いつも運のいい人が考えていること(マーク・レクラウ)の書評

書籍:いつも運のいい人が考えていること
著者:マーク・レクラウ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ASIN ‏ : ‎ B0HC3CFGHH

いつも運のいい人が考えていることの書影

書評 マーク・レクラウの『いつも運のいい人が考えていること』自分の判断の質を上げ、行動で運命を変える戦略

現代のビジネス環境は、生成AIの台頭やテクノロジーの指数関数的な進化により、過去の成功体験や既存のルールが瞬時に陳腐化する時代へと突入しました。誰もが「正解のない問い」に向き合い、不確実性の海を航海せざるを得ない今、私たちの仕事や人生の質を決定づけるものは何でしょうか。

それは、外部環境の激しい変化に振り回されない「強靭な思考の軸」と、複雑な状況下でも思い込みに騙されず、主体的に学び、周囲への感謝を忘れず、迅速かつ的確に行動を起こせる「判断の質」に他なりません。

今回ご紹介する世界的ベストセラー、マーク・レクラウ氏の『いつも運のいい人が考えていること』(弓場隆 訳)は、一見すると自己啓発的な「運」に関する本に思えるかもしれません。

しかしその実態は、人間の認知バイアスをハックし、自らの思考を行動へ、そして運命へと変換していく極めて論理的かつ実践的な行動心理学の書です。

「運」という言葉を聞くと、多くの人はそれを「偶然の産物」や「生まれ持った天性のもの」と捉えがちです。実は、運とは日々の思考の積み重ねであり、自らの手で構造的に引き寄せるべき「行動の結果」だと著者は指摘します。

ここでよくありがちな間違いは、安易な近道を探すことです。「すぐに成功する」「簡単に大金が手に入る」という発想がその典型ですが、ビジネスにおいても人生においても、そのような近道は存在しません。そんなものを探しても痛い目にあうだけだという厳粛な事実を、私たちはまず受け入れる必要があります。

さらに、学ぶことをけっしてやめず、永遠の「学生」として社会の変化に合わせてアップデートし続ける好奇心がなければ、あっという間に時代に取り残されてしまいます。

私自身、エンジェル投資家や企業の社外取締役として数多くの経営者と接する中で、「運が良い」と評価されるリーダーたちには明確な共通点があることに気づかされます。彼らは皆、自分自身の思考の癖を理解し、構造で物事を捉え、失敗を学習体験と位置づけ、学校教育の枠を超えて好奇心を持ち続け、周囲への感謝を忘れず、安易な近道を排して誰よりも地道な努力を続けているのです。そして何より、彼らは日々のささいな変化を見逃さない優れた観察力を持っています。

本書は、私たちが無意識に抱えている「自尊心の欠如」や「行動の先送り」といった罠を取り除き、日々の意思決定を最適化するための実践的なフレームワークを提供してくれます。AIが膨大なデータを処理し、最適解を瞬時に導き出すこれからの時代において、人間にしか生み出せない「独自の価値」や「突破力」は、まさにこの「主体的な学びと観察力を持ち、運を引き寄せる思考法」から生まれます。

この記事でわかること

・「運」が偶然ではなく、日々の思考と習慣の連鎖によって構築されるメカニズム
・チャンスを見逃さないための「観察力」と「好奇心」の鍛え方
・失敗を学習体験に変える「諦めないマインドセット」と、楽観主義がもたらす科学的メリット
・永遠の「学生」として学び続けることが、自信と選択肢、収入の増加をもたらす理由
・AI時代において「安易な近道を捨てる」ことが最大の武器になり、判断の質を上げる構造

