D2Cの成功企業、Himsの戦略とは何か?佐々木康裕氏の D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略の書評


D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略
著者:佐々木康裕
出版社:NewsPicksパブリッシング

本書の要約

D2Cの成功企業は、意味レベルの価値を顧客に提供すべきです。ブランドの意図やストーリーを理解してもらい、共感を醸成するためには、情報量が多く、没入的なコンテンツを継続的に発信する必要があります。ブランドがメディアになることで、そのストーリーに共感した顧客が集まるようになり、唯一無二のポジションを獲得できます。

D2CブランドのHimsは、なぜ成功できたのか?

消費者はより深いレベルでブランドと関係を構築しようとしている。消費者は、製品そのもののよさ、というよりは「誰が作ったか」「どう作られているか」「どういう大義のもとに作られているか」「どう自分の生活を変えて いくか」といった、「意味レベルでの価値」を重要視するようになってきている。(佐々木康裕)

ヘルスケアブランドのHimsが面白い。佐々木康裕氏のD2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略の中に、EDのジェネリック薬、シルデナフィルを扱っているHimsが紹介されています。ヘルスケアブランドのHimsは創業わずか3年でユニコーン企業になった話題のブランドです。

EDを使用していることを、普通は人前で話したくありません。同社は恥ずかしいという感情をなくすという逆張りの発想で、EDの世界感を変えることに成功しました。今までのEDのコミュニケーション・夕一ゲットは50~60代の男性で、表現もおとなしいものばかりでした。そのため、ミレニアル世代は親しみを感じることができず、企業は顧客との関係を構築できずにいました。

HImsは視点を変え、EDは年配の男性だけの症状ではないことに目をつけました。実際、30~40代でも数十パーセントの人がEDに悩んでいます。EDは私的で、不名誉で恥ずべきことと考えている患者たちは、こっそりと症状や医療機関について調べ、誰にも知られないように病院に通っていました。彼らにとって「EDであること」は、医師以外の誰にも相談できない、孤独に対処すべき問題だったのです。処方された薬も洗面所の引き出しの奥や、ポーチの底の方にこっそりしまわれていました。

同社は健康の問題をオープンに語る社会を目指しています。 HimsはこれまでのED薬のブランドとまったく違う夕一ゲットを意識し、アプローチを変えました。Himsのブランディングを担当したアンソニー・スペルデュティは、Himsのラベルのついた薬のボトルが洗面所で堂々と陳列され、男性の誰もが自身の健康の問題についてオープンに語り合う社会を作りたいと考え、ブランディングを行ったのです。

ブランドのファンが、Himsのロゴ付きのTシャツやパーカー、マグカップすら使うような社会を実現するために、EDについての会話の内容やスタイルをポジティブなものに変えることにしたのです。Himsはブランドメッセージを、カジュアルで明快、オープンであることにし、他社との差別化の成功します。

消費者が薬や健康について正確な情報取得ができるよう、Savoir Faireというブログを開設し、多数の論文を掲載し、医学的なアプローチで顧客の支持を得ています。 Himsは積極的にバスや地下鉄などのニューヨークの交通機関で広告を展開し、ブランドイメージを高めています。プロダクトは広告表現に使わず、男性がよりよいライフスタイルを送っているような写真で勝負しています。

Himsのビジュアルモデルには競合が使う白髪の白人男性は一切登場しません。広告にはヒスパニック系、中華系、黒人の30代のモデルが並んでおり、ターゲットを広げることに成功しています。 HimsのWebサイトはおしゃれな写真が並び、EDの世界観を劇的に変えています。

EDを抱える人にとっては、病院に行くこと自体のハードルがとても高いため、オンラインで問診を受けられることにしることで、顧客体験を高めています。パッケージのデザイン性も高く、ファンがSNSでパッケージをシェアしているほどです。SNSの投稿にもHimsは目を通し、顧客に対し感謝を伝え、顧客との関係をよりよくしています。

ブランドのメディア化で他社との差別化をはかる!

意味レベルの価値を顧客に感じてもらうために、ブランドは2つのことをしなければならないと著者は言います。1、長尺コンテンツの制作
ブランドの意図やストーリーを理解してもらい、共感を醸成するためには、情報量が多く、没入的なコンテンツが必要とります。成功しているブランドは、ポッドキャストや雑誌なども活用してます。
2、コンテンツの継続的な発信
ブランドと顧客の関係が超長期化する中で、様々な手法で継続的なメッセージのやりとりがなされることで、顧客がファンになっていきます。

ブランドが提供するのは、体験であり、プロダクトであり、メディアだ。それぞれの差異は無化していく。

Himsのようなサブスクリプション型のサービスでは、サービス開始以降、関係が長くなればなるほど情報のやりとりは必然的に濃密になります。顧客は自分の体験や情報を企業に提供します。

長いコンテンツと継続的な発信という特徴を有することで、必然的にライフスタイル雑誌のようなメディアとなります。D2Cでは「ブランドのメディア化」が意識され、雑誌のようにスタイリッシュな世界観が表現されています。D2C企業は専門的な記事や写真コンテンツのクオリティを高め関係を強化しながら、読者を顧客にしていきます。プロダクトをコンテンツ化しストーリーにすることで、独自のポジションを獲得できるようになるのです。

プロダクトは、メディアとなったブランドがアウトプットする多様なコンテンツの1つと位置づけられている。ただし、プロダクト単体でコンテンツとして成立させるのは難しい。コンテンツはメディアのつくる文脈によって受け取られ方が変わるからだ。だからD2Cはブランドの世界観を構成する空間やグッズなどと組み合わせることでプロダクトをコンテンツ化している。 そうして、コンテンツ化したプロダクトは、個々の顧客にそのブランドについて「語る理由」を与える。

自分たちの情報を得た消費者たちは、Twitterやブログ、lnstagram、YouTubeなどでそのストーリーを発信します。SNSで情報がシェアされることで、人から人へ伝わり、顧客が増えていきます。 

これからのブランドは、ものづくりを大事にしつつも、あたかもコンテンツを作り込むように設計すべきです。そのプロダクトは人の心に響くか?思わず友人に語りたくなるか?という視点で、顧客との関係を強化することで、オンリーワンの存在になれるのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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