寄付やボランティアが個人や会社に良い影響を及ぼす?

他人に投資することの恩恵は、ただあなたを幸せな気分にするだけではありません。人に自分のお金をあげることで、肉体的にももっと健康になり、さらには金銭面でも裕福な気分になれたりもするのです。(エリザベス・ダン、マイケル・ノートン)


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他人への投資は健康にもいい!

イギリスのベッドフォードシャイヤー大学の社会心理学者ウィリアム・M・ブラウンらが行った1000人以上の高齢者を対象にした研究によると、他人への投資が健康によいことがわかりました。お金または別の形の援助を、親類と親類以外の人の両方に提供した人は、全体的な健康状態が良好だと答えたのです。

「幸せをお金で買う」5つの授業の中で、エリザベス・ダン、マイケル・ノートンは、他者への援助が幸せや健康につながると述べています。

他人を助けることの健康への恩恵は時間が経つにつれて大きくなっていく傾向がありますが、たった1回、向社会的支出をしただけでも波及効果が起こりえます。

ある実験で、人々に10ドルを渡し、自分の好きな額だけお金を他の人に分けてくださいと言いました。渡す相手はどのような額でも文句を言わないし、また10ドルそっくり自分のものにしても罰則はないという条件です。この実験では、人々は半分よりちょっと少ない額(厳密にいえば、4ドル48セント)を人に与えることにしました。たくさん人にあげればあげるほど、人々は幸せを感じました。また、より多くのお金を他人に与えた人は恥を感じることも少ないと報告したのです。

さらに、サリベッティという商品名のロール綿を全員に軽く噛んでもらいました。この実験では、コルチゾール(ストレスに関係するホルモンのレベル)を、唾液を介して、測定したのです。その結果、お金に関して、恥を感じれば感じるほど、その後の唾液中のコルチゾールのレベルが高くなることがわかりました。

つまり、寛大になるかケチるかで、体に強い影響が出るのです。コルチゾールというストレス・ホルモンのレベルがずっと高いままだと、長い時間が経つうちに体が消耗してしまう可能性があります。コルチゾールは心臓病などさまざまな健康上の問題に関連づけられ、私たちの体を蝕んでしまうのです。

寄付でも人は幸せになれる!

チャリティーにお金を寄付する人々は、収入を調整したあとでも、そうしない人々よりも自分は裕福だと感じると答えています。そして、たった1ドルを人にあげただけでもより裕福になった気がするのです。

寄付に関する実験を見てみましょう。人々に1ドルが入った封筒を渡し、このお金を自分のものにするか、チャリティーに寄付するか、もしくは実験者に返してもらいました。この3つのグループで、だれがもっとも裕福な気分になったでしょうか?論理的に考えれば、お金を返した人とチャリティーに寄付した人両方が、同じように1ドルを失ったのですから、貧乏になったような気がするはずです。

ところが、お金を寄付した人々は、返した人たちよりもはるかに裕福な気分になり、ただで1ドルもらった人々と同じくらい裕福な気持ちになったのです。時間を人のために使うと、自分には人に分け与えられるほどたくさん時間があるに違いないと感じるのと同じで、お金を人にあげると、人にあげられるほどたくさんのお金を持っているような気持ちになるのです。

他人に投資することは、多くの恩恵をもたらし、幸福だけではなく、健康や裕福な気分にまで影響します。

ボランティア活動によって、会社もよくなることがわかっています。2009年、ペプシはスーパーボウルでの広告をやめました。通常2000万ドルのスーパーボウルの広告予算を新しい慈善事業に関連するマーケティングプログラムの「ペプシ・リフレッシュ・プロジェクト」に資金に回したのです。

このプログラムでは、コミュニティーを「リフレッシュする」アイデアを公募し、最も多くの票を集めたものに交付金を与えました。驚いたことに、ペプシ・リフレッシュ・プロジェクトは、2008年のアメリカ大統領選挙よりも多くの票を集めたのです。そして、広告を出さないことによって、ペプシはスーパーボウルの広告を買ったほとんどの会社よりも多くの評判を集め、フエイスブックのファンが急増して30万人にも達しました。

このプロジェクトは、自社の従業員の心にも強力な効果を及ぼしました。ペプシのシニア・マーケティング・ディレクターでこのプロジェクトリーダーのエイミ・イラザバルによれば、「ペプシコの別のブランドで働いている社員たちが『私にも何かやらせてもらえませんか?』と聞いてくる」のだそうです。

そこでペプシチームは、ペプシコの社員グループの間で特別なコンテストを行うことにしました。各グループは1万ドルの交付金獲得をめざしてアイデアを提出し、全社員に投票する機会を与えました。その結果、従業員の97パーセントが、このプロジェクトがペプシコという会社に対する従業員のプライドを高めたと感じたことが明らかになりました。

ある従業員が『私はペプシコの従業員として30年間働いてきましたが、これほど会社を誇りに思ったことはありません!』と書いてきてくれたのです。(クリスティーン・ピンク)

寄付が社員のやる気を引き出し、会社への忠誠心を高めていたのです。社員のモチベーションを高めるために、経営者は寄付やボランティアを検討するのもよさそうです。

まとめ

他人に時間を投資したり、寄付することで、人は幸福だけではなく、健康や裕福な気分なれます。これは個人だけでなく、企業にも良い影響を与えます。ペプシコの事例を見ると、ボランティア活動によって、会社の売り上げがアップし、従業員のやる気を引き出せることがわかりました。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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