ジョン・ブロックマンの天才科学者はこう考えるの書評


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天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点
著者:ジョン・ブロックマン
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

本書を読むことで、今、世界を主導する研究者や思想家たちが何を考えているかが理解できます。同時に彼らの人間性にも触れられます。彼らには簡単には解けない真の難問を愛しているという共通点があります。読後、私たちは世界をより理解できるようになります。

未来の人間はどうなる?

ニューヨークタイムズのコラムニストのジョン・ブロックマン天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点を献本いただきました。とても刺激に満ちた一冊で、天才たちの言葉を読み返すために、この一週間でなんども本書を読み返しました。このブログでもおなじみのダニエル・ゴールマンやケヴィン・ケリーのメッセージを読むことで、幸せな時間を過ごせました。当然、天才科学者がタイトルについていますから、遺伝学やコンピュータ科学のプロフェッショナルの思考法も学べます。

今日はこの中から宇宙物理学者のマーティン・ルースの未来論と心理学者のアダム・オルターの脳の考察について紹介しようと思います。選択の基準は私が面白いと感じたからです。今後、何回かに分けて、天才たちからのメッセージをこのブログでお届けしようと思います。

これから先の未来はただ長いだけでなく、何が起きるのかもまったくわからない。こうした観念はまだ、多くの人たちに浸透しているとは言えない。信仰に篤い人たちだけではないが、多くの人は、人間を進化の頂点に位置する存在だと思っている。しかし、宇宙の研究者はひとりもそんなふうには考えていない。頂点どころか、山の中腹にすら達していないととらえるのが妥当だと考えている。(マーティン・ルース)

人類の歴史はまだまだ新しいものですが、進化の歴史は、人間が誕生するまでよりも、そのあとのほうが長く続きます。コロナウイルスのパンディミックを見ているとウイルスも進化を続けていることがわかります。生物やそれを取り巻く環境も、多様性をより増していきますし、質的に大きな変化を遂げていくとマーティン・ルースは指摘します。

しかも未来の進化は、これまでのダーウィン的な進化だけではありません。遺伝子操作や人工知能などの発達を考えると、進化はさらに急激な勢いで起きるはずです。イーロン・マスクやジェフベゾスの宇宙への取り組みを見ていると、何十年後には地球を離れて暮らす人類やペットが生まれそうです。当然、人間が地球以外の場所に移住するようになったとすれば、今までとはまったく違う環境の圧力によって進化が起きるかもしれません。

ダーウィン自身も「遠い未来までまったく変化せずにそのまま存在できる生物種はひとつもない」と認識していました。その「未来」は、ダーウィンが思い描いたよりもはるか遠くまで続いていて、変化もより速くなります。そして、生物が生命を宿す宇宙は、ダーウィンが考えたよりもはるか遠くまで広がり、はるかなる多様性を帯びていいます。

私たちは、宇宙の歴史の初期に現れた生物種のひとつと言ったほうがいいというマーティン・ルースの考えに触れることで、今回進化について考える時間を持てました。宇宙には多様な生物が存在する可能性が高まり、また進化がこれからも続く中で、人類がその中心にいるとは限らないかもしれません。

コロナウイルスという突然の脅威が襲う中で、過去、私たちはウイルスとの戦いに勝利を重ねてきました。今回もその戦いに勝利し、改めて未来を楽しめるようになりたいものです。

赤いシャツを着ると魅力的に見える?

心理学社のアダム・オルターは脳内で多数の情報処理が行われ、無意識かでそれが行われていると言います。この無意識下で処理されている情報は私たちの思考や感情、行動に微妙な影響を与えています。この小さな積み重ねが、時に人生に大きな影響を与えます。特に、色、天候と周囲の気温、記号と画像の3つが私たちに影響を及ぼすとアダム・オルターは指摘します。

①色
色は私たちの周囲のどこにも存在しています。しかし、特別に鮮やかな場合や、大きく自分の予測と違う場合を除き、私が色の存在を意識することはほとんどありません。しかし、人間は見た色にさまざまな影響を受けることがわかっています。

ロチェスター大学の心理学者、アンドリュー・エリオットとダニエラ・ニエスタの研究では、男性は赤いシャツを着ると、ほかの色のシャツを着たときに比べ、女性にとって少し魅力的に見えることがわかりました。女性の場合も写真を赤で縁取ると男性にとってより魅力的に見えるようになります。赤は恋愛に積極的であること、同種のほかの個体よりも優位にいることを示す色なのです。

ダラム大学の進化人類学者、ラッセル・ヒル、ロバート・バートンの研究では、多数のスポーツで、赤い服を着た競技者が、ほかの色を着た競技者よりも良いパフォーマンスを見せる傾向にあるのがわかっています。「自分は強い」というイメージを相手に知らせる力が赤にはあるのです。

しかし、赤が常に良いとは限りません。赤は誤りを知らせるときや、警告するときに使われるケースが多いため、赤を見ると人は緊張します。この緊張によって創造性が下がることさえあるのです。色の特徴をおさえておくことで、私たちはパフォーマンスをアップできるのです。

②天候と周囲の気温
晴れた暖かい日に人は幸福な気分になると言っても驚く人はいません。しかし、天候や気温が人に与える影響はそれだけではありません。どちらも人の気分に思いがけない影響を与えます。雨の日には人は内省的になり、思慮深くなります。

株式市場では晴れの日のほうが株価が高くなる傾向にあります。雨の日には取引が不活発になり、株価が下がる傾向があります。

天候は自殺や鬱にも影響を及ぼします。また、天候によって人の怒りっぽさや、さまざまな種類の事故の発生頻度にも強い関係が見られます。すべては、大気の電気的な状態の変化への反応だとも言われています。暖かさと人間の親切さには、ポジティブな関係があることも明らかになっています。近年の研究では、温かいコーヒーの入ったカップを手に持っているときに知らない人を見ると、第一印象が良くなるのもわかっています。その逆のことも起こります。たとえば、周囲の人たちから疎外されたとき、人は本当にその場が寒いと感じるようになるのです。

③記号と画像
都市の景観には無数の記号や画像があり、それが人の思考や行動に無意識のうちに影響を与えています。キリスト教徒を自任する人は、十字架の画像を見るだけでその後、より誠実な行動を取ることがわかっています。また、アップル社のロゴや白熱電球が光り出すのを見ることで、人は創造的な思考をするようになります。シンボリックな記号や画像は、見るだけで思考に影響を与える可能性がああります。

同じような連想により、国旗を見るだけで団結心が高まるという効果があることもわかっています。イスラエル人を対象にした実験では、被験者が左翼でも、右翼でも、サブリミナルでイスラエルの国旗を見たあとは、自分と異なる政治的意見に寛容になる傾向が認められました。また、アメリ力人の被験者たちを大きなアメリカ国旗の前に座らせたところ、ムスリムに対する態度が好意的になったという結果も得られています。

このように色や天候、気温、ロゴや画像などの力を借りることで、結果を変えることができます。ポジティブな結果を出したければ、この3つの力を活用しましょう。私はこのブログを書く時に、最初に画像を選びますが、クリエイティビティな画像によって、脳がより創造的になると感じています。

今後も本書に登場する様々な天才たちのアイデアを紹介したいと思います。

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