30秒でわかる本書のポイント

【結論】
・思考は行動につながり、行動は習慣となり、最終的に人格と運命を形づくる。
・成功する人とそうでない人の決定的な違いは、自ら学び、観察し、行動を起こすかどうかである。
・チャンスに気づき、永遠の「学生」として主体的に独学を続けることで、自信がつき、結果的に収入が増える。
【原因】
・私たちが抱えている問題の大半は自尊心の欠如に由来し、それが行動や柔軟な思考を妨げている。
・よくありがちな間違いである「安易な近道」を探す思考や、「どうせ無理だ」という諦めが、視野を狭め、チャンスを見落とす原因となる。
・学校教育にだけ頼り、社会の変化に合わせたアップデートを怠ると行き詰まりやすい。
【対策】
・運命を変えるには、今すぐに日々の思考を修正し、心を開いて周りを観察することから始めればいい。
・毎日3つの感謝すべきことを書き出す「感謝日記」をつけることで、楽観主義と多幸感を高め、期待に満ちた目を持つ。
・失敗を学習体験として捉え、好奇心を抱きながら、綿密な計画に基づいて目標達成の行動を起こす。

本書の要約

本書『いつも運のいい人が考えていること』は、「運」や「成功」をコントロール不可能な外的要因ではなく、自らの内面的な思考と行動の習慣によって構築できるものとして再定義しています。

著者はサミュエル・スマイルズの言葉「思考は行動につながり、行動は習慣となる。習慣は人格を形成し、人格は運命を形づくる」を引用し、運命の正体を明らかにします。運命とは偶発的な出来事ではなく、繰り返しを通じて徐々に形成されていくのです。自分の運命を変えるためには、まずは思考と行動を変え、良い行動を習慣化させる必要があるのです。

また、運がいい人と悪い人では考え方と行動パターンが異なり、運を分けるのは観察力と好奇心であると指摘しています。人生で最も重要な人間関係は自分との関係であるとし、自尊心の重要性を強調します。失敗は終わりではなく成功しない方法を知る学習体験であると位置づけ、学ぶことをけっしてやめない永遠の「学生」として好奇心を持ち続けることが成功の鍵であると断言します。

感謝の力や楽観主義がもたらす科学的な効果、マイケル・フェルプスらの圧倒的な練習量を例に挙げ、少なくとも数年は地味な努力を積み重ねる必要があることを指摘しています。

「すぐに成功する」といった安易な近道は存在せず、ふだんから心の準備を整え、社会の変化に合わせて主体的に独学を続け、リスクをとって行動することこそが、運を引き寄せる唯一の方法であると結論づけています。

こんな人におすすめ

過去の失敗や他人の目が気になり、新しい挑戦に踏み出せず行動が止まっているビジネスパーソン 「簡単に成果が出る手法」を探し求め、結果的に遠回りをしてしまっているマネージャー 目の前にあるはずのチャンスになかなか気づけず、キャリアの行き詰まりを感じている方 職場の人間関係に悩み、感謝と楽観主義の力で組織の生産性を高めたいと考えているリーダー AI時代に代替されない、自分だけの「独自の価値」や「人間力」を見つけたい起業家

本書から得られるメリット

・「運命とは偶発的な出来事である」という思い込みから抜け出し、人生の主導権を取り戻せる
・観察力と好奇心を高めることで、日常に潜む小さなチャンスのサインを見逃さなくなる
・学ぶことをやめない「永遠の学生」としての習慣が身につき、自信と選択肢、収入の増加につながる
・感謝日記と楽観主義の習慣を通じて、多幸感、熟睡、免疫力の強化、人間関係の改善を実感できる
・失敗を恐れず、綿密な計画に基づいた「正しい方向への行動」を起こせるようになる

運命は「偶然」ではなく「思考と行動の連鎖」である

日々の思考が行動につながり、それが繰り返されると習慣になり、やがてそれが人格を形成し、ついには運命を形づくる。要するに、小さな原因が積み重なると大きた結果になるということだ。(マーク・レクラウ)

ビジネスの世界には、次々と事業を成長させる起業家や、大きなプロジェクトを成功に導くリーダーがいます。そうした人を見て、「あの人は運がいい」と感じることは少なくありません。

