ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉の書評

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ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉
ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

自分の現状をよくしたければ、古い世界におさらばして新しい世界の扉を開くべきです。その際、言葉が重要な役割を担います。自分が見聞きする言葉の中身を入れ替えることで、自分の常識を変えられます。今までと同じ言葉を使っていたら、古い自分を変えられません。新しい言葉を使うことで、今までとは異なる別世界が拓けてきます。

わたしたちには直線的に考える癖がある

わたしたちにはいつも直線的に物事を考える癖がある。したがって、たとえば自分の将来について思いをめぐらすとき、今の自分の状況から将来がどう直線的につながっていくかというふうに真っ直ぐな線を引いて考えることが多い。また、世界がこれからどうなるかということを考えてみるときですら、今の世界の動きがさらに進展していくという前提で未来の予想を立ててしまうのだ。今の世界の動きから突如として変貌していくとか、そのつど世界が変化を続けていくといったふうに考えたりはしないものだ。しかし、実際の世界はそういうふうに動いているのではないか。(ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン)

ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』は、20世紀を代表する哲学書で、ヴィトゲンシュタインの生前に刊行された唯一の書籍になります。彼は第一次世界大戦に従軍中にこの歴史的名著の下書きを書いたと言われています。また、フレーゲとバートランド・ラッセルから多大な影響を受けているとヴィトゲンシュタインは述べています。

白鳥春彦氏は『論理哲学論考』とそれ以外からの著作から、考えること、言葉、心、人生、人間、世界、自己という7つのテーマでメッセージを再編集することで、ヴィトゲンシュタインの世界をより身近なものにしてくれました。2021年最後の一冊は、苦手意識のあったヴィトゲンシュタインで締めくくろうと思い、本書を選びましたが、この行動が私にパワーを与えてくれました。

私たちは自分の人生を直線的に考えがちですが、自分の人生にリミットをつけなければ、指数関数的な曲線を描くことすら可能になります。明日を今日の延長線で考えるのをやめ、わくわくな未来を描くようにしましょう。

失敗をした際にすぐにあきらめるのをやめ、そこから可能性を探すようにすれば、未来を変えられます。次の新しい考え方と行動を生み出すことを自らの習慣にすることで、生き方が変わります。

障碍があるからといって苦しんでいるのか。障碍があるから断念をするのか。その障碍に負けそうになっているのか。だとしても、どんな障碍も乗り越えることができる。そのために、頭を切り替えろ。すっかり切り替えろ。これまでの考えをすっぱり棄て、世間で考えられていることをもすっぱり棄てるのだ。そして、まったく別のルールを使うのだ。今までのルールではなく、別のルールで考えるのだ。この道でたどりつけなかったら、別の道を行くというように。そこには、今きみの前に立ちふさがっている障碍は存在しえないのだから。

問題が起こったときに過去の常識だけで、乗り越えようとするのは無理があります。今までのやり方とは異なる方法を見つける必要があります。新しいやり方を考え出すためには、さまざまな人と付き合い、自分の限界を壊すようにしましょう。

年齢を重ねるうちに、過去の経験や知識が多くなり、解決策を簡単に見つけられるようになりますが、自分のアイデアよりも正しいことがあると最近は考えるようになりました。Z世代の若者たちと話していると自分の限界が見つかります。時には、過去の常識に頼るのをやめるようにしましょう。結果を変えたければ、他者から学ぶことを選択するのです。

常識の壁を乗り越えよう!

生きている限り、さまざまな問題が立ち現れてくるものだ。その問題と真正面から取り組め。格闘せよ。決して逃げるな。常識を持ち出してきて、その問題の解決としてしまうな。常識にしたがえばこうだから、という言い訳をするな。誰もが知っている常識はその場の人々をなだめはするが、実際の解決にはならない。だから、問題の泥沼にどっぷりとつかり、じたばたしながらも必死に闘え。そしてようやく勝って、自力で泥沼から這い出るんだ。

「そこに問題があるならば、必ず解決できる」とヴィトゲンシュタインは述べています。問題は小さな問いの集まりだと捉えることで、解決策の糸口が見つかります。そこからヒントを見つけ、探訪を続ければ、答えを発見できます。

自分の現状をよくしたければ、古い世界におさらばして新しい世界の扉を開くべきです。その際、言葉が重要な役割を担います。自分が見聞きする言葉の中身を入れ替えることで、自分の常識を変えられます。今までと同じ言葉を使っていたら、古い自分を変えられません。新しい言葉を使うことで、今までとは異なる別世界が拓けてきます。

数十の言葉しか知らないならば、わたしたちは狭い世界で動物のように生きることしかできないだろう。しかし百の言葉を知っていれば、自分の周りの世界は百の広さになる。千の言葉を知れば、世界は千ほどに大きくなる。万の言葉を知っていれば、世界はさらに広大になっていく。言葉が増えるほどに見える景色が大きくなる。理解できるものが増えてくる。だから、自分が理解でき、自由に使える言葉や言い回しをできるだけ増やしなさい。そうすれば、世界はもっと広くなる。それは、自分のチャンスと希望を限りなく大きくすることと同じなのだから。

年の暮れにヴィトゲンシュタインの言葉に触れたことで、自分の限界に気づけました。自分の常識を捨て、新たな自分を生み出すために、言葉の力を活用したいと思います。来年も多様な人との出会いをデザインする、大量読書を続けていきます。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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