瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す(山川隆義)の書評

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瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す
山川隆義
かんき出版

本書の要約

ビジネスプロデューサーとは、さまざまな資源を集めて統合し、効率的に業務を進める役割を担っています。そのためには、瞬考という能力が重要となります。 瞬考とは、仮説を立てることやAIを活用し、素早く状況を判断し、適切な行動を起こす能力です。瞬考を身につけることで、業務の効率化や迅速な意思決定が可能となります。

生成AI 時代に必要な「瞬考」とはなにか?

AI時代は仮説時代になるはずだ。(山川隆義)

「仮説が湧けば、あらゆる仕事が秒で終わる」と山川隆義氏は言います。この思考のメソッドを著者は「瞬考」と名付けました。著者の思考法を活用をすることで、仮説を一瞬で立てることができます。

この思考法が登場する背景には、インターネットがもたらした「つながった時代」によって起こった変化があります。この変化を日々の働き方や思考法に取り込むことができるビジネスパーソンは少なく、山川氏はその必要性を本書で指摘します。

本書では「ビジネスプロデューサー」という新しい時代の職種についても触れられています。AIが瞬時に答えを教えてくれる時代には、問いを投げかける力が重要になります。その際、仮説を瞬時に立て、ビジネスのプロセス全体を統括する存在がとても重要になります。目的と課題を明確にしたうえで、それを生成AIに指示すれば、瞬時に答えを得られるようになります。

仮説を一瞬ではじきだす思考法。それが「瞬考」である。

ビジネスプロデューサーとは、さまざまな資源を集めて統合し、効率的に業務を進める役割を担っています。そのためには、瞬考という能力が重要となります。 瞬考とは、仮説を立てることやAIを活用し、素早く状況を判断し、適切な行動を起こす能力です。複雑な状況や変化する環境において、迅速かつ正確な判断を下すことが求められます。

瞬考を身につけることで、業務の効率化や迅速な意思決定が可能となります。 瞬考の過程で仮説を立てることは重要です。仮説を通じて問題を分析し、解決策を導き出すことができます。さらに、AIやデータの活用によって、より客観的かつ的確な情報を得ることができます。

AI時代に人間が仮説構築力を鍛え、課題発見力を高めるためには、時間軸を長く取り、範囲を広く取ってものを考えることが要求される。そのためには、さまざまなことを知っておかなければならない。AIが進化すればするほど、リベラルアーツ、すなわち教養の深さが大きく問われることになる。 

AI時代にビジネスプロデューサーとして成功するためには、瞬考の能力を養い、仮説思考やデータ分析のスキルを磨くことが重要です。また、リベラリーアルなどの教養、柔軟な発想やクリエイティブな解決策の提案も求められます。さらに、他の人とのコミュニケーションや協力能力も必要となります。

AIの進化に伴い、今後、教養の深さであるリベラルアーツがますます重要な役割を果たすことになるでしょう。 時間軸を長く取るとは、過去から現在までの変化や流れを考慮に入れることです。歴史やトレンドを理解し、過去の事例やパターンから学ぶことで、より洞察力のある仮説を立てることができます。

また、範囲を広く取るとは、単一の視点にとらわれず、異なる分野や業界、文化などの幅広い領域から情報を集めることを意味します。異なる視点からの情報やアイデアを組み合わせることで、新たな視点や創造的な解決策が生まれます。

さまざまなデータや事象をインプットして、そこから何らかのメカニズムを解明すると、仮説が湧き上がってきます。そのために、文学、哲学、歴史、社会科学など様々な分野の知識を総合的にインプットすることが重要になります。当然、ビジネスでの仮説を作るわけですから、会社や業界の情報やデータのインプットは欠かせません。著者はそのために会社四季報を丸暗記するとよいと言います。

幅広い知識や体験を持つことで、異なる領域の知識を組み合わせて問題解決に取り組むことが可能となります。 AI時代において仮説構築力と課題発見力がなければ、ビジネスパーソンは生き残れなくなると著者は指摘します。

AIもたくさんのパターンを覚え込ませるほどに精度の高いアウトプットを導き出すように、たくさんの事象を頭にインプットしておかないと、新たな事象に対して仮説は出ないのである。そういう意味でも、頭の中にどれだけ事例や事象がインプットされているか。それをどのような形で整理しているかによって、仕事のスピードは大きく変わる。 

実際、ChatGPTにおいてはプロンプトエンジニアリングが需要なスキルになっています。よりよい答えを出すためには、知識や体験、人間力、自社のパーパスの定義などが重要になっています。私もそのための努力を怠らないように日々、書籍や人との出会いや様々な情報のインプットを強化しています。

