新居佳英氏と松林博文氏の「組織の未来はエンゲージメントで決まる」の書評

エンゲージメントとは従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲。(ウイルス・タワーズワトソン)


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エンゲージメントの効果とは?

新居佳英氏と松林博文氏の組織の未来はエンゲージメントで決まるを読了しました。エンゲージメントに関しては何度かこのブログに書いてきましたが、経営者は今こそエンゲージメントを高めることに注力すべきです。著者の二人はエンゲージメントの効果を以下のようにまとめています。
■生産性が高い。
■離職率が低い。
質の高いサービスを提供できる。
■製品の欠陥が少ない。
社員の欠勤が少ない。
■イノベーションにも強い。

スターバックスはエンゲージメントの高い組織として有名です。しかし、カフェの業務には退屈なルーティンワークがつきものです。店員の多くはアルバイトで、特に高額の給与をもらっているわけでもありません。仕事も立ち仕事で、重労働のはずですが、なぜ、彼らは楽しく働けるのでしょうか?

それは、スタッフのエンゲージメントが高いからです。スターバックスには、人々にとって家や会社に次ぐ3つ目の居心地の良い場所「サード・プレイス」をつくるというビジョンがあります。「カスタマーサービスビジョン」をみると「私たちは一人ひとりのお客様の日常に心豊かで活力をもたらす瞬間を創り出します」と書かれています。(We create inspired moments in each customer’s day.)

わかりやすく、心に響くビジョンは、スタッフが自分の仕事の意味を理解し、意義を感じ、プライドを持って仕事をすることを助けます。また、スターバックスでは一緒に働くメンバーを「パートナー」と呼び、「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります」という行動指針を掲げています。誰もが自分の居場所と感じられる、そんな帰属意識は、良好なチームワークや主体的な行動、お店のためにできるだけのことをしようという自発的な貢献意欲につながると考えられます。(新居佳英、松林博文)

働く人たち自身が、仕事の意味をよく理解し、組織に愛着を持ち、そのビジョンのために自発的に貢献しようとする状態を、「エンゲージメントが高い状態」と言うことができると著者たちは指摘します。

アニー・マッキーとテレオス・リーダーシップ・インスティチュートのチームの調査からもエンゲージメントの効果が明らかになっています。そして、エンゲージメントの高い組織にはビジョン、意義のある目的、素晴らしい人間関係の3つがあることがわかりました。

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エンゲージメントが高まれば、離職率も下がる!

エンゲージメントの高いチームは低いチームより、収益性が22%、生産性は21%、EPS(株価収益率)は47%も上回るという結果が出ています。顧客満足度も10%上回っています。一方で、離職率は大幅に低く、事故や品質の欠陥も少なく、欠勤も少ないという相関も明らかになっています。

ギャラップの調査でも、エンゲージメントの効果が明らかになっています。離職率との関係については、アメリカの経営・人事管理コンサルティング会社CEB社が調査を行っています。27ヶ国、10業種の59社、5万人を対象とした調査によると、エンゲージメントの高い従業員が1年以内に離職する可能性は1.2%、低い従業員は9.2%になっています。これは、エンゲージメントの低い従業員に何らかの働きかけを行ってそのエンゲージメントを向上させることができれば、離職を87%減らせるということを意味します。

ハーバード・ビジネススクールの元教授のジェームス・ヘスケットは、まず組織が従業員を大事にすれば(それによって従業員のエンゲージメントが高まれば)、従業員は顧客によいサービスを提供するということです。すると顧客はさらにそのサービスを利用するようになり、企業の売上と利益が増大します。企業はその利益を使ってさらに従業員を大切にすることができます

まず、経営者は従業員を大切にすることから始めましょう。従業員と顧客の「鏡面効果(サティスファクション・ミラー)」を生み出すことによって、多くの会社が成功しています。顧客の満足は従業員の満足につながり、それが従業員によりよいサービスを促し、顧客の満足度をさらに高めるのです。多くの企業がサービス業にシフトする中で、エンゲージメントを高めることがますます重要になっています。サービスのサブスクリプション化が進行すれば、チャーンを下げることが全社員に求められます。

私も以前NPSの仕事に関わっていました。多くの企業が実際NPSを高めることで、売上や利益を上げることに成功しました。エンゲージメントの高い会社の社員は笑顔も多く、良いコミュニケーションが行われています。企業にとって、広告や販促活動も大事ですが、その前にエンゲージメントを高めることを優先した方がよいというのが私の結論です。エンゲージメントの効果を信じて、今こそ経営者はエンゲージメントを高めることに全力で取り組むべきです。

まとめ

顧客の満足は従業員の満足につながり、それが従業員によりよいサービスを促し、顧客の満足度をさらに高めてくれます。エンゲージメントを高めることで、企業は顧客との関係がよくなり、売上をアップできるのです。従業員との関係がよくなることで離職率も下がります。経営者は今こそエンゲージメントを高めることにフォーカスすべきです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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