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人に頼む技術コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
著者:ハイディ・グラント
出版社:徳間書店
本書の要約
多くの人は他者への依頼に苦痛を感じます。しかし、人は助けを求めてきたからといって、その相手を嫌いになったりはしません。誰かの助けが必要になったときにこの事実を頭に入れておけば、人への頼みごとに苦痛を感じなくなります。結果を出したければ、周りの人にもっと積極的に依頼をすべきです。
遠慮しないで、もっと依頼しよう!人から助けを得るための4つのステップ
頼み事をする機会が増えるにつれ、小さな苦痛を味わう場面も増えているのです。また、同僚や仲間から助けを得ることだけが重要なのではありません。リーダー的な立場にいる人は、メンバー同士が自発的に助け合うような雰囲気をつくらなければなりません。それはマネジメントの核心だとも言えます。(ハイディ・グラント)
多くの人は頼みごとが苦手で、人にお願いする際に苦痛を感じると言います。コロンビア大学心理学博士のハイディ・グラントは、私たちは嫌な気持ちにならずに、もっと他者に依頼をすべきだと指摘します。
私たちには、人の助けが必要です手を貸してくれる人、足りない部分を補ってくれる人、代わりに何かをしてくれる人が必要です。また、人は自分たちが思っている以上に、誰かを助けてあげたいと考えています。
もし、あなたが周りから必要なサポートを得られていないのであれば、それは自分の捉え方や行動に問題があるかもしれません。あなたの周りにいる人たちは、不親切で気の利かない人たちではなく、単にあなたが何を必要としていて、どんな助けを求めているかがわからない人たちなのです。
うまく人の力を借りるには、相手に”助けよう”という動機を持たせるための合図である「人を動かす力」(レインフォースメント)を理解する必要があります。これを実践できると、周りから助けてもらいやすくります。
たいがいの人は、他者に親切でありたいと考えています。すべての人が周りの人に親切をするわけではありませんが、自分たちが想像しているよりもはるかに多くの人たちが、他人に親切にしたいと考えていることを忘れないようにしましょう。
著者は人から助けてもらうときには、以下の4つのステップを踏むべきだと言います。
1、まず、相手に気づいてもらうことが、人から助けや支援を得るための第一歩です。
人は自分のことで頭がいっぱいで、他者にそれほど注意を向けていません。まずは相手に助けが必要だと気づいてもらいましょう。
2、助けを求めていると相手に確信させます。
人は他人の心をはっきり読めませんから、直接相手に助けを求めるようにしましょう。
3、助ける側に自分しか助けられないと思わせ、責任感を抱いてもらいます。
人は自分が助けないでも大丈夫だと考えがちなので、明確な責任感を抱いてもらうようにします。
4、助ける人が必要な助けを提供できる状態である必要があります。人は忙しく他者に注意を払っていませんから、自分の状況をしっかりと伝えるようにしましょう。
・何を求めているか、どの程度の助けが必要かをはっきり、詳しく説明します。
・妥当な助けの量を求めます。
・求めていたものとは違っても相手の助けを求めます。相手への感謝を忘れないようにします。
何かを成し遂げたければ、もっと他者に依頼しよう!
バネッサ・ボーンズは、被験者延べ1万4000人以上の見知らぬ人にさまざまな種類の頼み事をした複数の研究を分析し、被験者が成功率を平均で約48パーセント低く見積もっていたことを明らかにしました。つまり、私たちが思っているよりも約2倍、人は誰かを助けたがっているのです。
なぜ頼み事をする人は、成功の見込みを低く見積もってしまうのでしょう?ボーンズらは、その主な原因は、視点の置き方に問題があると主張しています。一般的に、私たちは頼み事がうまくいくかどうかについて予測するとき、頼まれた側にとって面倒だと考えがちで、その結果、依頼を躊躇してしまうのです。
しかし、頼まれた側が「ノー」と断るときに、実は相手に負荷が生じます。私たちは自分の感情や心配事に目を向けすぎているために、相手の立場に身を置くことができなくなっているのです。人は誰かを助けたいと考えていますから、断ることで苦痛を感じます。特に面と向かって助けを求めると、相手がそれに応えてくれる確率が高くなることがわかっています。助けを求めてきた人が目の前にいると、それを断るのは気まずく、社会のルールに違反するという感覚が大幅に強まります。
一方、電子メールなどを用いて間接的に助けを求めた場合は、相手は直接的に助けを求められたときのような抵抗を示しません。それなのに、助けを求める人はこの点を考慮に入れず、どちらの方法を選ぶかと尋ねられた場合には、電子メールを使おうとします。
あのスティーブ・ジョブズも、何かを成し遂げたければ、他者に依頼をすべきだと述べています。
僕は日常的に、助けを求めれば人はそれに応えてくれる、ということを実感している。この真実に気づいている人は少ない。なぜなら、めったに誰かに助けを求めようとしないからだ。誰かに何かをお願いしても、それを無下に断られることなんてめったにない。(中略)僕が頼み事をしたときに、「嫌だね」といって電話を切る人はいなかった。その相手から同じように頼み事をされれば、僕も力を貸す。相手に恩義を返したいと思うからだ。でも、電話をかけて誰かに助けを求めようとする人は少ない。それが、何かを成し遂げる人と、夢を見るだけで終わる人との差になることもあるのではないかと思う。(スティーブ・ジョブズ)
ジョブズの言葉から、成功したければ、遠慮せずに依頼をした方がよいことがわかります。
著者は1度オファーを断られても、次の依頼を躊躇しないようにすべきだと言います。実は2度目の頼みごとが、よい結果をもたらすことが明らかになっています。1度「ノー」と言った人に別の機会に頼み事をしたとき、助けてくれる確率は低くなるのではなく、逆に高くなることが調査結果からわかっています。人は “誰かに頼み事をされたとき、親切で協力的であるべきだ〟という考えを持っています。そのため、2度続けて断ることに耐えがたいほどの抵抗や罪悪感を覚え、その結果として「イエス」と答えるようになるのです。
多くの人は他者への依頼に苦痛を感じます。しかし、人は助けを求めてきたからといって、その相手を嫌いになったりはしません。誰かの助けが必要になったときに、この事実を頭に入れておけば、人への頼みごとに苦痛を感じなくなります。結果を出したければ、ジョブズのように周りの人にもっと積極的に依頼をすべきなのです。
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