Man photo created by drobotdean – www.freepik.com
ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える
著者:中島聡
出版社:KADOKAWA
本書の要約
自分のやりたいことをMTPとして言語化し、アウトプットすることで、世界中のエンジニアやマーケター、投資家とつながれます。プロトタイプをつくり、フィードバックを受けることで、スピーディにプロダクトを生み出せます。アイデアを形にすることで、個人がイノベーションを起こせる時代になったのです。
コロナ時代に個人が自分の能力をアップデートすべき理由
コロナ後に活躍できるのは、オフィス・スペースは最小限にとどめ、世界中から優秀な人材を雇い(しかし、移住・移動は不要)、様々なオンライン・ツールを最大限に活用して、従来型の企業よりもはるかに生産性の高い仕事をする筋肉質な企業だけ、ということになります。(中島聡)
コロナ禍が続く中、私たちのライフスタイルは激変しています。アマゾンやアップルのようなIT業界はこのコロナ禍でも成長していますが、飲食業や宿泊業は完全に負け組になっています。個人においてもオンラインツールを使いこなす生産性の高い人とそれ以外の人の優劣が明らかになってきました。企業だけでなく、個人も自分をアップデートしなければ、生き残れなくなっています。
マイクロソフト出身でシンギュラリティソサエティの代表理事として活躍する中島聡氏は、「ビジネス」「働き方」「人材」の3つの分野で二極化が起こり始めていると言います。
AIが世の中の働き方を激変させ、今後多くの人の仕事を奪うと中島氏は指摘しますが、このトレンドに飲み込まれないためには、自己投資を行い、変化に適応できるようにすべきです。
私たちが生き残るためには、以下の3つのアップデートが必要になります。
・リモートでも効率的にビジネスができる業種・職種を選ぶ
・リモートワークに必須のツールを使いこなす
・長時間労働や労力ではなく、生産性と結果で勝負する人になる
昨日、明治大学の久米先生のベンチャー企業論で講義をさせていただきましたが、その内容が本書の内容と近く、とても驚いています。私はイノベーションは個人で起こすものだと考えていますが、自分の好きなこと、ワクワクすることをしていれば、世の中の課題が必ず見つかります。そのペインをテクノロジーの力で解決することで、イノベーションが生まれます。
中島氏は今回のコロナ禍で働き方を変えた個人が、社会にとって価値あるものを生み出すことで、イノベーションを起こせると述べています。
コロナ後の世界に誕生する「ニュー・エリート」とは、自分のライフスタイルを優先して住む場所(海岸、山奥、農村、リゾート地など)を選び、そこからリモートワークで社会・企業にとってなくてはならない仕事をするワークスタイルを持つ人たちのことですが、そんな働き方をするためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。何よりも重要なことは、「社会にとって価値のあるものを生み出す力」を持っていることです。「イノベーションを起こす人」と言い換えてもよいと思いますが、必ずしも「もの」や 「サービス」に直結している必要はないので、かなり広い意味でのイノベーションと考えてください。イノベーションの起こし方に関して勘違いしている人が多いのですが、イノベーションを起こすのは「会社」や「組織」ではなく、常に「個人」です。
通勤時間から解放され、環境のよい場所で働くことで、今までとは異なる視点に立てます。自分の力を信じて、空いた時間を活用し、世の中に存在する課題を発見するのです。
イノベーションを起こすのは絶えず個人だと考え、自分の価値を高め、それを世の中に提供しましょう。自分らしい視点でペインを見つけ、周りを巻き込みながら、それを取り除いていくのです。
フルスタック・スタートアップがイノベーションを起こせる理由
「フルスタック・スタートアップ」とは、ソフトウェア・ベンチャーでありながら、ソフトウェアを武器にしてソフトウェア以外のビジネスを自ら行うことにより、その業界そのものに外部からデジタル・トランスフォーメーションを起こす会社のことです。重要な点は、ソフトウェア・ベンチャーでありながらソフトウェアそのものを売るのではなく、それを活用したビジネスをしてしまう点です。
DXは、既存の企業がテクノロ ジーを導入して、業界を変えることによって起こるのではなく、テクノロジーを活用した企業の新規参入により、業界のビジネスのあり方が根底から変わることによって起こります。フルスタック・スタートアップが、業界の外からテクノロジーの力を使って、既存業界を破壊することで、イノベーションが起こります。
フルスタック・スタートアップのディスラプションの典型例がUberです。Uberは予約・配車システムというソフトウェアを生み出しましたが、それをタクシー会社にライセンスするのではなく、自らがモビリティ・サービスを提供することで、既存業界を破壊していったのです。
Uberのビジネスモデルは当初は否定されていましたが、ユーザーが支持することでライドシェアというビジネスモデルを確立しました。AirBnBも、個人の部屋には誰も泊まらないと多くの投資家がそっぽを向いていましたが、多くの障壁を乗り越え、サービスを改善することで、ファンを獲得していきます。
「野心的な変革目標」(MassiveTransformativePurpose、MTP)をつくり、個人がパッションを持ってビジネスをスタートすることで、周りの人を動かすエネルギーが生まれます。個人の情熱が周りの人々に影響を及ぼし、やがてイノベーションが起こるのです。
個人の力が今後、世の中を変えていくことは間違いありません。自分のやりたいことをMTPとして言語化し、アウトプットすることで、世界中のエンジニアやマーケター、投資家とつながれます。プロトタイプをつくり、フィードバックを受けることで、スピーディにプロダクトを生み出せます。アイデアを形にすることで、個人がイノベーションを起こせる時代になったのです。
ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。
|
コメント