しかし、その歩みを詳しく見ていくと、幸運に見える成果の多くが、日々の努力や準備、挑戦の積み重ねから生まれていることがわかります。

いつも運のいい人が考えていること』でマーク・レクラウは、先人たちの成功哲学を紹介しながら、運が生まれる仕組みをわかりやすく解き明かしています。 本書の中心にあるのは、思考が行動を生み、行動が習慣となり、習慣が人格を形成し、最終的に運命をつくるという考え方です。 一つひとつの思考は、すぐに大きな結果を生むものではありません。

しかし、その考えに基づく行動を何度も繰り返すことで習慣が生まれます。その習慣が判断や態度を変え、長い時間をかけて人生の方向性を決めていくのです。 つまり、運とは突然降ってくる偶然だけではありません。日々の小さな選択によって、少しずつ形成されていくものなのです。

多くの人が陥りやすい間違いは、成功への近道を探してしまうことです。「短期間で成功できる」「簡単に大金を手に入れられる」といった情報は、世の中にあふれています。 しかし、持続的な成果を生み出す安易な近道はありません。

一時的に結果を得られたとしても、それを支える能力や習慣が身についていなければ、成功を維持することはできないからです。 小さな努力を重ね、自分の能力を磨き、失敗から学ぶ。この地道な過程を省略することはできません。

運を良くしたいのであれば、特別な出来事を待つのではなく、まず日々の思考を変える必要があります。 自分の思考を「人生の青写真」と捉え、可能性を信じて一歩ずつ行動する。その積み重ねが、やがて幸運を引き寄せる土台になります。

では、どのように思考を変えればよいのでしょうか。 運がいい人と運が悪い人では、物事の見方と行動のパターンが大きく異なります。運がいい人は、周囲の変化をよく観察し、チャンスに気づいたら素早く行動します。観察力と洞察力に優れているため、他の人が見逃すような可能性を発見できるのです。

ビジネスの現場では、チャンスがわかりやすい形で現れることはほとんどありません。新しい顧客の何気ない一言、市場の小さな変化、偶然出会った人との会話など、日常の中に目立たない形で存在しています。 同じ出来事に直面しても、そこに可能性を見つける人もいれば、何も感じずに通り過ぎる人もいます。

この違いを生むのが、観察力と好奇心です。 運がいい人は好奇心が強く、新しい情報や考え方を柔軟に受け入れます。最初から「自分には関係ない」と決めつけず、「ここから何を学べるだろう」「何かに生かせないだろうか」と考えます。そのため、他の人が見落とした変化の中から、新しい可能性を発見できるのです。

この観察力を支えているのが、前向きな期待です。 「何か良いことが起こるかもしれない」と考えている人は、周囲を注意深く観察します。その結果、小さな変化や人からの提案、新しい出会いに気づきやすくなります。 反対に、「どうせうまくいかない」と考えていると、行動する前から心を閉ざしてしまいます。視野が狭くなり、目の前にチャンスがあっても、それを認識できなくなるのです。

ただし、前向きに考えるだけで成功できるわけではありません。重要なのは、期待を行動につなげることです。運がいい人は、可能性を感じたら小さく試し、必要なリスクを引き受けます。失敗しても、そこで得た経験を次の判断に生かします。

運をつかめるかどうかは、タイミングにも左右されます。しかし、タイミングが訪れたときに動けるかどうかは、日頃の準備によって決まります。 知識を蓄え、人との関係を築き、自分の能力を磨いている人は、好機が訪れたときに素早く反応できます。

幸運な人が自ら突破口を開けるのは、特別に恵まれているからではありません。準備を続け、必要な場面でリスクを取って行動しているからです。 私たちが偶然だと思っている幸運の多くは、観察、準備、挑戦を重ねた結果として生まれています。 生成AIが普及した現在、データや一般的な知識は、以前より簡単に手に入るようになりました。

しかし、データの中にある小さな変化をどう読み取り、どの可能性に注目し、どのタイミングで行動するかは、人間の判断に委ねられています。 AIは選択肢を提示できますが、その中から意味のある兆候を見つけ、リスクを引き受けて一歩を踏み出すのは人間です。

