歴史思考 世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する(深井龍之介)の書評

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歴史思考 世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する
深井龍之介
ダイヤモンド社

本書の要約

歴史を知ることによるメタ認知(歴史思考)により、特定の価値観に基づく悩みから解放されます。歴史による人物の評価も時代時代によって変わるという事実を知れば、異なる価値観や立場の違う人の意見も認められるようになります。歴史を学ぶことで、近視眼的になりがちな自分にも距離をおけます。 

歴史を学ぶことでメタ認知を獲得できる!

歴史を知ることによるメタ認知のことを、この本では「歴史思考」と呼びます。 歴史を知ること、そして「歴史思考」を身に付けることは、悩みから解放されることでもあるんです。(深井龍之介)

多くの本を読むことで、メタ認知を獲得できるようになります。書籍には著者の歴史が詰まっていますから、本を読むことは歴史を学ぶことと同義かもしれません。

著者は歴史を知ることによるメタ認知(歴史思考)と呼び、これにより、特定の価値観に基づく悩みから解放されると言います。歴史による人物の評価も時代時代によって変わるという事実を知れば、異なる価値観や立場の違う人の意見も認められるようになります。歴史を学ぶことで、近視眼的になりがちな自分にも距離をおけます。

多読によるメタ認知によって、私も自分の悩みを減らせたり、課題を解決できるようになりました。様々な著者の思考や体験に触れることで、自分の価値観を変えられるようになります。

そもそも同じ現象について、ある時代では賞賛され、別の時代では非難されることもあります。つまり、歴史的な出来事の影響力が良いか悪いかを判断するのは、とても難しいんです。長いスパンで物事を見れば、いろいろな角度、いろいろな視点で評価をすることが可能になります。

時間軸によって、評価は左右されるのだと考えることで、物事の見方が変わります。過去の歴史を学べば、多くの偉人がその時代に評価されていなかったことがわかります。

本書の冒頭にはイエス・キリストと孔子が紹介されていますが、この2人は生きているときにはあまり良い人生を送れずにいました。磔にされたキリストはわずか13人の弟子しかおらず、悲しいことにそのうちの一人に裏切られてしまいます。

数年前に宮城谷昌光の「孔丘」を読んだのですが、孔子の歴史は放浪の旅に明け暮れます。儒教の始祖になった孔子も、他国への亡命生活を余儀なくされ、当時はあまり評価されていなかったのです。しかし、その後キリストと孔子の評価は劇的に変わり、私たちの思考や行動に今も大きな影響を与えています。

私たちも小さなことに一喜一憂するのではなく、自分のパーパスを明らかにし、そのために時間を使った方がよさそうです。悩みを減らすことで、私たちの時間の使い方は変わります。多くの偉人のように評価など気にせず、本当にやりたいことに集中し、自分の人生の満足度を高めましょう。

遅咲きの成功もあると考えよう!

歴史も人間も多面的で複雑だ。

今の日本では若い時の成功が評価されますが、人生は長くいつでも逆転可能であると考えると気持ちが楽になります。実際、歴史を振り返れば、偉人と言われる人たちにも多くの失敗や悪癖があることがわかります。

カーネル・サンダースは時代の変化に翻弄されますが、決して行動をあきらめませんでした。ガスランプ事業やガソリンスタンドの(一時的な)、サンダースカフェの失敗などはいずれも社会環境の変化が原因でした。サンダースほどの人間でも、環境の変化には勝てなかったのです。

しかし、何度も財産を失ったにもかかわらず、サンダースは決してあきらめず、ひたすらトライ&エラーを繰り返しました。65歳を過ぎてからのラストチャレンジが、ケンタッキー・フライドチキンを生み出します。FCという新しいビジネスによって、サンダースは遅咲きの成功を手に入れたのです。

僕はいつも思うのですが、30代や40代くらいで「成功した」「失敗した」と言うのはやめましょう。不毛です。そもそも何をもって成功というのか難しいですし、それは別にしても、せめて80歳くらいまでは待ちましょう。人生、何がどうなるかなんて分かりません。

私の人生も44歳までは、あまり誇れるものではありませんでした。酒をやめた後、自分を変えることはできると信じ、遅咲きの成功者の本を何度も読み返しました。結果、60歳になる今が一番楽しい時間を過ごせています。

実際、サンダースに限らず、歴史上の偉人は多くが遅咲きです。実は多くの偉人にも悪癖があり、完璧な人生を送っていなかったことがわかります。ガンディーや劉邦は今で言うところの不良少年で、家族からは全く評価されていなかったのです。多くの偉人が遅咲きであるという事実を知れば、若い頃に成功できなくても大丈夫というマインドセットが手に入れられます。

人は歳を取るほどダメになると考えがちですが、実際は逆にどんどん可能性が広がります。やるべきことを見つけ、そこにフォーカスすれば、50代、60代になっても人生をエンジョイできるのです。



この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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