山本康正氏の2030年に勝ち残る日本企業の書評


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2030年に勝ち残る日本企業
著者:山本康正
出版社:PHP研究所

本書の要約

GAFAは3つのメガトレンドに準じたビジネスを展開しています。(1)データを制するものが未来を制す。
(2)業界の壁を越える(コングロマリット化)。(3)ハード/ソフトではなく体験が軸になる。業界の垣根がなくなる中、日本企業も顧客体験を高めていかないと彼らとの戦いに敗れてしまいます。

GAFAは3つのメガトレンドを意識し、ビジネスを行っている!

GAFAのような未来を制する企業は、いくら会社が大きくなり、屋台骨となる事業があったとしても、5年先、10年先に社会から必要とされるサービスを常に模索しています。だからこそ、常に世界のトップ企業として君臨し続けているのです。(山本康正)

GAFAやテスラの進化が止まりません。アメリカや中国のテック企業は、未来の顧客体験を高めることを目指し、そこから逆算して、テクノロジーの開発を怠りません。

著者の山本康正氏は、GAFAをはじめとする米国のテクノロジー企業や、いずれGAFAのような巨大企業に成長する可能性を秘めたベンチャー企業には、共通する特徴があると言います。彼らは次の3つのメガトレンドに準じたビジネスを展開しています。
(1)データを制するものが未来を制す
(2)業界の壁を越える(コングロマリット化) 
(3)ハード/ソフトではなく体験が軸になる 

そして、この3つのメガトレンドは、これから5年、10年と続くトレンドでもあります。GAFAは顧客のデータを取り込み、次のビジネスを絶えず考えています。彼はのビジネス領域は広がり続け、業界の垣根を壊しています。アップルは顧客を囲い込むために、クレカに参入し、アップルウオッチで健康情報を入手します。アマゾンはもはやECの会社でなく、コンテンツを配信し、金融や医療業界にも参入しています。多くの日本企業が今後、GAFAとの戦いを余儀なくされますが、今後金融がその主戦場になりそうです。

アップルやアマゾンのテックカンパニーは、ウェアラブル端末からバイタルデータを取得します。IT企業が健康データを把握することで、GAFAが保険業界にも進出していきます。

既存の保険業界は、保険会社と加入者との間に情報の乖離が大きくある、「情報の非対称性」によって成り立っていました。個人情報を持たない保険会社は加入者に対して、情報の非対称性を埋めるために、さまざまな情報の提示を求めます。しかし、個人が提出するデータは過去のもので、現在の健康状態を正しく反映しているわけではありません。

ウェアラブル端末から得られるリアルな連続的なデータと比べると、保険会社が所有する顧客データは、精度が低いという問題がありました。これまでは最適な保険料が設定できず、価格にバッファを設けていました。保険会社にとっては保険料が高ければ利益が高まるのでよいかもしれませんが、加入者にとってはアンフェアなものになり、不信感が生まれます。

ウェアラブル端末によってリァルタイムのバイタルデータが取得できれば、加入後も健康をキープしようという意識が働きます。定期的に運動している加入者は保険料を安くするようなサービスが増えることで、医療費の問題も解決できます。

アマゾンケアが変える保険・医療業界

アマゾンは、投資事業や保険事業を手がけるバークシャー・ハサウェイと、JPモルガン・チェース銀行との合弁で、ヘルスケアサービスを手がけるヘイブン(Haven)という会社を2018年に立ち上げ、「アマゾンケア(Amazon Care)」という保険・医療サービスを開始しました。この会社で3社の社員向けに実証実験を行ったアマゾンは、2021年1月、アマゾンはヘイブンを解散して、一部エリアでヘルスケアサービスを開始しています。今後、アマゾン・ケアを全米で活用できるように準備を進めています。

アマゾンは「質の高い医療サービスをこれまでよりも安い価格で提供していく」と明言し、保険の価格を下げようとしています。アマゾンは競合の保険会社よりも、よりよいサービスを提供することで、保険のシェアを高めていくはずです。

アマゾン・ケアが手がけるサービスは、保険に限らず、多岐にわたります。医療にテックを導入し、アマゾンのサービスと結びつけることで、患者の様々なペインを取り除こうとしています。

アマゾンはスマートフォンによる遠隔医療サービスを狙い、医療と保険の顧客体験を変えていきます。24時間365日患者はオンライン診療が受けられ、薬も薬局にいかなくともアマゾンから購入できるようになります。(アマゾンは2018年にオンライン調剤販売の「ピルパック」(PillPack)をM&Aしている)今後、このような医療サービスが日本でも当たり前になっていきます。

アマゾンは顧客を健康にするという視点で、医療や保険業界を再定義しようとしています。アマゾン・ケアのサイトにはWell Beingを高めるサービスをいくつも用意されており、顧客は健康になるために、バイタルデータを自ら提供するようにデザインされています。

アマゾン・ケアでは、予防接種や健康診断、栄養相談、妊娠計画、禁煙支援などの予防ケアにも対応しています。「A 3-Week Habit-Building Challenge」など日々の行動をよりよくするプログラムで、顧客の習慣を変えることを目指しています。健康を維持する顧客が増えれば、保険料も当然やすくでき、アマゾンケアのシェアは高まっていくはずです。

アマゾンは米国で多くの経験を積んでサービスをブラッシュアップしていきます。今回のコロナ禍で日本でもオンライアン診療や訪問診療が普及し始めています。リアルタイムのバイタルデータを握るアマゾンやアップルが、日本の医療・保険業界を一気に淘汰する可能性が高まっています。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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