Co-LivingサービスのADDressは地方の空き家問題を解決できるのか?

今まで私たちは、家はーつ、住所もーつ、それが当然と思っていた。だがインターネットでどこでも仕事ができるようになり、場所に縛られない生き方が可能になっている。自宅だけでなく、さまざまなエリアにある家をシエアして、お気に入りの場所で過ごし、そこで生まれる滞在者や地域とのコミュニティーが地域の活性化にもつながる。そんな受け皿を作りたい。(佐別当隆志)


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住み放題のCo-Living(コリビング)サービスのADDressとは何か?

1つの住居を複数人で共有して暮らす「シェアハウス」やオフィスを共有する「コワーキングスペース」が、私たちの生活のなかで当たり前になっています。私もいくつかのシェアハウスを活用し、場所に縛られない働き方を実践してます。

最近では、「全国好きな場所を移動しながら仕事、生活したい」「週末は都心を離れて田舎暮らしや読書を楽しみたい」というニーズが顕在化していました。そんななかシェアハウスとコワーキングスペースの”いいとこ取り”したようなサービスである「ADDress」が2019年4月から始まりました。

月額4万円の支払いで、ADDressが管理する物件(23拠点)に住めるようになる。ADDressは住み放題のCo-Living(コリビング)サービスがコンセプトになっています。(Co-Livingとは、住居と仕事場を兼ねたスペースのこと)月額には光熱費も含まれており、同じ物件には連続で7日間住むことができます。 1親等以内は無料なので、家族で滞在することも可能です。

物件の所在地は、千葉県南房総市、千葉県一宮市、神奈川県鎌倉市、静岡県南伊豆町、群馬県長野原町、福井県美浜町、徳島県美馬市、徳島県三好市、鳥取市など。主に都市部からの週末の利用を想定しています。各拠点は、地方の空き家や遊休別荘を募って購入またはサブリースで確保し、リノベーションしています。

物件コストを抑えつつ個室を確保し、共有のリビング・キッチン、家具、Wi-Fi、光熱費、アメニティー、清掃まで料金内で提供します。プライベートは確保しながら、贅沢な共有設備での会員同士の交流や、普段は体験できない、地域とのふれあいを提供するなど、ここに住むことで新しい人生を送れます。仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた、ワーケーションが今後のキーワードになりそうです。

ADDressの運営は18年12月に設立されたアドレスで、同社社長の佐別当隆志氏は、ソーシャルメディア活用支援やシェアリングサービスを展開するガイアックスでブランド推進室に所属する傍ら、シエアハウス「Miraie」を運営し、16年1月にシェアリングエコノミー協会を設立して事務局長を務めているシェアビジネスの伝道師として有名です。

 

都市集中と空き家問題を解決するADDress

若い層を中心に地方での暮らしに対する関心は高まっています。内閣府が14年に実施した「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」によると、東京都から移住する予定または移住を検討したいと思っている人は40.7% 10~20代では46.7%と高い数字が出ています。一方、少子高齢化を背景とした空き家の増加が社会問題化していて、野村総合研究所の予測によると、33年には空き家数が2166万戸、全住宅の3割が空き家になる見込みです。

地方での生活に興味がある若者は一定数いて、空き物件をマッチングすることで、新たなライフスタイルをつくれます。1カ所に縛られる完全移住ではなく、多拠点居住のシェアサービスとすることで、ワーケーションを実践したい若者を取り込もうとしているのです。都心部と地方が人口をシェアリングすることで、「空き家問題」の解決にも貢献しようしています。リクルートホールディングスも、18年末に発表した「2019年のトレンド予測」で、都心と田舎の2つの生活=デュアルライフ(二拠点生活)を楽しむ人を意味する「デュアラー」を挙げています。 

物件所有者・提携先の開拓のため、空き物件を購入・リノベーションして販売するカチタス(群馬・桐生)や、不動産情報サイト「東京R不動産」を運営するR不動産(東京・渋谷)などの物件調達パートナーから協力を得るだけでなく、地方自治体との連携にも取り組み、第一号として、滋賀県大津一市と提携を発表しています。大津市は空き家になっている町家や琵琶湖畔の遊休企業保養所を活用し、定住でも観光でもない関係人口を増やして、街の活性化をはかろうとしています。

「サービス名のADDressは住所をADD(追加)できる」という意味でネーミングしました。目標は「30年に会員100万人、拠点数20万軒、100万室」としていますが、これが実現できたとしても、空き家2000万軒の1%でしかありません。 

先週8月19日には、移住スカウトサービス「SMOUT」を運営するカヤックLivingと事業提携することを発表しました。移住や多拠点居住に興味を持つ人たちが、地域や仕事、住まいとなるADDress拠点の情報をSMOUTのプラットフォーム上でワンストップで得らえるようになります。多拠点居住体験が移住や関係人口のきっかけになり、都市一極集中や空き家問題などの社会課題解決の糸口になりそうです。

まとめ

全国の物件が住み放題になる定額制の多拠点シェアリングサービス「ADDress」が話題になっています。仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた、ワーケーションを目指す若者を増やすことで、都市集中と空き家問題を解決していきます。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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