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破壊的イノベーションの起こし方―誰でも使えるアイデア創出フレームワーク
著者:松本勝
出版社:東洋経済
本書の要約
破壊的創造のアイデアを創出していくためには、新結合、デザイン思考、統合思考、転換思考などの複数のフレームワークを活用するとよいでしょう。高い共感度のニーズ(Why)と高い実現可能性のソリューション(How)を生み出す、5W1Hの新たな組み合わせをつくることで、イノベーションを起こせるようになります。
イノベーションを起こすための5W1H
イノベーションを生み出すアイデアの創出とは、数学的な問題に帰着させると、高い共感度のニーズ(Why)と高い実現可能性のソリューション(How)を生み出す、5W1H(Who、Where、When、Why、What、How)の新たな組み合わせパターン(新結合)の探索活動と言える。(松本勝)
VISITS Technologiesの松本勝氏は、これまで不可能だと思われていた「イノベーション創発」という領域を数学の力で理論体系化できると考えています。イノベーションが起こるステップを5W1Hに分解することで、創発のパターンが見えてきます。同社は人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米で特許取得)により開発し、クライアントに提供することで、イノベーションを起こしやすい環境をつくっています。
イノベーションの正しい意味は、新結合です。新結合とは、「これまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって新たな価値を創造すること」を意味します。「ニーズ」と「シーズ(技術やデータ等のアセット)」の新結合によって、破壊的なイノベーションを起こせるようになります。この新結合を5W1Hのステップで考えていくことで、イノベーションの再現性が高まります。
以下のニーズとシーズの4つの組み合わせによって、イノベーションを起こせるようになります。
①顕在ニーズと既存シーズの「新しい」組み合わせ
②顕在ニーズと新規シーズの「新しい」組み合わせ
③潜在ニーズと既存シーズの「新しい」組み合わせ
④潜在ニーズと新規シーズの「新しい」組み合わせ
新結合を考える際には、人々への共感が欠かせません。人々の心を動かすために、デザイン思考を取り入れるとよいと著者は指摘します。人々の幸せというゴールから逆算し、新規事業を考えるようにしましょう。
人々が共感する世界観や感動する体験を創れば、人々の心が動き、利用され、新しい市場が生まれる。他者への共感により、サービスの作り手がユーザーの共感・感動体験を解像度高く、自分ごととしてイメージできれば、ユーザーの心を掴むサービスをデザインできるようになる。デザイン思考で新しい市場(0→1)を生み出せるのは、このようなロジックによる。繰り返しにはなるが、新しい市場を生み出すためには、徹底的に「共感」にこだわることが重要であると覚えておいてほしい。
破壊的イノベーションが起こるのは、企業が新しいサービスを世の中に出し、そのサービスにより多くのユーザーが「幸せな体験」を手にしたときですが、これを実現するためには、共感が欠かせません。破壊的イノベーションとは、「他者の幸せな人生をデザインすること」で、共感から始まるデザイン思考によって生み出せます。
ニーズを統合し、シンプルに!
イノベーションとは「ニーズを統合しながら、UI/UXをシンプルにする行為」とも言える。
スティーブ・ジョブズ「シンプルにする才能」を持っており、これがAppleが成功した要因の1つであることは間違いありません。Twitterは、たった140文字のツイートというシンプルな機能で自分の気持ちを表できることが画期的でした。日々人々に届く情報が増えるなかで、瞬時に自分に必要な情報が見つけられる点が、現代人に評価されたのです。
イーロン・マスクのテスラのコンセプトも革新的だと著者は指摘します。車のボディというハードの上にOSを載せることで、テスラは車を日々アップデートさせていきます。ユーザーは性能をアップするために毎回車を買い替える必要はなく、スマホのOSのようにアップデートすればよいのです。
テスラ車にはタッチパネルが用意されていますが、ユーザーがこのタッチパネルで操作するたびに、ユーザーの行動データが蓄積されていきます。このデータを解析すれば、各ユーザーに完全にパーソナライズされた車にアップデートすることも可能になります。個々の顧客のデータを入手することで、テスラは顧客に合わせて進化していきます。
車の機能や形はユーザーの価値観の変化に合わせて変幻自在に変化し、製品のライフサイクルは長くなり、テスラ以外の選択肢がなくなります。
重要なのは、世の中のサービスを見渡した時に、モノやサービスそのもの(What)や機能面(How)ばかりに目を奪われるのではなく、なぜ人はそのサービスを利用するのか(Why)、その提供価値に着目して考えることである。「WhatやHowではなく、徹底的にWhyから考える」は、まさにデザイン思考そのものである。
イノベーションを起こすためには、パーパスにこだわるべきだというのが、本ブログの考え方なので、Whyに着目する著者の姿勢には共感を覚えます。起業家はMTPという壮大な野心目標をつくることから事業を始めるべきです。
破壊的創造のアイデアを創出していくためには、新結合、デザイン思考、統合思考、転換思考などの複数のフレームワークを活用するとよいでしょう。本書のフレームワークを使い倒すことで、イノベーションを起こせるようになります。
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