ビジネスエリートになるための 投資家の思考法――The Investor's Thinking
奥野一成
ダイヤモンド社
本書の要約
①株式投資などによる金融資産の増大 ②自分資産の増大を組み合わせ、「ジブン・ポートフォリオ」を構築することで、自分を稼げる存在に変えられます。問題解決型人間になることで、他者に価値を提供できるようになります。インベスターシンキングを身に着け、企業から求められる存在になりましょう。
インベスターシンキングを身に着けよう!
「投資はギャンブルだ」と言う人がいますが、今はむしろ、終身雇用を前提に、将来のことを考えずに日々の労働だけして生きるほうが、ギャンブル性の高い時代になっています。(奥野一成)
バブル崩壊から日本の衰退が進んでいます。日本の企業からはイノベーションが起こらなくなり、少子高齢化には歯止めがかかりません。コロナパンデミックやロシアによるウクライナ戦争など不確実性が増しています。円安やインフレなど過去の常識が通用しなくなる中、農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) のCIOである奥野一成氏は今こそ「投資家の思考法(インベスターシンキング)」を身につけるべきだと指摘します。
インベスターシンキングによって、普通のサラリーマンも投資家としての成功を目指せます。投資家のマインドを身につけることで、ビジネスが提供しているものの価値がわかるようになります。結果、ビジネスパーソンとして優位性を発揮でき、結果を出せるようになります。クライアントや経営者からも一目置かれる存在になれるのです。
著者は株式の「長期投資」が有効だと言います。長期投資とはビジネスの本質(=事業の経済性)を見極めて、株式を長期保有することでその企業のオーナーになることです。私たちは投資家(企業のオーナー)として、優良企業が創出する価値を長期的に享受することを目指すべきです。
そのために、「ビジネスの本質である、付加価値を創出する構造を見極める」ことを身につける必要があります。お金は問題解決してくれた人や企業に集まります。顧客が抱える難しい問題を解決することで、企業の提供する付加価値が高まります。投資家が企業を評価する軸は、企業が提供する付加価値なのです。
著者はビジネスパーソンはお金に困らない2つの方法を身につけるべきだと言います。
①自己投資・・・顧客の問題を発見、定義、解決できる人材になる。問題解決型人材になる。
②長期株式投資・・・顧客・社会が抱えた問題を発見・解決できる企業のオーナーになり、その企業に働いてもらう。アマゾンやキーエンスなどの優良企業の株主になる。
ビジネスには以下の3つの要素があります。
①付加価値:その企業が提供する財・サービスに顧客にとっての付加価値があるのか、顧客にとって必要なもの、問題解決につながるものか。
②競争優位性:圧倒的な競争優位性があるのか、参入障壁と言えるまでに高められているのか。
③長期潮流:人口動態のような不可逆的(元に戻りにくい)な長期潮流があるのか。
この3つの視点を持ちながら、自分の創造力を膨らませながら、まずは投資したい企業の経営者との対話を始めてみましょう。
「ジブン・ポートフォリオ」を今すぐ構築しよう!
資本家的発想を持つと、ビジネスパーソンとしての生活が変わってきます。あなたが投資先として選んだ企業、経営者が、あなたのために働いてくれていることを想像してみてください。そうすれば、その事業を分析する際、モニタリングする際でも、目の前で動く株価をいったん切り離し、事業の本質を考えることができるようになります。
資本家的発想を持つと、ビジネスパーソンとしての生活が変わってきます。私も30年前に株式投資を始めてから、企業情報への接し方が変わりました。世の中の動きや経済に敏感になることで、自分のビジネスでも様々なメリットが得られます。経営者のビジョンを読んだり、事業分析をすることで、成長企業を発見できるようになります。
アマゾンのジェフ・ベゾスは自らの企業の「価値」を増大するために、事業投資や事業買収投資を優先させてきました。アマゾンは株主への配当を行わず、利益を新規事業に投資し続けています。アマゾンがこれだけの成長を遂げたのもベゾスのこの姿勢の賜物です。
ベゾスは株主あての手紙として自社のビジョンを毎年報告しています。彼の過去の手紙を読むたびに、アマゾンへの投資が間違っていなかったことを実感できます。彼らは企業価値増大をはかるために日々イノベーションを起こすための努力を続けています。
著者はビジネスパーソンは「ジブン・ポートフォリオ」を構築すべきだと言います。
①株式投資などによる金融資産の増大
②自分資産の増大(個人としてのスキルアップ、他者への価値提供)
この2つの資産を活用しながら、相乗効果を起こすことで、自分の未来を明るくできます。
「ジブン・ポートフォリオ」の金融資産部分においては、海外の優良企業に投資し、ミッキーマウスやジェフ・ベゾス、ティム・クック、イーロン・マスクなどに働いてもらいます。自分の頭を使って、自分のために稼いでくれる投資先を見つけましょう。
お金が「ありがとう」に集まってくるという本質を理解している人は、人や社会が抱えている問題発見・問題解決をしようと心がけ、その問題解決の対価としてお金を集めることができるので、外部環境の変化にビクビクする必要はありません。 なぜならその人は、勤め先に依存することなく、自分自身と人とのつながりの中でできた信用をいつでもお金に換えることができるからです。
自立とはジブン・ポートフォリオのオーナーとして顧客・社会の問題を解決していくということです。
国も会社も私たちの人生に対して責任をとってはくれないと考え、ビジネスパーソンはジブン・ポートフォリオを構築すべきです。経済的にも精神的にも自立し、自らの価値を増大させると同時に、お互いの才能を持ち寄って、より大きな問題を解決するべく相乗効果を発揮することで、自分を幸せにするだけでなく、世の中をよりよくできるのです。
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