書評 森岡毅氏の苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

現実を見極め、正しい選択をすることで、人は目的に近づくことができる。そのために重要なのは、さまざまな現実を生み出している”構造”を明らかにすることだ。キャリアにおいてもそれは同じだと痛感している。社会で成功をつかむためには、覚悟をもって”構造”を直視し、その本質を大きくしっかりと把握せねばならない。(森岡毅)

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Self Awarenessを高めることで、幸せになれる?

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」が話題になっています。USJの経営再建を果たしたマーケターの森岡毅氏が、大学卒業を控えた娘のために書きためた手紙を書籍にしたものです。私にも2人の娘がいるので、著者の気持ちがよくわかります。将来何をしてよいかがわからない娘たちに的確なアドバイスをすることが、子供が巣立つ前に親が最後にできることかもしれません。

大学生になっても社会人になっても自分の進む道はなかなか見えてきません。自分の過去を振り返ってもやりたいことを見つけるのに苦労したのですから、娘たちにそれを期待することには無理があります。多くの若者は自分の内側との対話をすることなく、悩み続けているのです。自分の中に基準となる「軸」を作ることで、本当にやりたいことが見つかります。

自分にとっては何がより大事なのかを考えて、自分なりの優先順位を明確にしていくことで、自分の軸が見えてきます。価値観は時間とともに変わるので、今の価値観で自分の軸を決めるしかありません。価値観が変わった段階で、軸を見直し、キャリアをアップデートすればよいのです。

本質的に君が悩むべきなのは、具体的な就職先ではない。君が真っ先に悩んで、そして最後まで集中して考え抜くべきなのは、君のキャリアにとって重視すべき「軸」なのだ。それが明確であればあるほど、どの職能を磨きたいのか、どの業界や企業を回るか、それらも自動的に定まってくるだろう。

自分のことを知っている度合をSelf Awarenessと言いますが、日本の最大の課題の1つは、このSelf Awarenessが強い子供をもっと増やしていくことだと森岡氏は指摘します。このSelf Awarenessが未成熟なまま、己の軸がない状況のまま、学生たちは就活をスタートさせてしまっています。自分のことを徹底的に考え、やりたいことを列挙しながら、自分の軸を見つける必要があります。幸福になりたければ、自分の価値を見つけ、それで貢献することを考えるべきです。言い換えれば、Self Awarenessを高めることで、私たちは幸せになれるのです。自分の特徴(宝物)を見つけ、それを必死に磨くことがもっとも重要なことなのです。

キャリア戦略とは、その人の目的達成のた>めに、その人が持っている〝特徴〟を認識して、その特徴が強みに変わる文脈を探さなければなりません。キャリアアップを図るためには、自分との対話を続ける必要があるのです。やがて会社の肩書きが通用しない時代がきます。プロとして十分なスキルを身に着けることで、人生の選択肢を増やせるようになるのです。AI時代には、機械に置き換えられないスキルにフォカースすべきです。
 

 

残酷な世の中を生き残るためのキャリアアップ戦略

この世界は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる!

そもそも世の中は平等ではなく、残酷なものなのです。 自分が本当にやりたいことを見つけるのは難しいですが、自分の強みを見つけることで、今の状況を変えられます。人と差別化できるスキルを身に着けることで、職業の選択肢を増やせるようになるのです。

では、どうすれば、やりたいことが見つかるのでしょうか?森岡氏は自分が何をしている時がハッピーかを想像することで、やりたいことが見つけられると言います。

具体的なことから発想するのではなく、どんな状態であれば自分はハッピーだろうかという未来の状態から発想することである。これはマーケティングで目的設定をするときに詰んでしまった場合、私がいつもやっている脱出法だ。何から考えれば良いか詰んでいるのなら、騙されたと思って一度やってみ欲しい。

〝強み〟とは、自分の「〝特徴〟とそれを活かす〝文脈〟がセット」  で初めて発揮されます。自分のやるべきことを見つけるためには、好きなことを考えるべきなのです。嫌いなことは長続きしませんから、自分の好きなことで他者に貢献することを考えましょう。〝強み〟を見つける最大の近道は、 社会との関わりで気持ちよかった文脈(自分が好きなことをしている文脈) をどんどん列挙すればよいのです。

現代の資本主義社会においては、自分の24時間を使って稼ぐ人と、他人の24時間を使って稼ぐ人の2種類しかいません。私たちは前者を「サラリーマン」と呼び、後者を「資本家」と呼んでいます。資本主義社会とは、サラリーマンを働かせて、資本家が儲ける構造のことであることを覚えておきましょう。

親がまじめなサラリーマンの子供は、 学校生活を通じて、理不尽に対する免疫力を上げて、将来の上役に従うための忍耐力を鍛えているようなものです。 今の資本家が大量のサラリーマンを使って儲けている構造は、昔の奴隷時代と本質的には変わっていないのです。

日本の学校教育システムでは、こういう視点を一切教えない。外の世界にできるだけ気づかせないようにしているのではないかと疑ってしまうほどだ。今日も優秀な労働力を大量生産すべく教育システムが機能している。生産された子供の多くは、勤勉なサラリーマンとして生きていくことに何の疑問も持たず、大人しく会社に就職し、社内で認められていく自分に満足し、サラリーマン階層の中で少しずつ昇進していく自分に次第に気持ちよくなっていく。

サラリーマンに慣れたミドル世代のビジネスマンは、確実に牙を抜かれてしまいます。彼らは高給と引き換えに、転職や起業をやめてしまいます。学生時代まで、極めて優秀だった人も、サラリーマン・パースペクティブの中だけで人生を終えてしまうのです。

それを避けるためにも、会社に頼らず自分のスキルを上げていくべきです。ゴールから逆算し、競争社会でキャリアを成功させるために不可欠な自己投資を続けるのです。自分自身をブランディングし、My Brandに沿った行動を心がけることで人は成長できるようになります。普通の人と同じことをしない、資本家のマインドを取り入れることで、持続的に成長できる稀有な存在になれるのです。

人が弱点を克服できるのも、すべきなのも、その人の強みとなる特徴の周辺領域だけで。それ以外に費やす努力は、リターンをほとんど生み出しません。強めたい能力をもっと強くすることにフォーカスし、やらないことを決めましょう。やらないことを選び、やることを明確にすることが、能力を高める秘訣なのです。

キャリアとは何十年も走るマラソンのようなもので、山あり谷ありです。絶えずチャレンジを続け、後悔しない人生を送りましょう。自分の価値観は絶えず変わりますから、ワクワクすることが見つかったら、まずそこに時間を費やし、自分の人生を生きるようにするのです。

本書は就活のための指南書ですが、著者のアドバイスは、人生の転機を迎えた人、自分を変えたい人にも刺さるはずです。新しいビジネスのヒントを見つけたい経営者やマーケティング・スキルを高めたいビジネスマンにも価値ある一冊です。苦しかったときの話をしようかをご一読いただき、ぜひ、ご自分のキャリアアップにつなげてください。

まとめ

キャリアにおいては当座の目的達成の可否がすべてではありません。最も大切なのは目的の方向に向かって絶えず成長し続けることなのです。成長することで目的を達成する確率は上がり、諦めない限りいつかはその目的に到達できます。”挑戦しないから失敗もしない自分”よりも、”挑戦するから失敗してしまう自分”の方が、キャリアアップを図る際には、はるかに価値があります。

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