デジタルに秀でた社員を組織が採用しなければならない理由。

全事業の少なくとも40%が、今後10年で廃れる……会社全体を刷新して新しいテクノロジーに上手く対応しない限り。(ジョン・チェンバース)

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デジタルに強い社員を採用すべき理由

ユルゲン・メフェルトデジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略書評を続けます。本書の中にシスコの会長のジョン・チェンバースの言葉が紹介されています。優良IT企業のシスコと言えども、デジタル化を怠ると事業が成り立たなくなると述べています。シスコですら生き残れない可能性があるのですから、他の多くの経営者は彼の言葉を信じ、今すぐ行動を起こすべきです。

著者のユルゲン・メフェルトはデータは新しい石油だと言います。

「データは新しい石油」という言葉をよく耳にする。デジタル化に取り組む際には、データが原料となる。グローバル経済の成長により多く貢献しているのは昔ながらの商品取引よりも世界中で移動するデータのほうだ。企業は大量のデータを受け取るなり手に入れるなりして、高度な分析を施すことでそのデータを巨額の利益に変えることができる。

アマゾンやオーバーストックなどオンライン小売業者は競合の価格を絶えず入手し、適正価格をつけています。彼らは価格というデータを資源に変え、優位性を発揮します。ダイナミック・プライシング(動的価格設定)を武器に最適なマーケティング活動を行い、顧客を囲い込んでいます。時系列分析とビッグデータ分析を使い、1時間ごとに全アイテムの逆需要曲線を計算しているのです。

アマゾンはデジタルに詳しい優秀な社員の採用を続け、自社を強くしています。高度なテクノロジーに基づいた拡張性の高いソリューションを構築することがアマゾンの要で、そのために多種多様なプログラミング言語における世界最高の技術者を探しています。強者アマゾンを見習い、デジタルに秀でた社員を採用することが多くの経営者に求められています。

社内のデジタル人材が不足しているため、新たにITとソフトウェアのエキスパートを労働市場で獲得しなければならない。候補となる人材そのものが少ないので、この獲得競争は熾烈だが、問題はそれだけではない。たとえ人材の確保ができたとしても、社内の一部門にその人材を閉じ込めて、どことも連係することがなければ、大した成果は挙がらない。

アマゾンジャパンでは、ファッション・テクノロジー、モバイルショッピング、アマゾンポイントのプラットフォーム、カスタマーエクスペリエンスの4部門で技術者を採用しています。各チームに技術者が配属されることでデジタル化がスピーディーに促進されます。また、アマゾンジャパンの社員が開発した技術が世界中のアマゾンで使われる可能性があります。彼らは自分で開発した機能がビジネスに大きなインパクトを与えるという体験を実感できるのです。

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デジタルに強い社員を閉じ込めず、強いチームをつくる!

デジタル化はどんな可能性を開くのか、どんな限界があるのかという基本的な理解をマネジメント全体が共有している必要がある。加えて、「部門収益の最適化」という従来は是とされてきた思考がむしろ阻害要因になること、職能の枠を越えたチームを結成してプロジェクトを指揮する必要があることも理解しておかなくてはならない。デジタル人材を獲得するための戦いで勝利するには、まずここから始める必要がある。

経営者は自分が開発した技術が世界を変えていると社員が実感できるようなチームをつくらなければなりません。多くの成功している経営者は自社の従業員の力を活用しています。

ボッシュのCEOフォルクマル・デナーは「破壊的戦略発見チーム」によって、会社を活性化しました。各チームの課題はボッシュのビジネスモデルを攻撃できるデジタル戦略を考案することで、従業員に他者よりも先に自らの弱みを発見することが求められます。このキャンペーンによって、わずか6週間のうちに従業員から1800のアイデアが寄せられました。

デナーと経営陣はそのなかから複数のアイデアを厳選し、この改革を優先しました。各チームは短期間のうちにアイデアをさらに発展させて、新しいビジネスモデルに繋げたり、現在のビジネスモデルの弱みを浮き彫りにする作業に取り組んだのです。

会社を抜本的に改革するプロジェクトは、CEOやオーナーなどトップに立つ者が率先して推し進める必要がある。それはデジタル・トランスフォーメーションも同じだ。

良い人材を採用し、強いチームを作るためには経営者のリーダーシップが欠かせません。

経営者は以下のデジタル・トランスフォーメーションを拒む3つの要因に注意し、リーダーシップを発揮し、今すぐに行動を起こすべきです。
①効率的な組織ほど、実行すべき変革のスピードを遅らせてしまいます。業績が好調の時には、切迫感を持ちにくいため、アクションを起こせません。デジタル・トランスフォーメーションには職能の枠を越えたアプローチが必要ですが、専門化と強力な分業体制がそれを阻びます。現状を打破するために、組織の問題点を洗い出しましょう。
②皮肉なことに、有能で実績のあるマネジャーほどプロジェクトを妨害します。彼らの意見を聞いていては変化できずに、会社を死滅させてしまいます。デジタル・トランスフォーメーションは会社のトップからスタートする必要があります。今の成功に満足せずに、デジタル・トランスフォーメーションに舵を切りましょう。
③機能的な縦割体制でしみついた考え方と仕事のスタイルも、デジタル・トランスフォーメーションを阻びます。デジタル・トランスフォーメーションに成功する企業は、全従業員が顧客、顧客のメリット、カスタマー・ジャーニーを通じた顧客満足の向上に集中できています。顧客との最初の接点から購入、購入後の修理、予備の部品のサービスまで、あらゆる顧客とのタッチポイントに対し、この視点で臨んでいます。自分の大切な顧客を喜ばすにはデジタル化は避けて通れません。アマゾンやネットフリックスのような強者に顧客を取られたくなければ、今すぐ顧客を喜ばせるために、デジタル化をスタートさせるべきです。

まとめ

経営者はデジタル・トランスフォーメーションに舵を切るべきですが、そのためには優秀な社員を雇わなければなりません。顧客を喜ばすためには優秀なチームを作り、技術者を閉じた世界に閉じ込めてはいけません。あらゆる組織にデジタル化が求めらえているのですから、チームの中にデジタルのわかる社員を置き、チームを強くすべきです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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