最適な選択をするための内なる声の鍛え方


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LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる
著者:ケイト・マーフィ
出版社:日経BP

本書の要約

「ひとりごと」は自分の中にいる他者の声を反映します。ひとりごとを言うときも他の人と話すときも、使われる脳の部位は同じであることがわかっています。私たちは重要なことを考えるときに、これまで学んだことを自分の内なる対話で活用しています。うちなる声の質を高めることで、結果をよりよくできるのです。

私たちを応援したり、邪魔をする「内なる声」とは何か?

だれの頭の中にも、内なる声があります。実は私たちは、常に心の中でひとりごとを話しています。(ケイト・マーフィ)

ジャーナリストのケイト・マーフィLISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる書評を続けます。私たちは絶えず自分の内なる声と対話しています。心の中でひとりごとをすることで、様々なことを考え、無駄に悩んでいます。過去の出来事を分析したり、将来の出来事に向けて予行演習しているのです。

心の中の声は、時に自分を応援し、時に自分にダメージを与えます。勇気づけてくれるときもあれば、辛辣なときもあり、褒めてくれることもあれば、けなしてくることもあります。

イギリスのダラム大学の心理学者チャールズ・ファニーハフは、内なる対話を研究しています。 子供の頃は、ひとりごとを言葉にして発しますが、大人になると人はそれをコントロールするようになります。

内言〔心の中でのひとりごと〕やひとりごとは、だれもがやっています。自分の頭の中で話し、それを聞いて、意見を交換しているのです。(チャールズ・ファニーハフ)

「ひとりごと」は自分の中にいる他者の声を反映します。ひとりごとを言うときも他の人と話すときも、使われる脳の部位は同じであることがわかっています。 これは「社会的認知」を司る脳の領域で、この部位のおかげで、私たちは人に共感し、人の意図や欲求、感情を読みとっています。 私たちが他の人の話に耳を傾けると、それが自分の内なる対話の口調や質を決めるということになります。

私たちは人とのやりとりを通じて、質問し、答え、意見を述べる方法を学びます。そして、自分で問題を解決したり、人としてのあり方に対峙したり、創造的に考える必要があるとき、これまで学んだことを自分の内なる対話でも活用するのです。

内なる声の力を高めよう!

人生で大勢の人に耳を傾ければ傾けるほど、頭の中で問題をより多面的に議論できるようになり、思いつく解決法も多くなることが研究で示唆されています。認知的複雑性は、さまざまな考え方を許容する、関連づける、新しいアイデアを思いつく、 といった大切な能力です。内なる対話はこの力を伸ばし、その基盤となります。

読書によって、内なる声をよりよくできることが明らかになっています。何かを読むとき、人は頭の中で言葉を発音しています。ひとつの単語を発音するのに時間がかかれば、読むのにも時間がかかります。これが内なる声の形成に影響を及ぼします。

特定の作家のファンだという読者の多くは、その作品を読む際には、作家の声が、もしくはその作家はこんな声をしているだろうと想像した声が、頭の中で聞こえると言います。

ファニー・ハフらはイギリスの新聞『ガーディアン』と組み、読者1566人を調査しました。すると89パーセントの人は、本に出てくる登場人物の声が聞こえ、しかも鮮明なことが多いと答えました。56パーセントは、読んでいないときさえも登場人物の声が頭の中に残り、自分の内言の口調や内容に影響すると答えました。

作家のレイ・ブラッドベリは執筆作業の日課について、朝目覚めたらベッドに横になったまま、頭の中の声を聞いていたと語っています。ブラッドベリはこの声を大事にすることで、数々のヒット作を生み出してきたのです。

内なる声は、生活の中で実際に会う人物に耳を傾けることで形成されるだけではありません。メディアでよく耳にする声、例えば、オプラ・ウィンフリーなどの人気のテレビ司会者の発言も内なる声に影響を与えます。内なる声は、あなたが物事をどう思案するか、状況をどう解釈するか、道徳的な判断をどう下すか、問題をどう解決するかを左右する力を持っているのです。

内なる声をコントロールしようとしても、人はこの声からなかなか離れられません。ならば、この声に悩まされるのではなく、上手に付き合った方がよさそうです。

内なる声の質を高めると、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)の感覚が促進されると言います。 さまざまな人の話に耳を傾けることで、私たちは多くの視点で考えられるようになります。

人に質問して相手の答えを吟味すれば、自分との対話でも、自分に問いかけることが上達していきます。むずかしい問題を解決したければ、自分の内なる声の質を高めるしかないのです。他者の話を傾聴する、声を出しながら読書をする、質の高いメディアからのインプットを習慣にすることで、私たちは内なる声をポジティブなものに変えられます。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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