ハーフタイム―「成功」から「意義」へ人生をシフトする (ボブ・ビュフォード)の書評

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ハーフタイム―「成功」から「意義」へ人生をシフトする
ボブ・ビュフォード
東洋経済新報社

ハーフタイム(ボブ・ビュフォード)の要約

人生の目的を成功から意義にシフトすると、本当にやりたいことが見えてきます。自分のミッション・ステートメントを作り、理想を追求することで、自己変革が始まります。人生の主人公として自分を捉え直すことで、幸福度が高まります。この過程は、より充実した、意味深い人生への扉を開きます。

人生後半戦をよりよくするハーフタイムの質問リスト

一言で言えばこうだ。もし人生の中年期――30代後半から50代のどこか――に差しかかっているのなら、人生の黄金時代が待っているのだと。どれほどの成功を手にしたとしても、完全に満たされることはない。人生の真の価値をあなたは手にしうるのであり、この本の語る内容を知ることはきっとあなたにとって意義あるものとなるだろう。(ボブ・ビュフォード)

ボブ・ビュフォードは、人生の前半でケーブルテレビ会社を成功に導いた起業家として知られています。しかし、彼の真価は人生の後半に発揮されました。ビュフォードは、「リーダーシップ・ネットワーク」をはじめ「ピーター・F・ドラッカーNPO財団」「ドラッカー・インスティテュート」など非営利組織の設立とマネジメント支援を行ってきました。これらの組織は、ビジネスリーダーや教会のリーダーたちに、人生の目的を見出し、社会に貢献する方法を提供しました。

本書は、彼のこれまで経験と思考を凝縮した一冊です。この本は、人生の転換期にある人々に向けた、貴重なガイドブックとなっています。 ハーフタイムの特筆すべき点は、その実践的なアプローチにあります。ピーター・ドラッカーに影響を受けた著者は、自分のミッション・ステートメントを書き、理想を追い求めることで、自己を変えていったと言います。

人は40歳を過ぎると、老化と衰退へと落ちていくととらえられている。歳を重ねながらしかも成長するなど、まったくの矛盾とも見られている。このような神話に私は断じてくみしない。私はあなたにとってもそうであってほしいし、そのための力になりたい。

人生の後半戦をよりよくするための、「ハーフタイムの質問リスト」を著者は私たちに提示します。
・私は今大切な何かをみすみす逃しているのではないか。
・私は何に精魂を傾けているか。
・自分は何者なのか。
・自分は何を大切にしているか。
・10年後の自分は何をしていたいか。20年後はどうか。
・神が私に与えてくれた贈り物は何か。
・私がまだ用いていない、神が与えてくれた贈り物は何か。
・私は何のために命を捧げられるか。
・仕事のどこに行き詰まりを感じているか。
・仕事を現実的に変えることはできるか。
・幸せになるため、真の自分に近づくために、ストレスの少ない(収入面では今一つかもしれない)仕事をしてもいいか。
・前半戦よりも後半戦を充実させるために、明日からどのような一歩を踏む必要があるか。  

この質問に対する、自分なりの答えをノートや日記に書きとめたり、内省の時間を持つことが重要です。読者にペースを落とし、心と人生のリズムに真摯に耳を傾けるよう促します。成功ではなく、人生の意義を考え、後半戦の人生を楽しむことが重要だと著者のメッセージを読むことで、人生後半戦のプランを描けるようになります。

私も44歳のときに酒を辞める決断をし、子どもたちに誇れる自分になろうと決め、人生後半戦にやりたいことをリストアップしました。結果、本を書いたり、ベンチャー支援をしたり、大学で教えることができるようになりました。

著者も指摘しますが、ハーフタイムに遅いということはありません。平均寿命が伸びている中、どう人生の後半戦を自ら楽しみ、他者に貢献できるかを考え、行動を変えればよいのです。人生の主導権を自分に取り戻すことで、失敗も怖くなくなります。自分の人生の物語をハーフタイムにじっくり考え、主人公になることを選択しましょう。

人生の後半戦について真剣に考えよう!

