時間を味方にして、モバイル広告の効果を高めよう!

アメリカの主要都市のスマートフォン利用者の84パーセントは、朝起きると真っ先にアプリをチェックする。(アニンディヤ・ゴーシュ)

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時間軸を考慮すれば、広告効果を高められる?

もはや、iPhoneなしの生活など想像できないほど、スマホへの依存が当たり前になっています。 私たちの時間軸も変わり、「すぐに」の概念も変わってきました。リアルタイムの重要性が増し、マーケターは時間軸を意識することで、広告効果を高められることがわかってきました。

スマートフォンで顧客一人ひとりにリアルタイムで訴求できるいま、適切な時に適切な広告を配信する重要性を理解しなければなりません。広告に対する反応は1日の時間帯によって変わりますし、曜日も考慮する必要があります。アメリカと中国の研究者チームは1日を1時間ずつ12の時間帯に分割し、それぞれのはじまりを午前8時から午後7時までとしました。各時間帯にふたつの消費者グループを割り当て、全部で24のグループを作成したのです。それぞれの時間帯で、ひとつのグループは実践的な(実用的な)高関与型[慎重に情報を検討して購入する]商品のプロモーションを、もうひとつのグループは情緒的な(快楽的な)低関与型[あまり検討せずに購入する]商品のプロモーションを実施しました。

このテストのレスポンス率は1.94パーセントで、モバイル・夕ーゲティング全般のレスポンス率である0.42の4倍以上に達しました。実用的な商品のモバイル広告に対するレスポンス率は午前中がもっとも高く、昼は緩やかで、午後になるとまた上昇し、夜は低くなりました。対照的に、快楽的な商品の広告は、午前中は低く、昼と午後にもっとも高く、夜は穏やかでした。

実用的な商品には、もっともレスポンス率が低かった時間帯(午後7時から午後8時)に対して、ふたつの明確なピーク時間があったのです。午前10時と正午にモバイル広告を配信すると、購買の可能性が著しく増えることがわかりました。快楽的な商品のレスポンス率にも同様のピーク が見られましたが、時間帯が異なりました。快楽的な商品の基準(もっとも反応が弱い)時間帯は午前8時から午前9時で、正午から午後2時のレスポンス率は、ほかの変数を一定にした状態で、購買の可能性を平均7.1倍も押し上げたのです。この明確な違いは、消費者が午前中は事務的になりがちだが、午後が近づくにつれてリラックスすることを説明してます。

「仕事」または実用的なフレーミングの広告は、午前10時から正午までに配信すると、基準(もっとも反応が弱い)時間帯である午後7時から午後8時に比べて購買の可能性が約5倍も高まります。「遊び」または快楽的なフレーミングでは、午後1時から午後3時までにモバイル広告を配信すると、基準(もっとも反応が弱い)時間帯である午前8時から午前9時に比べて購買の可能性が2.4倍高くなるのです。同じ商品の広告のフレーミングを変えるだけで、1日を通してより多くのマイクロモーメントを活用できるようになり得ます。


どんな商品にも固有のドラマがある。わたしたちの仕事は、そのドラマを掘り起こして、最大限に活用することだ。(広告会社のレオ・バーネットの考え方)

マーケターは商品特性に合わせて、ユーザーの状態を考慮し、広告の時間帯を考えるべきです。広告配信のベストなタイミングを見つければ、よりよい結果を得られます。

 

曜日により、広告効果は変わるのか?

では、曜日による広告効果は変わるのでしょうか?オーストラリアのモナシュ大学のマーケティング教授ピーター・ダナハーの調査から、曜日の重要な効果が明らかになりました。月曜日と木曜日は、水曜日よりもクーポンの利用率が著しく高いことがわかったのです。

著者が力ーネギー・メロン大学ハインツ・カレッジの情報システム・マネジメント助教授ベイベイ・リーとペンシルベニア州立大学スミール・カレッジ・オブ・ビジネスのサプライチェーン・情報システム助教授シウヤン・リウと実施した調査でも、曜日の重要な影響が明らかになりました。買い物客は目的を持った客と、ただ商品を見て回る客のふたつに分類できます。

平日は目的を持った客が多く、買うべきものや買 いたいものが決まっている。このような客は、買いたいものに関係のある広告には敏感に反応するが、そうではない広告は無視したり、反発心さえ抱く。週末の消費者は、真剣に商品を探すよりも、ただ見て回る傾向がある。この場合、おおまかにいって、効果は逆転する。週末は、その場のなりゆきで広告を受け入れる可能性が大幅に高まるのだ。

購買サイクルのなかで、購買を意図していない、または「見て回る」段階にいる顧客は、衝動買いをする可能性が高くなります。セール中の商品をふと目にすると、その衝動に拍車がかかります。

アメリカの大手ファストフード・チェーンのタコベルは、エックスアドのリアルタイムのモバイル位置情報プラットフォーム「マーケットプレイス・ディスカバリー」を使って、時刻と曜日の傾向を明らかにしました。これらのデータからより確かな情報に基づいたマーケティング判断を下し、リアルタイムに広告を配信することで、顧客を店舗に誘導しています。

消費者がどのくらいで購買決定を下すかも、モバイル広告オファーを設計するうえで重要な要素である。過去の実験では、プロモーションのタイミングが効果に影響を及ぼすことが実証された。消費者のなかには、いますぐ買うよう促すプロモーションを店内で受け取ると、財布の紐が緩む人もいる。

ピーター・ダナハーたちは欧米のある主要国のショッピングモールで複数の店を対象に調査を行いました。その結果、モバイルクーポンの有効期間がクーポン利用率の重要な決定要因であることが判明しました。なんとオファーを受け取ったユーザーは、クーポンを利用するまでの時間が平均2分未満と非常に短かったのです。

従来の食料品店のクーポンの利用率は、クーポン発送直後と、有効期限の直前がもっとも高かったのですが、有効期限直前でも利用は増えませんでした。しかし、今回に調査では、クーポンが使われるまでの時間は最大でたったの16時間だったのです。モバイルクーポンの有効期間が平均10日弱あったにもかかわらず、すべてのクーポンが1日以内に利用されていたのです。

この事実は、モバイルクーポンの有効期間は、従来のクーポンよりずっと短く設定すべきだということを示唆しています。研究者たちによれば、もしすべてのクーポンの有効期間が1日に短縮されたら、予測される利用率は50パーセントも増加すると言うのです。

この調査で得られる重要な経営上の知見は、適切な状況と場所(たとえば、ショッピングモールなど)であれば、有効期間を短くして切迫感を生み出すことでクーポン利用率を最大化できるということなのです。「本日限り、先着100名様限定」や「本日午後2時まで」のような文言をクーポンに入れることで、適切な有効期間を維持しつつ、従来のクーポンにある「使わなければ無駄になる」という気持ちを呼び起こすことが可能になります。

まとめ

商品特性、時間や曜日、場所を考慮し、モバイル広告を配信することで、広告効果が高まることがわかりました。モバイルクーポンを使用する際も有効期限を短くし、限定感を加味することで、購買する確率を高められます。マーケターは適切な場所、時間を意識しながら、モバイル広告を配信すべきです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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