AIによって、社員を幸せにしながら、生産性を高める方法。

勤務内容が多様だと、より大きな幸福感がもたらされ、さらに従業員を鼓舞して生産性のアップにも結びつく可能性がある。(ジョーダン・エトキンとキャシー・モジルナー)


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社員を幸せにし、生産性をアップする方法

HUMAN+MACHINE 人間+マシン: AI時代の8つの融合スキル書評を続けます。デューク大学のジョーダン・エトキンとウォートン・スクールのキャシー・モジルナーが行った研究によれば、単調な仕事をやり続けるより、多様な仕事をした方が、従業員は幸せを感じ、生産性が高まることがわかりました。AIやロボティックスの普及で単調な仕事は、ソフトウエア・ロボットに肩代わりさせることが可能になり、社員が満足感を得られる環境が整ってきました。優れた経営者は社員と幸せと生産性のアップのために、働き方を今こそ変えるべきです。

コカ・コーラでは、全世界の小売店で1600万台もの冷蔵庫を保有しています。コカ・コーラ製品を店舗に補充するために、数千人の従業員が各地を回って、手作業で対応していました。最近では、Alを使って、冷蔵庫を管理する仕組みを検討しており、そのためのPOC(概念実証)プロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、セールスフォース・ドットコムの「アインシュタイン」というAIを導入しています。アインシュタインはコンピユータービジョン、ディープラーニ一ング、自然言語処理技術を活用したシステムで、社員と小売店がこれを活用し、実験をスタートしています。

コカ・コーラの従業員が小売店を訪問した際に、アインシュタインをベースとしたアプリを使って、携帯電話で冷蔵庫の写真を撮影します。するとアインシュタインの画像認識サービスが写真を解析し、そこにどのようなコカ・コーラ製品があるのか、それぞれ何本あるのかを把握してくれます。さらにアインシュタインは、在庫にどのくらいの補充が必要かを予測し、再発注の提案を行ってくれます。

さらに、アインシュタインはCRMシステム内のデータだけでなく、天気予報や販促キャンペーンの情報、在庫レベル、季節変動等を調整するための過去データなど、他のさまざまなデータも活用します。在庫数の確認と再発注の作業が自動化されたことで、従業員は書類作成にかかる時間と労力を大幅に削減でき、さらにシステムにインテリジェンスが追加されたことで、売上と顧客満足度の上昇が期待されています。

Alはフロントオフィスにおいて、コカ・コーラのような企業が顧客との関係を改善し、そこからより良い結果を生み出すことを後押ししている。その領域は幅広いが、主要なのは営業、マーケティング、カスタマーサービスの3つだ。これらの分野では、Alは従業員が行っている業務を自動化するとともに、彼らの能力を拡張している。(ポール・R・ドーアティ&H・ジェームズ・ウィルソン)

AIの導入によって、従業員はこれまでよりも複雑なタスクが行えるようになっており、企業は人間の力がより求められる分野に従業員を配置できるようになりました。こうした変化は、消費者と企業、ブランドとの関係にも大きな影響を与えています。

たとえば、フィリップスのスマートライトは、Alを使って電球が切れるタイミングを予測しており、それをフィリップスはリサイクルや交換といったサービスへとつなげています。フィリップスはセンサーデータとAlを活用することで、電球という物を売るのではなく、「照らす」というサービスを売ることを可能にしたのです。

従業員が単調な仕事からクリエイティブな提案型の業務にシフトすることで、顧客満足が高まり、消費者と企業の関係を変えてしまいます。AIなどのテクノロジーを上手に活用した会社が勝ち組になる可能性が高まっています。

 

社員の幸福度アップが売り上げアップにつながる?

ラルフローレンはサンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業、Oak Lab(オーク・ラボ)の協力を得て、買い物客のための統合された買い物体験を実現しました。「コネクテッド・フィッティングルーム」はRFlDを使ったスマートミラーが設置された試着室で、買い物客が持ち込んだ商品を自動的に認識することができます。このスマートミラーは6つの言語に対応しており、認識した商品の詳しい情報を表示します。また、照明の設定を変え(明るい自然光、日の入り、クラブ内のような暗い照明等々)、それぞれの条件でどのように見えるのかを買い物客が確認できるようになっているのです。さらにその商品に別の色やサイズがあるかを確認でき、必要があれば店員が指定した商品を試着室まで届けてくれなど顧客を満足させる仕掛けが施されています。もちろんスマートミラーは、顧客データの収集も行っています。試着時間の長さやコンバージョン率(つまり試着されたアイテムのうち実際に購入された割合)、その他の情報を集めています。

店舗では試着データを分析して、価値のある知見を得ることができます。たとえば、頻繁に試着されるものの、実際に購入されることが少ない服があるとわかれば、本部は的確に売れ筋商品を補充でき、売り上げをアップできます。こうした顧客データや顧客の動きに関する情報を使って、新しい形で店舗の設計を行うことができるようになるのです。顧客データを統合させることで、顧客満足度やリピート率、特定の商品の購入といったさまざまな点で最適化された店舗をデザインできるようになることで、社員の負担を減らし、マーケティングコストを下げながら、売り上げを高めることが可能になるのです。

単調な仕事から解放され、従業員と顧客の関係が変わり、が顧客から感謝されることで、従業員の幸福度もアップします。幸せな社員が増えると企業が成功することがわかっています。このラルフローレンのケーススタディから、私は慶応大学の前野隆司教授の言葉を思い出しました。

幸せな従業員は、不幸せな従業員よりも、創造性が3倍高く、生産性が30%高く、欠勤率が低く、離職率が低く、組織を助け、外向的で、知的で、創造的で、情緒が安定し、健康であり、長寿でもある。(前野隆司)

イタリアの企業Almax(アルマックス)は、コンピュータービジョンと顔認識技術を備えたマネキンを開発しました。このAIシステムは買い物客の性別やおおよその年齢、そして人種を識別することができます。ブティックや、ベネトンのようなブランドがこのハイテクマネキンを導入して、顧客に関するより詳細な情報を得ようとしています。たとえば、ある小売店舗では、セールが始まって最初の数日に買い物をする男性は、女性よりも多くお金を使うことを発見し、それに合わせてショーウィンドウのディスプレイを変更しました。また別の店舗では、午後4時以降に特定のエントランスを通過する顧客全体のうち、中国人の買い物客が3分の1を占めていることがわかり、その時間帯に中国語を話すことのできる販売員を配置しました。将来的には、小売業者はAl技術を使い、顧客にパーソナライゼーションを提供できるようになり、売り上げアップがはかれるはずです。

Al技術が自らの最も得意とするところを担当し(大量のデータを処理して何らかの行動を推奨する)、人間も自らの最も得意とするところを担当する(判断力と社会的能力を駆使して、顧客に彼らのニーズにあった商品を提案する)ことで、顧客との関係をよりよくできるのです。このようにテクノロジーを活用することで、社員はクリエイティブに働けるようになります。経営者は社員を幸せにすることで、売り上げをアップできるのですから、AIの導入を検討すべきです。

まとめ

AIのデータ分析によって、顧客と企業の関係が変わり始めています。Al技術が自らの最も得意とするところを担当し、人間も自らの最も得意とするところを担当することで、顧客との関係をよりよくできるのです。人間らしい仕事を社員に与え、彼らを幸せにすることで、売り上げアップをはかれるのですから、経営者はAIの導入を検討したほうがよさそうです。

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