自身に対する共感のように感じられるのです。

「自己への他者の包含」は、私たちが友達と過ごす時間をより豊かなものにしてくれます。友達との関わりを通じて、気分が高揚したり、親密さを感じたり、自分が成長したような気分になることがあります。しかし、この強い共感には欠点もあります。

ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校のアーサー・アーロン教授によれば、友達との強い関係が時に自分のアイデンティティを曖昧にしてしまうことがあります。

例えば、相手の特徴を無意識に自分も取り入れてしまうことがあり、それが必ずしも自分にとってプラスになるとは限りません。相手の甲高い笑い声やくだらない話、さらには朝からウィスキーを飲むといった行動が、自分にも影響を与える可能性があるのです。

私は断酒する際に、飲み友達との関係を減らし、朝活仲間との時間を増やしましたが、これにより学びの楽しさを実感し、インプットとアウトプットを習慣化できました。

さらに、「自己への他者の包含」は、友達からの同調圧力に対して私たちが特に弱い理由を説明することもできます。親が子どもに悪影響を及ぼす仲間との付き合いを心配するのは、このメカニズムが働いているからです。アーロン教授の研究は、この懸念が根拠のあるものであることを示しています。

しかし、「自己への他者の包含」は決して悪いことばかりではありません。私たちが友達とつながりを感じると、脳内では「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが増加します。このホルモンは「愛情ホルモン」や「信頼ホルモン」とも呼ばれ、人と人との絆を強める働きをします。このオキシトシンが私たちの共感力や道徳心を高めるのです。

過去の友情体験が豊かであればあるほど、私たちは他者に対してより深い共感を持ち、道徳的な行動をとる傾向が強まります。また、その結果として、自分自身が他者にとって「良い友達」になれるのです。これは、友情が一方的なものでなく、相互に影響を与え合う関係であることを示しています。

さらに、過去に良好な友情を築いた人々は、その経験が人生の様々な場面で役立ちます。友情によって培われた共感力や道徳心は、他者との新たなつながりを築く際にも大きな助けとなり、結果として生涯を通じて豊かな人間関係を築くことが可能になります。

つまり、良好な友情は一時的なものではなく、私たちの人生全体にわたって影響を及ぼし、私たちが人とつながる力を強化する重要な要素であることが証明されているのです。このため、過去の友情を大切にし、それを基盤として新たな人間関係を築くことが、充実した人生を送る鍵となると言えるでしょう。

人は、競争や適者生存を常に考えていますが、本当のところ、もっともフレンドリーな者が生き残ります。幸せに長生きする鍵は、友情なのです。(リディア・デンワース)

友情は、私たちの人生において非常に重要な役割を果たしています。それは単なる人間関係以上のもので、私たちの成長と自己実現のための強力な手段となっています。私たちは友達の前では、社会的な仮面を脱ぎ捨て、本当の自分をさらけ出すことができるのです。この過程で、私たちはより思いやりのある、豊かな人間性を育むことができます。

また、友情は人間関係に関する貴重な学びの場でもあります。友達との交流を通じて、私たちは他者とどのようにつながり、理解し合えばよいのかを学んでいきます。時には困難や葛藤も経験しますが、それらを乗り越えることで、より深い絆と相互理解が生まれるのです。

前述したように、友情がもたらす影響は多岐にわたります。精神的な成長だけでなく、身体的な健康にも良い影響を与えることが知られています。友達との交流は、ストレス解消やメンタルヘルスの改善につながり、ひいては私たちの寿命を延ばす可能性さえあるのです。

さらに、友情は私たちをより良い人間に変えていく力を持っています。友達との関わりを通じて、私たちは自己を見つめ直し、新しい視点や価値観を得ることができます。これにより、私たちはより柔軟で、オープンマインドな人間になっていくのです。

友情の素晴らしい点は、それが循環的な性質を持っていることです。友情を通じて成長した私たちは、さらに深い、意味のある友情を築く準備が整います。つまり、友情は自己成長と人間関係の向上の好循環を生み出すのです。 結果として、友情は私たちをより健康的で、豊かで、長続きする人間関係を構築できる人物へと導いてくれます。それは単に楽しい時間を過ごすだけでなく、人生の質を高め、より充実した人生を送るための重要な要素となっているのです。

友情の価値を認識し、大切にすることで、私たちはより豊かな人生を送ることができるでしょう。それは自分自身のためだけでなく、周りの人々や社会全体にも良い影響を与える、かけがえのない宝物なのです。

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