VUCAな時代を生き残る方法。デザイン思考と英雄の旅を組み合わせることが成功の鍵。

経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによれば、経済成長をドライブさせるイノベーションの本質は、アントレプレナー(起業家)による「新結合」にある。つまり、まったく新しい何かを創出するのではなく、すでにある要素を「組み替える」ことによってこそ、停滞している経済をブレークスルーできるというわけである。(佐宗邦威)

VUCAな時代を生き残る方法

Education photo created by rawpixel.com – www.freepik.com

佐宗邦威氏は直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVENの中で、新結合(要素と要素の組み替え)によって、イノベーションを起こせるという考え方を紹介しています。全くのゼロから新しいことを生み出すことは、とても難しいことです。全くのオリジナリティなどはなく、要素の組み替えによって、イノベーションが起こると考えるべきです。

このようなイノベーション観を持つことで、VUCA(ブーカ)な時代をいく抜くことができます。VUCAという言葉を最近よく聞くようになりましたが、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉です。現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況がまさにVUCAで、これを乗り越えるために、デザイン思考を身に付ける必要があります。変化が激しい時代には、戦略思考では対応できません。右脳と左脳を同時に活用して、課題に対処するようにすべきです。

妄想の「切り口を変える」というのは、まったく別の独創的なアイデアをつけ加えることではない。そこに新奇性を生むうえで肝要なのは、その妄想が持っている要素に「組替」を与え、「新結合」を起こすことなのである。

「組替=分解+再構築」という公式を覚えることで、私たちはビジョン思考を身につけられます。デザインという言葉には、分解したうえで、再び組み立て直すというニュアンスがあります。著者は自分の内側から塊のまま出てきた妄想を、できる限り細かく「分解」し、全体がどんなパーツから成り立っているのかを把握することを薦めています。妄想のパーツをしっかりと把握しない限り、うまく組み替えることはできません。

妄想を起点にビジョン思考を行う際に、組み替えのプロセスをするで、アイデアを客観的なものに変えられます。「あたりまえを覆す」ために3つのステップに分解し、アイデアを再構築するのです。
①「あたりまえ」を洗い出す
②「あたりまえ」の違和感を探る
③「あたりまえ」の逆を考えてみる

少し 「意地悪」な人格を自分のなかにつくりあげて、違和感を探し、「あまのじゃく」スイッチを入れることで、様々なアイデアが浮かんでくるようになります。難しい課題解決をするために、デザイン思考と戦略思考を組み合わせて、斬新なアイデアを作りましょう。それを繰り返すことで、VUCAな時代を生き残れるようになるはずです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN [ 佐宗 邦威 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/3/20時点)

楽天で購入

 

アイデアをわかりやすくするために、英雄の旅を活用しよう!

再構築によって生まれたアイデアをわかりやすく表現し、周りの人からフィードバックをもらう。その際、英雄の旅を活用するとよい。

「英雄の旅」(ヒーローズ・ジャーニー)を活用すると相手に共感してもらえるようになります。人は太古の時代から、英勇の旅が大好きです。これはアメリカの神話学者であるジョゼフ・キャンベル氏が提唱したもので、古今東西の神話の英雄物語を研究した結果、そこには共通した流れ(8つのステップ)があることがわかりました。

  • Calling「天命」
  • Commitment「旅の始まり」
  • Threshold「境界線」
  • Guardians「メンター」
  • Demon「悪魔」
  • Transformation「変容」
  • Complete the task「課題完了」
  • Return home「故郷へ帰る」

主人公を「ユーザー」、試練を「ユーザーが抱える問題」、メンターを「問題を解決する商品・サービス」へと置き換えることで、ビジネスシーンなどにも応用できます。

ユーザーが試練を乗り越えて、幸せを手に入れるストーリーを生み出すことで、新たなアイデアやプロダクトの理解が進みます。そのために以下のフレームワークを使って、英雄物語を作るようにしましょう。

①[現実] 主人公は現状でどのような課題に直面しているか?
②[冒険への誘い] 主人公はどのようなきっかけで新たな世界の存 在を知るか?
③[迷いとメンターの支援] 主人公は旅立ちを前にどのように感じ、メンターが持つどのような力によって、その世界へ入ることを後押しされるか?
④[一線を越える] 主人公は、どのような覚悟と期待を持って(商品やサービスの世界に飛び込むという)旅立ちを決めるか?何が覚悟を決めるきっかけとなるか?
⑤[試練] 新たな世界のなかでどのような(複数の)試練と直面するか?メンターはどのように主人公を支援するか?
⑥[克服と報酬] 主人公はどのようにして試練を克服し、それに よってどのような宝物を得るか?

⑦[宝を得て帰還] 宝物を得た主人公は、元の世界に住む仲間を見て、何を思うだろうか?彼らにどんな声をかけるか?

 「自分だけのオリジナルな妄想」を突き詰め、英雄の旅として発信することで、新たな出会いをデザインできるようになります。「自分と似たような妄想を持っている人」に出会い、プロジェクトをスタートできます。

妄想を駆動力にして思い思いに行動していた人たちが、やがて「社会」と接点を持つようになると、ますますそうした「出会い」は起こりやすくなると著者は指摘します。ビジョン・ドリブンで動いている人ほど、「同じビジョンを持つ人と一緒に何かを成し遂げたい」と考えています。マーケットを見て動いている人ほど、「差別化を図って競合を出し抜きたい」と考えているので、そういった人たちとチームを組むことで、良い結果を得られるようになります。

まとめ

VUCAな時代を生き残るためには、デザイン思考を身に付ける必要があります。「組替=分解+再構築」という公式を使って、斬新なアイデアを生み出しましょう。それを英雄の旅にして発信することで、新たな出会いが生まれ、プロジェクトが動き始め、やがて結果を出せるようになります。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
習慣化書評生産性向上ブログアイデアクリエイティビティマーケティングライフハック
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました