酒井穣氏の「自己啓発をやめて哲学をはじめよう」の書評

ここで、今の世界では、先進国と発展途上国のフラット化(先進国の既得権が減り、発展途上国との差が小さくなる現象)が進んでいるという事実を忘れるべきではないでしょう。つまり、こうした飢えは、どこか遠くの外国の話ではなく、今後の日本にも確実にやってくるのです。私たちは、かつて対岸の火事に感じられたことが、自分のところにも飛び火してくることに、恐怖する必要があります。止められない衰退の中にある日本で生きていくかぎり、これまでと同じやり方では、とても生き残れません。そもそも、日本という国家が存続できるかさえ、心もとない状況なのです。(酒井穣)


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なぜ、自己啓発がはやるのか?

酒井穣氏は自己啓発をやめて哲学をはじめようの中で、日本の未来は明るくないと説いています。世界がフラット化すると日本人の収入は下がり、生活レベルを落とさざるを得ません。衰退する日本で生き残るためには、自分の未来を自分で考える姿勢が、今の日本人には求められているのです。

若者が「これからの生き残り」にシフトさせている今、日本は明らかにざわつきはじめています。

労働の概念は曖昧になり、混乱しています。労働時間が減ってきているのは、それが確実にゼロ(失業)に向かっていることを考えると不気味です。働き方改革による残業ができない環境の出現は、実質的な賃金の低下を招いています。そのかたわらで、一般の労働者と無制限に働くことができる経営者との間に、無視できない経験格差が生まれてしまっています。

時間を気にせず働く経営者は大金を稼ぎ、逆に、残業したくともできない若者は稼げなくなっているのです。大企業の開発者と最近話をしましたが、彼らは就業後ベンチャーで副業を行い、生活防衛をしていると言います。

この経験格差は賃金の格差となって、貧富の格差(二極化)を生み出しています。働き方改革は、確かに労働者のためになっている面もありますが、労働者に経済的に余裕がなければ、残酷な結果をもたらします。今後、労働者の不安はますます大きくなるはずです。多くの日本人は今後貧困層に取り込まれていくというデータもあります。日本全体が衰退しながら、格差がどんどん拡大している事実は否定できません。

過去、ローマ文明、漢文明、メソポタミア文明など、その高度に発達した豊かさにもかかわらず、滅んでしまった文明とよく似た道筋を日本はたどっていると著者は指摘します。

過去の偉大な文明も、止められない二極化によって滅びたと考えられているのです。数千年という時間は、人間の遺伝子にはほとんど影響しません。人間は本質的には変化していないとするなら、今の私たちの文明も、いずれは、過去と同じ理由で滅びると考えられるのです。今の日本に迫りつつある危機に鈍感な人もいるでしょう。同時に、これに対して敏感に、時に過剰に反応する人も出てきます。そして、この危機感はビジネスになります。タイタニック号が沈没してしまう前に、救命ボートになる資産の形成を急ぐ必要があるため、ストレートには、資はや産形成につながるような自己啓発が流行るでしょう。

今の日本に自己啓発ブームが起きているのも、世の中に不安が蔓延しているのが原因です。資産形成も含めた運気が上昇するといった話の多くは、オカルト的のモノの多く、まさに「溺れるもの、藁をもつかむ」とビジネスなのです。

自己啓発ビジネスは、貧困におびえる人の心の隙間を利用し、自らのビジネスに引き込み、カモにします。
自己啓発にはまり、逆にお金を巻き上げられないように、自分の頭で考え、行動するようにすべきだと著者は述べています。このブログでも多くの自己啓発の良書を紹介しています。効果のあるメソッドは上手に取り入れ、成功を目指すべきです。しかし、一部のオカルト的な自己啓発ビジネスには注意が必要です。では、その境目はどこにあるのでしょうか?

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オカルト的自己啓発には再現性がない!

なんらかの自己啓発が、その一部において、科学的に否定できたとします。その時点で、その自己啓発は、科学的な信頼を失います。それはつまり、その自己啓発が主張することは、再現性に乏しいということです。つまり、その自己啓発の主張を取り入れ、自分でやってみたとしても、同じ結果は得られない(再現性が低い)だろうということになります。

「紙に書いたことは実現する」という話が巷にあふれています。しかし、何もアクションを起こさなければ、結果が出るわけがありません。この考え方は、実際に紙に書いたことが実現しないことも多いという証拠によって、その再現性が簡単に否定されます。それは、哲学においても、正しくないとされます。哲学は、懐疑を前提としていて、厳しいチェックを経た後で、やはり正しいというときにだけ、それを真理(法則)と呼ぶのです。

私はジェイ・エイブラハムの次の言葉が大好きなのですが、いくら本を読んでも行動しなければ結果は出ません。
ジェイ・エイブラハム限界はあなたの頭の中にしかないから以下引用)

ちまたにいくつもある良い本をどんなにたくさん読んでも、結果の引き寄せは起きません。私は、あなたがたくさんの本を読むことについては強く推奨しますが、しかし本を読んだだけで、あるいは良い考えを持っただけで人生が変化すると信じてはいけません。あなたが理念を変え、信念を変え、そしてそこから来る行動を変えることで、結果が変化するのです。あなた自身が立ち上がって行動しない限り、あなたの人生には何も起きません。(ジェイ・エイブラハム)

その考え方に再現性があると思えば、行動すればよいのです。これを繰り返せば、何が正しいかがわかるようになり、オカルト的な自己啓発にはまることも防げます。

論理的な矛盾を少しでも発見したり、再現性が低いと判断されれば、その自己啓発は価値がないとみなされます。自己啓発モデルは自分の内側に答えを求めます。努力すれば成功できるという考え方を盲信するとオカルト的な自己啓発ビジネスの餌食になってしまいます。このアプローチをやめ、哲学を思考の基本におくべきだと著者は言います。自分の内側にひそんでいる可能性をあきらめ、自分への執着を捨て去る哲学的アプローチによって、私たちの行動は変わります。今のような不安な時代には世の中の絶望と向き合い、外側の世界に見える真実を見極めるようにすべきです。再現性があるかないかを考え、真実を見つける力を哲学で養いましょう。

まとめ

日本が衰退する中で、自己啓発がブームになっています。オカルト的な一部の自己啓発ビジネスにだまされないために、真理を見つけるための哲学の考え方を身につけましょう。自分の頭で考え、論理的な矛盾を少しでも発見したり、再現性が低いと判断できれば、無駄にだまされなくなります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

 
●複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。

●多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。

●著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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