アナロジーによって、ビジネスのメカニズムや構造を明らかにし、それを蓄積していくことで、仮説力が高まっていきます。

瞬考の6つの要諦

瞬考とは、さまざまなデータを頭にインプットし、そのデータを頭の中に並べながら、世の中や業界がどのように動いているのかの全体像を把握し、打ち手を考えることである。

瞬考の要諦を著者は6つのポイントにまとめています。
①求められる仮説とは「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を捻り出すこと
②仮説構築をするためには、事象が起きたメ力ニズムを探る必要がある。メ力ニズム探索では、「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」そして、その事象が起きた「背景」を意識する
③導き出した仮説を「メ力ニズム」として頭の中に格納し、それらをアナロジーで利用する
④事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
⑤「1を聞いて10を知る」人ではなく、「1を聞いて10を調べる」人が仮説を出せるようになる
⑥あらゆる局面でエクスペリエンス・力ーブを意識する

仮説はメカニズムとアナロジーで生まれると著者は言います。
・メカニズム・・・物事がどのように機能するかを説明する仕組み
物事をメカニズムとして理解することで、物事の因果関係を理解し、仮説を立てやすくなります。

・アナロジー・・・ある物事と別の物事の類似点を見出すことです。アナロジーを見出すことで、物事の関係性を理解し、仮説を立てやすくなります。

現在起きているすべての物事にはメカニズムが存在します。物事の構造を分解し、どこに問題があるかを明確にします。あるべき姿から逆算し、現状とのギャップを見つけることから仮説は生まれます。私たちはメカニズムとアナロジーを活用することで、瞬時に仮説を立てられるようになります。

情報収集によって複数のケーススタディをインプットすることは、洞察を深めたり創造的なアイデアを生み出すための重要な手段です。異なる事例を比較し、共通点や相違点を分析することで、より緻密な理解や新たな視点を得ることができます。

私は大学でケーススタディを教えており、日米のベンチャーや成功企業の多様な事例を検討してきました。結果、分析力を養い、仮説力を高めることができました。ケーススタディを通じて、実際のビジネスや組織の事例を掘り下げることで、その背景や要因を理解し、さまざまな解決策を考える能力が向上したのです。

インプット量を増やす方法の一つは、「1つの情報を得るごとに、それに関連する10の情報を調べる」というアプローチです。これにより、深堀りして関連する情報を探求することができます。1つの情報を追求することで、関連する情報が見つかり、それがさらなるアイデアや洞察の源泉となります。

例えば、特定のトピックや問題について調査や研究を行う際に、関連する文献や報告書、実例、専門家の意見などを探し出すことが重要です。その過程で得られた情報を分析し、新たなパターンやトレンドを見つけ出すことで、より深い理解と豊かなアイデアの生成が可能となります。

私もこの書籍ブログのために日々大量の書籍を読んでいますが、情報を蓄積することで、点と点がつながるようになり、アイデアが生まれてくるようになりました。

仮説を唱える力は、 人を集める力になる。

ビジネスプロデューサーになるためには、まず実力を身につける必要があります。そのためには、他人の心を動かせるような仮説を瞬時に唱えられるようになりましょう。そうすれば、誰かが力を貸してくれるようになります。そして、力を貸してくれた人と一つ一つ仕事を丁寧に完遂していくことで、ネットワークがコツコツと積み重なっていくのです。

ネットワークが広がっていけば、「この問題はこの人に聞けば、一瞬で解決できそうだ」というような仲間が増えていきます。このサイクルを繰り返していくことが、ビジネスプロデューサーへの道のりです。 そうやって仕事を積み重ねていけば、言わば「バーチャル知識ネットワーク」が頭の中に格納されることになります。優秀なスキルを持った人のネットワークが瞬時に解決できる力になります。

この「バーチャル知識ネットワーク」があれば、どんな問題にも対応できるようになり、ビジネスプロデューサーとして成功することができるでしょう。

ビジネスプロデューサーになるための具体的な方法としては、以下が挙げられます。
・業界のトレンドや最新情報に常にアンテナを張り巡らせる
・様々な人と交流し、人脈を広げる
・自分の強みや弱みを把握し、それを活かせる仕事に就く
・失敗を恐れず、挑戦する精神を持つ

ビジネスプロデューサーは、変化に適応する必要があります。常に新しいことに挑戦し、リスクを恐れない人材が求められています。もしあなたがビジネスプロデューサーを目指しているのであれば、これらのことを意識して、日々努力を積み重ねていきましょう。

瞬考やビジネスプロデューサーといった新たな概念や職種が登場することで、今後ますますビジネスの世界が変化していくことが予想されます。このような変化に対応し、柔軟な思考力を養うことが今日のビジネスパーソンに求められる能力のひとつになりますが、著者のアドバイスを実践することでそれを身につけられます。

 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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