だからこそ、AI時代には、観察力、好奇心、柔軟性、行動力がこれまで以上に重要になります。 本書が伝えているのは、運を待つのではなく、自ら運が生まれやすい状態をつくることです。 日々の思考を整え、周囲を注意深く観察し、小さなチャンスに気づいたら行動する。その行動を習慣として続けることで、出会いや経験が増え、成功の可能性も高まります。

運のいい人になるために必要なのは、幸運を祈り続けることではありません。毎日の小さな選択の質を高め、準備と行動を継続することです。それこそが、自分の手で運を引き寄せるための、最も現実的な戦略なのです。

いつも運のいい人が考えていることの書影

 失敗をチャンスに変える。運のいい人が持つ「楽観主義」の力

失敗は終わりではない。それは成功しない方法を知るための学習体験なのだ。失敗したときにより賢くなって再び挑戦し、成功を収めた人たちは無数に存在する。

新しい事業を立ち上げるとき、あるいは未知のテクノロジーを導入して業務フローを変革しようとするとき、私たちは必ずと言っていいほど「失敗」に直面します。しかし、失敗は終わりではありません。それは成功しない方法を知るための学習体験なのです。

失敗したときにより賢くなって再び挑戦し、成功を収めた人たちは無数に存在します。 本書が伝える「運」の概念も、この諦めないマインドセットと密接に結びついています。幸運は偶然の産物ではなく努力の賜物であるという事実は、どれほど時代が変わろうとも不変です。

幸運の女神の高価な微笑みは、苦労して勝ち取ったものだと言えます。一般的に、成功者は生まれつき幸運なのだと考えられがちですが、それは真実ではありません。彼らは誰も見ていないときでも努力を重ねて成功を勝ち取ったのです。 生成AIが瞬時にアウトプットを出してくれる現代において、最初の試行(プロンプト)で完璧な結果が得られることは稀です。

望まない結果(失敗)が出たときに、それを「AIは使えない」と見切りをつけて心を閉ざすのか、それとも「指示の出し方が悪かったのだ」と好奇心を持って学習し、より賢くなって再びプロンプトを調整するのか。この微細な諦めない姿勢の連続が、数カ月後には圧倒的な生産性の差、ひいては「運の差」となって現れます。どんなに苦しくても、リスクをとって努力すればするほど、幸運の女神は優しく微笑みかけるのです。

私が様々なビジネスパーソンと対話する中で、最も根深い課題だと感じるのは「自己過小評価」というアンコンシャス・バイアスです。私たちが抱えている問題の大半は、こうした自尊心の欠如に由来すると本書は鋭く指摘しています。

アメリカの女優であり実業家でもあったルシル・ボールは、「まず自分と良好な関係を築かなければならない」と語っています。人生で最も重要な人間関係は、自分との関係なのです。私たちは他人のよいところは見つけられるのに、自分のよいところはなかなか見つけられません。

しかし、自分を好きになれないなら、他人がどうやってあなたを好きになるでしょうか。 では、どうやって自尊心を高めたらいいのでしょうか。

さまざまな出来事を楽天的に解釈することは、幸福感を高めるだけでなく免疫力を強化する。だから、楽観的な人は悲観的な人より心身ともに健康で長生きする傾向がある。しかも嬉しいことに、楽観主義は後天的に身につけることができる。

それは、自分をあるがままに受け入れ、完璧でなくてもいいと思えばいいのです。ここで重要な鍵となるのが「楽観主義」です。

ポジティブ心理学と脳科学の数十年におよぶ研究で、楽観主義が成功と幸福につながることが明らかになっています。楽観的な営業マンは悲観的な営業マンより売上が56%も多いし、楽観的な経営者は悲観的な経営者より15%生産性が高い。さらに、楽観的な経営者は明るくて大らかな企業風土をつくり、顧客満足度を42%も高めることが研究でわかっています。

さまざまな出来事を楽天的に解釈することは、幸福感を高めるだけでなく免疫力を強化します。だから、楽観的な人は悲観的な人より心身ともに健康で長生きする傾向があるのです。しかも嬉しいことに、楽観主義は後天的に身につけることができます。

