何事も多数決、多数決というけれども、
多数の力で少数の者を圧倒するは、これほど容易なことはない。 またこれほど残酷なことはない。(渋沢栄一)
渋沢栄一の言葉から今の政治を考える
私は渋沢栄一の言葉を時々読み返します。渋沢は「資本主義の父」と呼ばれた男で、第一銀行、王子製紙、日本郵船、日本鉄道など日本を代表する多くの企業の設立に関わっています。経営者や政治家に渋沢のファンは多く、今も彼の「論語と算盤」は読み継がれています。
その明治の偉人の渋沢栄一が今の政治を見たら、なんと言うでしょうか?彼は多数決による奢りを否定します。この数年の安倍政権は数の力で、審議時間をあまりかけずに様々な法案を成立させています。情報開示にも消極的で、今回の森友事件では文書の改ざんと・廃棄によって、国民の知る権利の土台も傷付けられました。政治家が自分の力に酔い、数の力に頼るのはとても危険です。
多数決を尊重するのは民主主義の根本ですが、少数意見を無視するのはよくありません。少数意見の中の真実を大切にしなければ、国民からの支持をやがて失うはずです。独裁に近い形で政治が行われれば、国民が犠牲になる可能性もあります。渋沢が指摘するように、少数を圧倒する残酷な事態を見過ごしてはいけません。
渋沢は人が奢るとろくなことはないと述べています。
人間は逆境に立つか失意にいる時は、一心に向上をはかり、
常に反省力が強いから安全であるが、 得意の絶頂にいる時が極めて危険である。
得意絶頂な時ほど危険なことはありません。国民のことを気にせず、横暴な政治を進めることはとても危険です。調子に乗って、他者を傷つけることが続けば、国民だけでなく海外からの批判も増えるはずです。
益になる友を近づけ、損になる友を遠ざけ、へつらう者を友としてはならない。
安倍内閣は時にお友達内閣と揶揄されますが、自分にへつらう者だけを優遇するとろくなことが起こりません。第一次安倍政権ではお友達を優遇した結果支持率を減らしていきました。
今回の森友事件以降、官僚や政治家の忖度が続きます。地位が上がると自分にへつらう者が増えますが、彼らは益の友とはなり得ないのです。これほど忖度や媚びへつらいが話題になる内閣はありません。
確かに安倍政権の支持率が高いのは事実ですが、その一方で不支持率も高まっていますから、今こそ丁寧な政治を行うべきだと思います。第一次安倍政権が終わり、下野した頃のことを思い出し、国民とともに議論する姿勢を取り戻してもらいたいものです。内閣改造が噂される今、安倍政権がどのような内閣をつくるかも注視したいと思います。
経営者は自分の強みにこだわるべき!
すべての事業は好景気の時は、起業資本の支払いとか、設備投資とか、つとめてその基礎を強固にすることに意を用い、いたずらに景気に乗じて、利益配当を多くして、株主に媚びを売るようなことは慎まなければならない。
渋沢は後進の企業家を育てるために、経営に関する名言を数多く残しています。彼の言葉は現代の経営者にも影響を及ぼしています。好景気の時に経営者は慢心しがちです。景気が良いからといって事業を拡大しすぎると景気が急に悪くなった時、深刻な危機に陥ることがあります。バブルの時に日本人はこの轍を踏み、未だに苦しんでいます。渋沢は、景気が良いときはじっくりと会社の基盤を固めるべきだと述べています。
人気や人望というものは、自分の内面から外に出るものである。他人が自分を理解してくれない、従ってくれないと思う前に、自分のいたらない部分を考えるべきである。広告も必要、自己表現も必要であるが、これらは外部的な誘導手段に過ぎず、内部的実質を充実させることこそ、人気を博する根源である。
経営者は宣伝ばかりするのではなく、自分の内面の充実を目指すべきです。ソーシャルメディアでの投稿に力を入れるだけでなく、自分への投資を欠かさずに、学びを続けるべきです。
若い時に私は次の長所に関する渋沢の言葉に出会えましたが、この言葉を信じることで、自分の人生をよりよくできました。
長所はこれを発揮するに努力すれば、短所は自然に消滅する。
人には長所もあれば短所もありますが、短所を気にするのはやめるべきです。短所をあえて隠すのではなく、長所を伸ばしていけばよいのです。長所が人から評価されるようになれば、短所は自ずと目立たなくなります。できないことに時間を費やすのをやめ、誰かにそれを任せるのです。強みのある人を集め、それを掛け合わせることで組織は強くなるのです。
人は何事も楽しんで勉強するがよろしい。
これ第一の健康法である。
渋沢は楽しく勉強することで健康になれると言います。
一時の成功とか失敗とかいうことは、長い人生には、
アワのごときもので、それほど気にすることではない。
これらの渋沢氏の言葉を読むことで、政治家や経営者のよしあしの判断もできます。良い言葉を日々読み返すことで、判断力を強化できます。
まとめ
渋沢栄一は、約500の企業の育成と約600の社会公共事業などに携わり「日本資本主義の父」と呼ばれています。その彼が残した言葉を読むことで経営者マインドを養えます。論語と算盤を経営に取り入れることで、よりよい経営ができるようになるのです。
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