あなたは、経済状況や、家族との対話、長期目標の設定など、切実な問いに正直に向き合わなければならない。あなたが本気で問いに答えようとするとき、答えをごまかすことなどできない。後半戦を前半戦よりも良きものにするためには、あなたは真の自己を発見しなければならないからだ。前半の多くの時間では、あなたは別の誰かを演じなければならなかった。それは口先だけのものではなく、私たち全員が階梯を踏みしめて登っていく現実にほかならない。対して、後半戦の自己とは、まがいものでない真の自己であり、発見のために十分正直でなければならない。

本書の中核をなすメッセージは、成功の追求ではなく、意義ある人生の重要性です。興味深いのは、著者が急ぐことの危険性を指摘している点です。人生の後半を意義あるものにするプロセスは、ゆっくりと、深い内省を伴うものであるべきだと説いています。自分が本当にワクワクすることが何かを見極め、そこに時間というリソースを費やすようにするのです。

私の場合、好きな人たちと好きな仕事、自分がワクワクすることに時間を使うと決めたことで、人生の後半戦が楽しくなりました。61歳になった今、人生で最も幸せな時間を過ごせています。

人生の後半戦において、私たちが学ぶべき重要な理由の一つは、これまで身につけてきた専門分野のアンラーンにあります。この考え方は、私たちの成長と新たな可能性の開拓に大きな影響を与えます。 多くの人々は、人生の前半戦で特定の専門分野に深く浸り、その言語や業務のやり方を徹底的に訓練されてきました。

私たちはアンラーンすることで、既存の知識や習慣を一度解除し、白紙の状態から新たな学びを受け入れられるようになります。このプロセスは、単に古い知識を捨てることではなく、新しい視点や考え方を取り入れるための心の準備と言えます。

後半戦での学びは、あらゆる機会から得られます。本を読むことは、新たな世界や思想に触れる窓口となります。
私もこの書評ブログを書くことによって、多様な書籍と触れ合えるようになり、自分を日々アップデートできています。新たな著者や編集者との出会いがここからデザインできるようになりました。また、様々なコミュニティにも参加でき、人生の幅を広げることができました。

イベントやコミュニティに参加することで、同じ興味を持つ人々と出会い、刺激的な対話を交わすことができます。人の話に耳を傾けることは、異なる経験や視点を理解する機会を提供します。

旅に出ることは、文化や習慣の違いを直接体験し、自身の価値観を見つめ直す契機となります。 このような多様な学びの機会を通じて、私たちは新たな発見や気づきを得ることができます。それは、これまでの専門分野では気づかなかった視点や、異なる分野との意外なつながりかもしれません。こうした発見は、私たちの人生に新たな意義や目的をもたらす可能性を秘めています。

人生後半戦での学びにおいて重要なのは、自分をプロフェッショナルではなく、アマチュアとして捉え直すことです。アマチュアの心とは、好奇心旺盛で、失敗を恐れず、常に新しいことに挑戦する姿勢を持つことです。この姿勢は、私たちを固定観念から解放し、より柔軟で創造的な思考を可能にします。

貪欲に学ぶという態度は、単に知識を蓄積することではありません。それは、自分自身と世界との関わり方を常に更新し、成長し続ける姿勢を意味します。この姿勢は、人生の後半戦をより豊かで充実したものにする鍵となるでしょう。

ハーフタイムはお金の問題ではない。かすかにささやく声に応えることである。人はどんな経済状況にある者でも、最終的には、仕事、お金や安全、あるいはいかなる基準ではかった成功よりも、別の何かに自己の人生を投ずる必要を感じるものである。

著者は金銭的成功の有無に関わらず、人生の後半戦は楽しめると言います。時間という資産をワクワクなことに使うことで、幸せになれますし、自分が恵まれた存在であることを認識できます。そして、その恵みを次世代のために活かすことの重要性を強調しています。この視点は、読者に感謝の気持ちと社会への貢献の重要性を伝えています。

著者は、人生の後半こそが最も報われる時期だと主張しています。このメッセージは、年齢を重ねることへの不安を抱く人々に、新たな希望と展望を与えるものです。 

著者の豊かな経験に満ちたアドバイスは、読者が人生後半をより豊かに、より意義深く過ごすための実践的なガイドとなります。 例えば、長年企業で働いてきたものの、今では社会貢献に興味を持ち始めた方や、子育てが一段落し、新たなキャリアを模索している方にとって、この本は大きな励みになるはずです。人生後半の時間を楽しみたい方に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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