自分を過小評価するのをやめ、意識的に楽観的な解釈を選択し、「いいことが起こる」と期待に満ちた目を持つことで、私たちは自尊心を取り戻し、組織全体にポジティブな影響を与えるリーダーへと変貌できるのです。

いつも運のいい人が考えていることの書影

感謝の習慣がもたらす驚くべき力と「引き寄せの法則」

つらい経験でも教訓を学んで感謝する習慣を身につければ、プラスになる面が見つかるものだ。驚くべきことに、厳しい状況に置かれたときこそ、能力を存分に発揮することができる。自分でも知らなかった長所が見つかることもある。

著者は本書のなかで、感謝の力を繰り返し強調しています。他者に励ましや感謝を伝えると、受け取った相手だけでなく、伝えた本人の気持ちも前向きになります。こうした小さな働きかけの積み重ねが、職場の協力関係を促し、家族や友人との絆を深め、健全な環境をつくります。

感謝を習慣化する方法として、著者が勧めているのが、毎日「感謝できることを3つ書く」感謝日記です。身近な出来事を意識して言葉にすることで、自分がすでに手にしているものや、周囲から受けている支援に気づきやすくなります。(感謝日記の関連記事

感謝を継続的に実践することは、楽観的な思考や幸福感、人間関係、睡眠などに好影響をもたらす可能性が、心理学研究でも示されています。私自身も感謝日記を習慣にしていますが、日常の見方が前向きになり、幸福感が確実に高まっていることを実感しています。感謝日記は、特別な準備を必要とせず、今日から始められるシンプルで効果的な習慣なのです。

ただし、「感謝すれば必ず幸運を引き寄せられる」と考えるのは適切ではありません。感謝によって注意の向け方や行動が変わり、人との関係や機会を捉えやすくなると理解するほうが現実的です。

AI時代には、データに基づく合理的な判断がますます重要になります。一方で、AIだけでは築けない人間同士の信頼や、チームへの帰属意識、協力しようとする意欲の価値も高まります。 日頃から支えてくれる人の存在に気づき、それを言葉で伝える。感謝は単なる礼儀ではなく、自分の心を整え、人間関係を強くし、組織のエンゲージメントを高めるための実践的なマネジメント習慣なのです。

つらい経験すらも成長の糧として解釈し直す「感謝の思考フレーム」は、激変するビジネス環境を生き抜くための最強のレジリエンス(回復力)となるのです。

学ぶことをけっしてやめないことである。彼らはいつも好奇心を抱き、さらにもっと学ぼうとする。つまり、永遠の「学生」なのだ。 成功者たちのふたつの共通点を身につけ、常に学び続けよう。頭を若々しく保てば、きっと成功を収めることができる。

永遠の「学生」として学び続ける力が運命を切り拓く 運命を切り拓く上で、努力の方向性を間違えないために必要なのが「学び」です。

著者は、成功者たちの共通点として、学ぶことをけっしてやめないことであると明言しています。彼らはいつも好奇心を抱き、さらにもっと学ぼうとします。つまり、永遠の「学生」なのです。

 日本のビジネスパーソンが陥りがちな罠は、学生時代に得た知識や過去の成功体験という「貯金」だけで、長いキャリアを乗り切ろうとすることです。しかし、学校で学ぶのは、すでに体系化された過去の正解です。AIが膨大な情報を瞬時に処理できる今、求められるのは、正解のない課題に対して自ら問いを立て、主体的に学ぶ力です。

独学を続ければ、未知の課題に向き合う方法が身につき、自信が生まれます。さらに、異なる分野の知識を組み合わせることで、キャリアの選択肢が広がり、市場価値や収入の向上にもつながります。

安易な近道を探す人は、誰かが正解を教えてくれるのを待ちます。一方、学び続ける人は、好奇心を持って本を読み、人に会い、現場で小さな実験を重ねます。

SNSには、若くして成功した起業家やインフルエンサーの華やかな姿があふれています。しかし、その裏側にある長年の努力を見落としてはいけません。

本書で紹介されるマイケル・フェルプスやマイケル・ジョーダンも、誰も見ていない場所で地道な練習を積み重ねてきました。 AIによって知識を得る時間が短縮されたからこそ、反復練習や失敗から学ぶ経験の価値は高まっています。

