人生で大切なたったひとつのこと(ジョージ・ソーンダーズ著)の書評

わたしが人生でもっとも後悔しているのは、「やさしさがたりなかった」ということです。(ジョージ・ソーンダーズ)

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人生で大切なたったひとつのこと
(ジョージ・ソーンダーズ著)

2013年シラキュース大学の卒業式での彼のスピーチが基になっています。
わずか8分のスピーチですが、その原稿がニューヨークタイムズに掲載され
大評判になることで、本書は生まれました。

やさしさについて書かれたこの本は、ユーモアの中に
人間の真実が表現されていて、なんどもなんども読み返したくなります。
昨日のブログで紹介した「やさしさ」という技術と同じことが書かれているのです。
「人にはやさしくすべきだ!」ということが!

本書は、ジョージ・ソーンダーズが小学校の時の時に同級生だった女の子に
やさしくできなかった思い出から始まります。
やさしさが足りなかったことを彼は後悔し、やさしさをスピーチのテーマにするのです。
ここから、やさしさが世界を変える重要な行動であるという考察が始まります。

では、望遠鏡を反対側からのぞいてみましょう。あなたの人生で、いちばんに温かい気持ちで、もっとも好ましいひととして覚えているのはだれですか? あなたに対してだれよりもやさしかったひとでしょう、きっと。簡単そうに見えて、実践するのは本当に難しいのですが、「もっとやさしいひとになること」を、人生の目標のひとつにしてみてはどうでしょう。

人生をより良くするためには、人同士のやさしさが不可欠なのです。
そして、私たちは心の奥底では、やさしくなりたいと思っているのです。

では、どうすれば私たちはやさしい存在になれるのでしょうか?

あなたがたは、自分の人生でいくつもの「とってもやさしい時期」と、いくつもの「あんまりやさしくない時期」があったことを知っているからです。何が「とってもやさしい時期」に導いたのか、何が「あんまりやさしくない時期」から脱出させてくれたのかもわかっています。すごいですよ、これ。やさしさが時と場合で「変わるもの」なら、理屈からいって、やさしさは「向上するもの」という結論になります。つまり、社会全体のやさしさを実際に増やせる方法論と実践法が必ずある、ということです。

私たちは教育を受けることによってやさしくなれます。
瞑想や創作活動に集中することも良いでしょう。
宗教や哲学を学ぶこともやさしくなるための近道です。
しかし、やさしくなるのは、本当に難しいことなのです。
なぜなら、やさしさはすべてのことに関わってくるからです。
多くのことを学び、体験していく中で
私たちはやさしさの重要性に気づきますが、それには時間がかかります。

年をとると自分という存在が小さくなり、愛情が増えていくと
ジョージ・ソーンダーズは、スピーチの中で述べています。
確かに親になり、子供への無償の愛を知ることで、人にやさしくなれるようになります。
多くの苦労を体験することでも、気持ちを変えられます。

しかし、若い頃には、この事実がわかりません。
次から次に目標が生まれ、野心にはゴールがないのです。
そんな時には、多くの書物や名言を読んで、賢い利己主義者になりましょう。
やさしさについて書かれた書物はたくさんありますから、それらを積極的に読むのです。
若い時に、いろいろな体験を重ねるのもよいでしょう。

やさしさを脇に追いやるのではなく、野心とともに育むことを習慣化するのです。
そのためには、自分の夢を描いて、行動することが重要です。

もし、わたしたちが、もっとやさしいひとになるなら、行動するひと、達成するひと、夢をもち続けるひととして、自分自身と真摯に向きあうことが必要です。最高の自分になりたいなら、そうしなくてはなりません。

野心を追いかけるばかりではなく、やさしさも大事にしましょう。
年をとれば、やさしさが最も重要なことだとわかるのですから
若い時からそれを追い求めたほうがよいのです。
年をとったタイミングで始めるのではなく
今から人にやさしくしたほうがよいに決まっています。

もちろん、ほかのこと、野心的なことをして構いません。たとえば、旅に出たり、金持ちになったり、有名になったり、革新的なことをしたり、指導者になったり、恋におちたり、財を成したり、失ったり、自然のままのジャングルの川を裸で泳いだりしてください(まず、最初にサルのウンチのありなしを確かめてから)。でも、そういうことをやりつつも、できるだけ、やさしさから遠ざからないようにしてください。大きな問題と向きあうようなことをしてください。あなたを小さな人間やつまらない人間にするようなことを避けてください。

世界中の多くの賢者がやさしさが大事だと語っとていますが
多くの若者はそれに気づきません。
私も50歳を越えて、ようやくやさしさの素晴らしさに気づきました。
多くの書籍に書かれていることが真実だとわかり始めたのです。
人生で大切なたったひとつのことは短い本ですが、とても価値ある一冊です。
特に、野心溢れる若い人に読んでもらいたい書籍です。
「やさしさ」という技術と併読すると、賢い利己主義者になる意味がわかると思います。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

    

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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