高島宗一郎氏のビジョン経営が福岡市にクリエイティブクラスを集めている!

これまで自治体が取ってきた施策は、広くまんべんなく「角を取って丸くする」ことでした。でも今、地方にとって大切なのはむしろその逆で、「とがりを出す」、そして「タグ付けする」ことだと考えています。(高島宗一郎)


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福岡市が人を引き寄せる理由

人口減少が当たり前になり、多くの自治体が人口減や過疎化に苦しんでいます。そんな状況下で、人口を増加させている都市があります。平成27年度の国勢調査によると、政令指定都市の中でもっとも人口を増やしたのが福岡市です。調査期間中(2010年10月~15年10月)の人口増加は7万4767人となり、福岡に多くの人が移住したことがわかります

ブランドコンサルタントの江上隆夫氏のTHE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由を読むことで、その理由がわかりました。福岡市長の高島宗一郎氏がビジョン経営を行い、街の魅力を高めていたのです。市長の高島氏は福岡市の強みを以下のように整理し、様々な実験をスタートしたのです。

東京には集積のメリットがある一方で、福岡はビジネスコストが安く、クオリティオブライフが非常に高いという強みがあります。コストが安いということは「トライ&エラーを繰り返せる街」という言い方もできる。 要は、行政が持つ「規制する権限」ではなく、「規制を緩和する権限」を使って民間活力を引き出すのです。

福岡市は「グローバル創業都市・福岡」というビジョンを掲げています。「キラリと光るアジアのリーダー都市」をキャッチフレーズにその魅力を積極的に発信しています。

福岡には、アジアのハブという地理的優位性があります。福岡と上海は飛行機で1時間45分~55分程度、ソウルであれば1時間25分で移動できます。釜山なら飛行機で55分、高速船でも3時間強で到着できるというメリットがあるのです。福岡市はこの優位性をビジョンにし、自治体を戦略的に運営したのです。そのために以下の3つの視点から都市計画を作成し、実施しています。
①「ひとの社会増」のために「しごとを増やし、活力につながる人の流れをつくる」
②「ひとの自 然増」のために「働き方を見直し、安心して生み育てられる環境をつくる」
③「まちの持続可能性」のために「超高齢化社会に対応した持続可能で質の高い都市をつくる」

高島氏はクリエイティブ・クラスが集まる都市を目指し、 創業する環境を整えています。私もよく福岡エリアに出張しますが、福岡には様々なベンチャー企業が集まり、新たなチャレンジを行っています。特にデジタルコンテンツ、 映像、ファッション、音楽、デザインなどのクリエイティブ産業(知識創造型産業)を積極的に集め、サポートしています。

21世紀はクリエイティブ・クラスが集まる都市が繁栄する

現代のクリエイティブ経済における経済成長の真の原動力とは、才能と生産性に満ちた人々の蓄積と集中化である。彼らが特定の地域に寄り集まって住むことで、新しいアイデアが生まれ、その地域の生産性は増加する。(リチャード・フロリダ)

自然が豊か、通勤が便利、街がおしゃれ、食べ物が美味しいなど福岡市の魅力は多岐に渡ります。アメリカ・トロント大学のリチャード・フロリダはクリエイティブ・クラスという考え方を提唱していますが、福岡には創造的な人を集める条件が整っています。その魅力を高島氏がビジョン化し、ベンチャーを積極的にサポートすることで人が集まるようになったのです。

クリエイティブ・クラスが集まることで、福岡市は「イノベーション」を創造できる都市に変化したのです。福岡には多くの大学があり、若者がもともと住んではいましたが、彼らの働く場所をベンチャーと共に作ることで、東京や大阪への人口流出を防いでいます。東京と福岡の二拠点で働く、あるいはアジアの都市と福岡で働くというデュアルな選択肢も生まれています。

福岡はシリンコンバレー、サンフランシスコ、シアトル、ポートランド、シンガポール、深圳や上海などの世界都市と競争しています。イギリスの情報マガジン「MONOCLE」による、毎年恒例の“世界の住みやすい街ランキング”で、福岡は世界7位にランクインされました。福岡が働きやすい街作りをしていることで、都市の評価が世界レベルになっています。

江上隆夫氏はTHE VISIONの中で、福岡市が地方創生のロールモデルになると指摘します。

自らの持てるもの、歴史、特徴を冷静に見て、そこにあるリソースを”とがり”を出したビジョンと、その実現を目指した現実的なアイデアで勝負する福岡市。これらの試みが成功するなら、地方創生の現実的なロールモデルになる可能性があります。(江上隆夫)

事業を新たに起こすのであれば、福岡や糸島を選択肢にするのはありだと思います。福岡のメリットを享受すれば、成功の可能性をより高められそうです。
■東京・大阪などと比べても住環境や通勤環境が良い。
■オフィス賃料が安く、自由度が高い。
■チャレンジ気質に富む九州の風土。
■アジアのハブになる。
■大学が多い、若者が多い。
■クリエイティブ・クラスが集積。

地方創生を目指す自治体は、高島宗一郎氏のビジョン経営を見習い、自分の強みを磨くべきです。クリエイティブ・クラスやベンチャーマインドを持った人たちを集めるために、首長はビジョンを作り、人を巻き込む施策を考える必要があります。

まとめ

福岡市の高島宗一郎氏はビジョン経営を行うことで、福岡を魅力のある都市に変えています。都市を元気にするクリエイティブ・クラスや起業家を集めることで、地方のコミュニティを元気にできることを証明しました。エリアの強みを見つけ、そこからビジョンを作ることで、地方を活性化できるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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