日頃の準備が本番での直感を磨き、チャンスが訪れたときの素早い判断を可能にします。それが、周囲からは「運」に見えるのです。 ただし、学ぶだけでは現実は変わりません。思考や知識は、行動に移して初めて価値を生みます。

情報を集め続けるだけの「知識メタボリズム」に陥らず、得た知識を現場で試すことが重要です。 また、やみくもに動けばよいわけでもありません。実現したい未来を描き、正しい方向を定め、必要なリスクを取って行動する必要があります。

AIは過去のデータから選択肢を示せますが、どのような未来をつくりたいかを決めるのは人間です。 安易な近道を捨て、好奇心を持って学び、感謝と楽観主義を忘れず、考えたことを素早く実行する。主体的な学びと行動の掛け算こそが、AI時代を生き抜くビジネスパーソンの強固な競争力になるのです。

コンサルタント 徳本昌大のView

本書が説くのは、日々の思考が行動を生み、繰り返された行動が習慣となり、その習慣が人生や運命を形づくるという原則です。私はこの言葉を、単なる自己啓発のメッセージではなく、自らの経験を通じて実感してきました。 人生は、ある日突然変わるわけではありません。毎日、何を考え、何を選び、どのように時間を使うか。その小さな選択の積み重ねによって、少しずつ進む方向が変わります。

良い思考は良い行動を生み、それを繰り返せば習慣になります。そして、良い習慣が増えるほど、判断や人間関係、仕事の成果も変わっていくのです。

私にとって大きな転機となったのが、19年前の断酒でした。44歳のとき、飲酒という習慣を手放すことを決めました。断酒によって変わったのは、単にお酒を飲まなくなったことだけではありません。夜の過ごし方が変わり、睡眠の質が改善し、朝の時間を有効に使えるようになりました。体調が整うことで思考も前向きになり、仕事や学びに集中できる時間が増えました。

そして、飲酒に使っていた時間を、早起き、読書、書評の執筆、運動、瞑想、感謝日記といった良い習慣に置き換えてきました。朝早く起きて本を読み、学びを文章にまとめ、ブログで発信する。移動先でも歩く時間をつくり、心と身体を整える。どれも一度で人生を変える特別な行動ではありません。

しかし、毎日繰り返したことで、思考と行動の質が少しずつ変わっていきました。 書評ブログも、一日書いただけでは大きな成果は得られません。それでも毎朝続けることで、読書が深まり、文章力が磨かれ、知識が蓄積されます。

さらに、発信を読んだ人との出会いが生まれ、新しい仕事や出版の機会へとつながりました。習慣はすぐに結果をもたらすものではありませんが、時間を味方につければ、自分では予想できなかった場所まで連れていってくれます。

確かに独立後の道のりは、決して平坦ではありませんでした。会社の看板を離れ、自分の力で仕事をつくるなかで、不安や迷いを感じ、短期間で成果を出せる近道を探したこともあります。

しかし、人生や仕事を根本から変える安易な方法はありません。一時的に成果を得ても、それを支える実力と習慣がなければ長続きしないからです。

だからこそ、目指す未来を描き、必要な行動を地道に積み重ねました。本を読み、文章を書き、人と会い、学びを発信する。相手の話に耳を傾け、自分にできる価値を提供する。失敗したときには他人や環境を責めず、改善を続ける。こうした行動が信頼を育み、新たなご縁と仕事を運んできてくれました。

現在、私は著者、書評家、コンサルタント、社外取締役、大学の特任教授など、複数の役割を担っています。最初から計画どおりに得たものではありません。断酒を起点に生活を整え、読書と執筆を習慣にし、人とのつながりを大切にしてきた結果です。 AIが知識や選択肢を瞬時に提示する時代でも、どの未来を選び、何を大切にし、どの行動を続けるかを決めるのは自分です。

夢を持つだけでは人生は変わりません。理想の未来を具体的に描き、目標を小さな行動に分け、毎日の習慣に落とし込むことが重要です。

19年前の断酒は、ゴールではなく、自分の人生を選び直す出発点でした。悪い習慣を良い習慣に置き換えれば、思考と行動が変わり、出会いや機会も変わります。運を待つのではなく、今日の小さな行動を積み重ねることが、人生の物語を書き換えてくれるのです。

本書の243の言葉は、毎朝のルーティンの中であなたの思考を研ぎ澄まし、判断の質を高め、行動を後押しする確かな指針となってくれるはずです。

FAQ

Q1. 本書は「引き寄せの法則」のようなスピリチュアルな内容ですか?

A1. いいえ、極めて実践的で行動心理学に基づいた内容です。運命とは偶発的な出来事ではなく、思考・行動・習慣の繰り返しを通じて徐々に形成されるものだと論理的に解説しています。よくありがちな間違いである「安易な近道」を否定し、マイケル・フェルプスのような途方もない努力の積み重ねが不可欠であると説いています。

Q2. ビジネスにおいて自尊心(自己肯定感)はなぜそこまで重要なのでしょうか?

A2. 著者は、私たちが抱えている問題の大半は、自尊心の欠如に由来すると指摘しています。自分を好きになれず、あるがままに受け入れられない状態では、他者と良好な関係を築くことも、自信を持って意思決定を下すことも困難になるからです。自分と良好な関係を築けば、すべてがうまくいくのです。

Q3. 本をたくさん読んで勉強しているのに、なかなか現実が変わりません。

A3. 本書が指摘するように、成功する人とそうでない人の違いは「行動を起こすかどうか」です。本を読むだけでも十分ではありません。逆に行動を起こさないと頭の働きが鈍ってしまうため、「すぐに成功する」という近道を探すのをやめ、綿密な計画に基づいて、正しい方向へ実際に行動を起こすことが何よりも大切です。

関連記事

【書評】マーク・レクラウの「心をとらえる60の法則」
人生の成功と幸福は、良好な人間関係によって支えられます。マーク・レクラウは、正しさを押し通して議論に勝つより、相手との調和を選ぶことが重要だと説きます。まず相手に関心を持ち、うなずきや質問を交えながら、話を丁寧に聴くこと。さらに相手をあるがまま受け入れ、欠点ではなく長所を認め、感謝を言葉で伝えることです。自分が話すより相手の話に耳を傾け、その価値を尊重する姿勢が信頼を育み、豊かな関係を築くのです。
リンクはこちらから

【書評】マーク・レクラウの自己肯定感を高めて心を軽くする方法
自己肯定感を高めるには、すべての人に好かれようとせず、自分の願望や価値観、強みと弱みを理解することが大切です。他人ではなく過去の自分と比べ、小さな成長を重ねましょう。また、人格を否定する人とは距離を置き、ありのままの自分を認め、建設的な助言をくれる仲間と付き合うことです。大好きなことや人生の目的を明確にし、学びと行動を続ければ、自信が育ち新たな出会いやチャンスを引き寄せ人生を前向きに変えられます。
リンクはこちらから

【書評】マーク・レクラウの「習慣を変えれば人生が変わる」
マーク・レクラウは、人生を変える鍵は運ではなく、思考と行動の習慣にあると説きます。他人や環境を責める被害者意識を手放し、自分の人生に責任を持つ「主役」になることが重要です。理想の未来を具体的に思い描き、目標を細分化して期限を設け、小さな行動を継続する。自制心と意志力は、その積み重ねによって鍛えられます。悪い習慣を良い習慣に置き換え、失敗から学びながら粘り強く続ければ、自信が育ち、人生の物語を書き換えられます。
リンクはこちらから

いつも運のいい人が考えていることの書影

最強Appleフレームワーク

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
リーダーパーパスフレームワークコミュニケーションウェルビーイング習慣化書評生産性向上ブログアイデアクリエイティビティライフハック
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました